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ラグビー コラム 2022年1月5日

【ハイライト動画あり】東海大大阪仰星が「去年の続き」で東福岡に勝利。國學院栃木が桐蔭学園の3連覇を阻み初の決勝へ。全国高校ラグビー大会 1月5日(水)準決勝の結果

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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東海大大阪仰星が2年越しの勝利

1月5日(水)「花園」こと、全国高校ラグビー大会は準決勝の2試合が行われ、Aシードの東海大大阪仰星とBシードの國學院栃木が勝ち、8日(土)に開催される決勝戦に駒を進めた。

◆準決勝の結果

○東海大大阪仰星(大阪第2)44-22 東福岡(福岡)●
○國學院栃木(栃木)21-10 桐蔭学園(神奈川)●

第1試合は夏の7人制大会優勝の東海大大阪仰星(大阪第2)と、春の選抜優勝の東福岡(福岡)のAシード同士の激突となった。昨季は準々決勝で対戦し、21-21で引き分け。抽選の結果、東福岡が準決勝に進出したが、春の選抜大会では東福岡が、46-17で快勝していた。

東福岡FB石原の先制トライ

まず先手を取ったのは東福岡だった。キックオフから相手ボールをターンオーバーし、最後はFB(フルバック)石原幹士(2年)がトライ。さらに5分、相手陣ゴール前でモールを形成しHO(フッカー)西野帆平(3年)が抑えて、10点をリードする。

ただ、東海大大阪仰星のキャプテンNO8(ナンバーエイト)薄田周希(3年)は「さすが東福岡。ここまで想定通り。絶対ディフェンスで止め続けよう」とチームメイトを鼓舞した。

15分、東福岡はPG(ペナルティゴール)を決められず、得点差を広げられなかった。すると徐々に東海大大阪仰星のディフェンスが東福岡のアタックにゲインを許さなくなる。

ゴールを6本全て決めた仰星CTB野中

そして23分、ペナルティを得た東海大大阪仰星はPGを狙わず、「FWで相手陣で攻めよう」(薄田主将)とタッチに蹴ってアタックを選択。最後はゴール前のラックからPR(プロップ)石原捷聖(2年)が抑え、CTB(センター)野中健吾(3年)のゴールも決まり、7-10とする。

さらに東海大大阪仰星は28分、東福岡のキックをCTB野中がチャージし、そのまま抑えてトライ。自身でゴールも決めて14-10と逆転してハーフタイムを迎えた。

後半、東海大大阪仰星は前半の勢いのまま、キックオフからターンオーバーを決める。相手ゴール前に攻め込み、6分、最後はSH(スクラムハーフ)石田太陽(3年)のパスに走り込んだFL(フランカー)松沼寛治(2年)がトライ。

全国高校ラグビー大会準決勝

【ハイライト】東海大大阪仰星 vs. 東福岡

さらに11分、東海大大阪仰星SO(スタンドオフ)吉本大悟(3年)が自陣から「50-22キック」を決めてチャンスを作ると、最後は途中出場のPR大下貴志(3年)がねじ込んで28-10とリードを広げる。

14分にはモールから東福岡にトライを許したが、22分にはラインアウトから再びFL松沼がトライを決めて、35-17と点差を広げた。26分、東福岡はインターセプトから、SO楢本幹志朗(3年)がトライで追い上げたが、30分、東海大大阪仰星のFB増山将が相手のミスしたボールをインゴールで抑えたところでノーサイド。

ノーサイド、喜ぶ東海大大阪仰星

終わってみれば東海大大阪仰星が42-22で快勝し、昨年度の花園、そして選抜のリベンジを果たして決勝に進出した。一方の東福岡は5年連続準決勝で姿を消した。

東海大大阪仰星の湯浅大智監督は「もともとポテンシャルのある選手たちで、自分たちで成長してくれている。(リードされたのが)10点だったので、強さなどは初見ではなかったので、冷静にプレーができていた。(トライに関しては)判断してから実行に移すまでがすごく早かったのが良かった」と選手たちを称えた。

