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ラグビー コラム 2021年12月26日

國學院久我山、全国屈指の重量級FWを擁し頂点を目指す。全国高校ラグビー大会

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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4年ぶり出場、國學院久我山

いよいよ12月27日(月)に「花園」こと、第101回全国高校ラグビー大会が開幕する。4年ぶりに出場を決めたのが花園優勝5回を誇る「東京の雄」國學院久我山(東京第一)である。

昨年度は東京都予選決勝で敗れて、記念大会のため開催されたオータムチャレンジ(都府県2位のトーナメント戦)に回ったが、そこでも東海大相模(神奈川)に17-19で敗れて、悔し涙を呑んだ。

だが、今季は春の東京都大会を制して勢いに乗ると、関東大会ではBブロックで優勝し、秋の花園予選では決勝で成蹊高校を107-0と圧倒、4大会ぶり42回目の全国大会への切符を手に入れた。スターティングメンバーは平均体重100kgを超える重量級FW(フォワード)が武器で、BK(バックス)にも速い選手が揃っており、Bシードに選出された。

中央が杉本安伊朗キャプテン

新チームとなり、先輩やコーチ陣に推される形でPR(プロップ)杉本安伊朗がキャプテンに選ばれ、バイスキャプテンにFB(フルバック)松井達希、さらにLO(ロック)荒川真斗、FL(フランカー)小澤一誠、SO(スタンドオフ)永山丞、CTB(センター)佐藤侃太朗、学生スタッフの下別府亙誠(いずれも3年)の7人でリーダーグループを形成している。

チームを引っ張るリーダーズグループ

8つ上の兄(悠太郎さん)も久我山でキャプテンを務めていたPR杉本主将は「今の3年生は2年間、花園に出られていない悔しい経験をしている。先輩、兄の分まで花園に出ることができ嬉しい。リーダーシップを取ってくれる選手も多く、助けてもらっていますが、練習を自分たちで決め、レベルアップするように積み重ねることができた」と胸を張った。

副将FB松井も「昨年の悔しい経験をバネに、何が足らなかったが考えた。(昨年は)先生主体のチームだったので、自分たちで練習プランを考えて、ゲームも作りも積極的にやってきました。最初にディフェンスから着手して、上位校のビデオを参考に試行錯誤して練習してきました」と話した。

土屋謙太郎監督

早稲田大学ラグビー部で主将を務め、卒業後すぐに教諭となり、國學院久我山で指導して40年近くになる土屋謙太郎監督(60歳)は「自分たちで決めてやりたいことをやらせた方が責任感につながる」とリーダー陣にチームの運営を任せつつ、「(昨季とスタイルや戦術を)変えなかった。昨季のチームは60~70%だったので100%の形を目指そう、精度が高められなかったところをしっかり整えよう」と指導してきた。

グラウンド横のウェイト器具

「コンタクトとフィジカルをやっていれば試合は崩れない」(土屋監督)という信念の下、ラグビーの前提となるフィジカルアップのために、グラウンドの横にトレーニング器具を置き、半数はウエイトトレーニング、半数はグラウンド練習と毎日、ラグビーと平行して強化に努めてきた。

今年の1月から3月は、國學院大學のグラウンドを借り、目黒学院、東京高校といった都内のライバルとの試合を重ねた。コロナ禍で練習に制限がかかったことを逆手に取って、水曜日を「フィットネスデー」として、サーキット、コンタクト、フィットネスを集中してやる日に定め、金曜日はトレーニングフリーデーとした。そして土曜日が試合の準備、そして日曜日ごとに練習試合を行い、月曜日がオフという「ハードトレーニング、ハードリカバリー」(土屋監督)のリサイクルで1週間を回したことが功を奏したという。

また、キャッチやランコースなどBKの細かいスキルは昨年度まで早稲田大学のコーチを務めていた元サントリーの吉雄潤さんが指導し、スクラムは明治大学のFWコーチの滝澤佳之氏、ラインアウトは東京サンゴリアスのアシスタントコーチの青木佑輔氏がアドバイスするなど、久我山のOBたちも協力を惜しまなかった。

