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埼玉ワイルドナイツはリーグワン仕様のジャージー
開幕まであと2週間あまり、新リーグ「リーグワン」の練習試合が各地で行われており、12月25日(土)、トップリーグ最後の王者である埼玉パナソニックワイルドナイツが、ホストスタジアムの埼玉・熊谷ラグビー場に東芝ブレイブルーパス東京を迎えて、28-12で勝利し開幕に弾みをつけた。
ファンクラブ限定スペシャルマッチだったため、2000人あまりの観客が試合を見守り、ワイルドナイツOBの高安厚史さんが実況、解説はアンバサダーに就任した福岡堅樹さんが担当した。
世界的WTBのコロインベテ。トライ量産なるか
ワイルドナイツは11月の欧州遠征に参加していた主将HO(フッカー)坂手淳史、SO(スタンドオフ)松田力也ら日本代表組だけでなく、新加入のオーストラリア代表42キャップのWTB(ウィング)マリカ・コロインベテ、ニュージーランド代表選出歴のあるFL(フランカー)ラクラン・ボーシェー、CTB(センター)ヴィンス・アソら新戦力が揃った初めての試合となった。
後半から出場したFLリーチ
ブレイブルーパスも日本代表のFL徳永祥尭、LO(ロック)ディアンズ・ワーナーが先発し、FLリーチ マイケルらが控えに入り、互いに2週間後の開幕を見据えての真剣勝負だったと言えよう。
試合開始早々はブレイブルーパスがボールを継続し、前半5分、WTB松延泰樹がトライを挙げ、5-0と先制に成功する。だが、その後はワイルドナイツが相手陣でアタックする時間が長く続き、13分にはSH(スクラムハーフ)内田啓介がトライを挙げて7-5と逆転に成功。
その後もワイルドナイツが攻めるが、ブレイブルーパスも粘りの守備を見せて得点は動かない。相手にシンビンが出た後のロスタイム、ワイルドナイツはスクラムを押し込みNO8(ナンバーエイト)ジャック・コーネルセンがトライを挙げて14-5とリードして前半を折り返した。
トライを挙げたFLガンター
後半、互いに大きくメンバーを交替する中、21分、ワイルドナイツがラインアウトを起点にアタック。FLベン・ガンターが押さえてトライ。ブレイブルーパスも再び、WTB松延が素晴らしいランを見せて相手陣に攻め込み、26分、最後はラインアウトからCTB(センター)セタ・タマニバルがトライを挙げて12-21と迫る。
だが、ホストのワイルドナイツが、30分、FL布巻峻介がインゴールで押さえて28-12として、そのままノーサイド、組織的な守備が光ったワイルドナイツが勝利を収めた。
WTBコロインベテ(左)とFLボーシェー
前半だけだったが、日本で初の試合となったワラビーズのWTBコロインベテは、積極的にボールに触り、ゲインを繰り返した。コロインベテは試合後、「日本、そしてパンソニックに来た理由は今までと違う環境でプレーしたい、違う国で新しい挑戦したいと思ったからです」。
「日本の文化に惹かれていますし、ワイルドナイツでもたいへん恵まれたコーチングスタッフでラグビーできている。今季、自分のできるベストを尽くしてこのチームのために貢献したい」と意気込んだ。
ジャッカルの名手FLボーシェー
得意のジャッカルを繰り返し見せたFLボーシェーも「新しい場所、国にチャレンジしたい。自分もっているスキルセットを新しいラグビースタイル、場所で試してみたい。居心地のいい母国から飛び出してチャレンジしたいと思って日本にやってきました。日本にはジャッカル得意な選手たくさんいるので、そういった選手に負けずがんばりたい」と話した。
今季もチームを引っ張る坂手主将
隔離期間を経て、初の試合となったキャプテンHO坂手は「ディフェンスに関してはいい感じでいけていると思います。コンタクトも負けてなかった。ここからジャッカルやボールを奪い返してアタックまでつなげるプレーができれば、自分たちのラグビーになるかなと思います」。
「コンビネーションの部分では反省いっぱい出たと思いますが、自分たちのやりたいラグビーを理解することができれば、あと2、3段階強くなると思うので、開幕戦までにいいチームになって、いいゲームができるようになる」と自信をのぞかせた。
キック好調のSO松田
チームに戻ってきて初の実践となったSO松田は「まだまだ意思疎通がはかれてなくて小さなミスが出て、流れが取れなかった。コミュニケーションをとって開幕に間に合わせたい」。
「プレッシャーをかけられて、いいディフェンスがあって収穫はあったが、まだまだ改善できる点がある。まずは自分たちのクオリティー、精度上げていきたいし、2週間でできることをやりたい」と1月7日、クボタスピアーズ船橋・東京ベイとの開幕戦を見据えた。
SO松田とHO堀江
「仕上がっています!」と好調をアピールしたゲームキャプテンHO(フッカー)堀江翔太は「ゲインは切れたが、最後の最後で取り切れなかった。チャンスで(トライを)取らないとあかんと感じました」。
「ディフェンスは前半からプレッシャーを与えられていたが、前半、後半とすれ違いの部分で(やられたのが)1本ずつくらいだったので、修正する部分がたくさんある。しっかり修正して全員で前に進めばいい」と振り返った。
会見に対応するLOワーナー
ブレイブルーパスは11月の欧州遠征で日本代表初キャップを得た、19歳のLOワーナーが対応。ディフェンスに関しては「前半、結構、自陣でディフェンスという形でやっていた。チームが全員でコネクションを持ってディフェンスができている」と自信を口にした。
また、「トップのレベルの試合の強度など学びがたくさんあって、自分としていい経験ができて、リーグワンに向けて準備になった。(プレマッチは)この試合で4試合目だが、1月の花園から1年間で成長している。トップリーグで試合に出ていないから、まずリーグワンの試合に出ることが目標。タックルが好きなのでコンタクトが楽しみです」と意気込んだ。
ワイルドナイツは12月31日にディビジョン2の三菱重工相模原ダイナボアーズと対戦し、1月7日(金)、スピアーズとの開幕戦を迎える。ブレイブルーパスは今回の試合が開幕前最後となり、1月8日(土)の東京サントリーサンゴリアスとの「府中ダービー」を迎える。
いよいよ「リーグワン」開幕まで残り2週間を切った。ワイルドナイツもブレイブルーパスも急ピッチでチームを仕上げていく。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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