プレーでチームを引っ張る仰星NO8薄田主将

薄田主将は「ビッグタックルではなく、1人ではなく、組織で守ろうとやっていました。グランドにいる全員がつながりを意識して、組織ディフェンスをやってきた」と胸を張った。

東福岡というライバルについて聞かれて「(花園では)1年、2年ときも(準々決勝で)負けて、去年の先輩の分まで勝てた。僕たちの高校生活にとって、成長させてくれた存在です」と話した。

3位の賞状を受け取る東福岡の八尋主将

6度の優勝を誇るものの、今季も準決勝の壁を越えられなかった東福岡の藤田雄一郎監督は「試合の入りは上手くいったが、徐々にコンタクトが通用しなくなった。完敗です」と肩を落とした。

第2試合は栃木県勢初のベスト4進出を果たしたBシード國學院栃木と、3連覇を狙うAシードの桐蔭学園という関東の強豪同士の激突となった。今大会、試合をするごとに成長している國學院栃木は2分、接点でペナルティを誘い、ゲームキャプテンCTB田中大誠(3年)がPGを決めて3-0と先制する。

全国高校ラグビー大会準決勝

【ハイライト】国学院栃木 vs. 桐蔭学園

国栃の司令塔SO伊藤龍之介

その後は桐蔭学園のアタックを止め続けると、17分、ジャッカルを決めて國學院栃木のCTB田中がPGを沈め、6-0とリードを広げる。さらに18分、攻撃を継続し、相手の守備を右に集めた後、SO伊藤龍之介(2年)がキックパスを左端にいたWTB(ウィング)伊藤大暉(3年)に通してトライ。

トライを挙げる国栃FB青柳

22分にはモールで攻めた後、パスでつないでFB青柳潤之介(2年)がトライ。18-0とした。桐蔭学園も30分、相手がキャッチミスしたボールをNO8真田隼翔(3年)が足にかけて、WTB原小太郎(3年)が左隅に抑え、5点を返してハーフタイムを迎えた。

後半1分、中央40mの位置から桐蔭学園のSO今野椋平(3年)がPGを狙うが、外してしまい、スコアは18-5のまま。逆に6分、國學院栃木のCTB田中が35mのPGを決め、21-5とリードを広げることに成功する。

ゴールを決める国栃ゲームキャプテンCTB田中

その後は相手陣で桐蔭学園が攻め続けるが、粘りのディフェンスで國學院栃木がゴールラインを割らせない展開が続く。桐蔭学園は33分にやっとボールを動かしてエースのFB矢崎由高(2年)がトライを挙げたが、時すでに遅かった。

試合はそのままノーサイドを迎えて國學院栃木が21-10で勝利した。桐蔭学園は史上6校目となる3連覇を逃し、國學院栃木はさらに歴史を塗り替えて、うれしい初の決勝進出となった。

国栃ベンチ。真ん中が吉岡監督

國學院栃木の吉岡肇監督は「(桐蔭学園に)やっと手に届いたというか、ナイスゲームをしてくれて、夢のような気持ちです」と破顔した。さらに監督は「ロースコアのゲームに持ち込むのがうちのスタイルですね。点の取り合いになってしまうと決定力のある怖い相手だったので辛抱強い戦いができました」。

「ディフェンスの練習に特化し、時間とエネルギーを費やして今年のチームはやってきた。安心して見ていられました。だんだん、この大会に入ってからの組織ディフェンスの成長が感じられました」と語気を強めた。

キックとジャッカルでチームの勝利に貢献したゲームキャプテンCTB田中は「素直にうれしいです。1対1、接点で引かないことを意識していた。常に全員がハードワークし続けた。しんどかったですが、楽しかったです。課題のアタックも修正して、いいアタックができた」と振り返った。

3位の賞状を受け取る桐蔭学園FL中島主将

3連覇が途絶えた桐蔭学園の藤原秀之監督は「完敗ですね。トライの取られ方も悪かった。横に広げて縦に入ろうとしたが、縦の入り具合が弱かった」と淡々とした表情で話した。

これで決勝戦は、6度目の優勝を目指すAシードの東海大大阪仰星と、初優勝を狙うBシードの國學院栃木の対戦となった。試合は1月8日(土)14:05、花園ラグビー場でキックオフされる。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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