春の選抜大会こそ出場できなかったが、6月の関東大会Bブロックを制した。さらに夏の菅平合宿では御所実業(奈良)、昨年度花園ベスト4の大阪朝鮮(大阪)、関東大会Aブロック優勝の國學院栃木(栃木)の3校にすべて50点差をつけて圧勝。さらに報徳学園(兵庫)には引き分け、石見智翠館(島根)には5-10、京都成章には0-22と敗れたが、大きな自信を得て、目標を全国ベスト8から日本一へと上方修正したという。

第101回全国高等学校ラグビーフットボール大会

12月27日(月)~1月8日(土)全50試合生中継

松井副将は「午前中に報徳学園と対戦した後、午後に(石見)智翠館と対戦しましたが、広くアタックしてくる相手に接戦ができてディフェンスに手応えを感じた」と言えば、杉本主将は「京都成章には負けたが収穫があった。ブレイクダウンの質が全然違った。もっとやらないといけないと思ったが自信が芽生えた」と振り返った。夏合宿では西の強豪と対戦し、自分たちの立ち位置を確認することができたというわけだ。

結果、東京都予選では順調に勝ち上がり、準決勝は69-5で東京朝高に、決勝は成蹊高校に107-0で勝利し花園出場を決めた。土屋監督は「一昨年度、昨年度、花園に出られなかった生徒たちが、下地を作ったこと。それが目に見えて結果につながった」と破顔した。

スクラムの要、PR松原結生

FWはPR杉本キャプテン、LO荒川、FL小澤といったリーダー陣だけでなく、123kgでスクラムの核となっている右PR松原結生(3年)、タックルの強いHO(フッカー)清水健伸、強いボールキャリーが持ち味のLO磯部俊太朗、運動量に長けたFL下坂陸(いずれも2年)も能力が高い。

PR松原は「高校3年生になって、しっかりスクラムが組めるようになった。正月を超えたい」と言えばHO清水は「大きい3年生がいる中で、ワークレートと強いタックルで、仲間を安心させて流れをチームにもってきたい」と話した。

チームの中心となっている2年生

BKは後方からチームを鼓舞するFB松井、中盤でのラインブレイクが武器のCTB佐藤だけでなく、WTB阿部太一、CTB大沼隼人(ともに2年)はランナーとして長けており、SO(スタンドオフ)袖山遼平が2年生ながらゲームを組み立てる。袖山は「身体は小さいがですが、周りを活かすプレーが自分の強みだと思っています。初めての花園なので、落ち着いて、いつも通り、チームのリズムを崩さないようにコントロールしたい」と腕を撫した。

練習では精度を高めて、オプションを増やしている

花園までの期間は、ブレイクダウンとフィットネスの2つに絞って強化。アタックのオプションを追加しつつ、精度を高めることに時間を割いた。また、他県の花園出場校と練習試合を組み、早稲田大学ラグビー部に胸も借りたという。「文武両道」の高校ため、今季はキャプテンを筆頭に受験勉強しながらの花園という3年生も多い。

昨季の悔しさを乗り越えて、好調を維持している、全国屈指の大型FWを誇る國學院久我山。土屋監督は「どこが相手だろうが、ボロ負けすることはまずない。リーダーを中心にまとまりがあり、上を目指せるチームだと思います」と自信を口にし、PR杉本キャプテンは「大阪桐蔭と対戦したらFW勝負で勝ちたい。そして決勝まで進出して東福岡を破って優勝したい」と意気込んだ。

Bシードに選ばれた國學院久我山は、初戦となる12月30日(木)の2回戦は近大和歌山(和歌山)と鹿児島実業(鹿児島)の勝者と対戦する。優勝5回の名門が、4年ぶりの花園で先輩や自分たちの悔しさをぶつけて、日本一にチャレンジする。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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