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ラグビー 全国大学選手権 21/22 準々決勝 帝京大学 vs. 同志社大学
死闘を勝ちきった名門を、対抗戦王者が迎え撃つ。
大学日本一を決める2021年度の全国大学選手権が準々決勝を迎える。
関西大学Aリーグで4位(4勝3敗)だった同志社大は、3季連続(53回目)の選手権出場だ。
しかし昨季は部内で新型コロナの陽性者が出たため、大学選手権の出場を辞退。檜舞台に立てずにシーズンを終えた無念は想像に余りある。
再スタートを切った今季は、明治44年(1911年)の創部以来初という共同主将制を導入。LO南光希、SH/SO田村魁世が協働しながらチームを牽引し、コロナ禍における結束の意味もこめた「LINK(リンク)」をスローガンに掲げた。
53回目の出場となる選手権では、初戦で朝日大学を46-7で撃破。
武器であるディフェンスで失点を1トライ1ゴールに抑え、ラインアウトモールで攻勢。WTB大森広太郎が4トライを挙げるなど精度の高いブレイクダウンワーク、展開力も光った。
そして4回戦で、関東大学リーグ戦3位の大東文化大学と死闘を繰り広げた。
大東大は4連続トライを浴びて20点ビハインドを背負いながら、ハーフタイムをまたいだ40分間で一時は逆転。後半ロスタイム、決まれば大東大の8強進出が決まるコンバージョンキックを迎えたが、楕円球はHポールを反れた。
準々決勝へ勝ち進んだのは同志社大。関西Aリーグでは優勝した京都産業大学に3点差(19-22)、天理大学に2点差(25-27)という悔しい敗戦が続いていただけに、接戦を勝ちきった事実は成長の糧になるだろう。
南 光希主将(同志社大学)
原稿執筆時点で両軍メンバーは未発表だが、同志社大は共同主将のLO南、そして大東大戦は欠場だったSH田村が支柱だ。大東大戦で先発したSH新和田錬も正確なパスを安定供給できる優れたスクラムハーフだろう。
武器であるブレイクダウンで最前線に立つバックローは、迫力あるFL梁本旺義、突進力が光るNO8木原音弥らがいる。
10番は的確なラン、パスで突破をアシストできるSO嘉納一千。決定力のあるWTB和田悠一郎、WTB大森、そして鋭角のステップワークも光るFB山口楓斗がフィニッシュを狙う。
そんな同志社大が激突する相手は、辞退した前回大会で対戦するはずだった帝京大だ。
2017年度に前人未踏のV9を達成した帝京大。18年度以降は順に明治大学、早稲田大学、天理大学が王者となった。
帝京大は優勝から遠ざかっていたが、2021年度は関東大学対抗戦Aで7戦全勝。3年ぶりの対抗戦優勝を手にした。
今季の帝京大はPR細木康太郎キャプテンの強烈なリーダーシップ、4年生を中心としてまとまっている。レギュラーを支えるメンバー外の選手たちも目標である大学日本一にコミットしているという。
昨季はV9時代を知る最後の代が引退。現在の4年生は帝京大の連覇が止まった翌年度の4月に入学した。マインドは王者ではなく挑戦者だろう。
細木康太郎主将(帝京大学)
帝京大の出場メンバーは本稿執筆時点で未発表だが、対抗戦の最終戦を欠場していたPR細木主将の名前の有無は注目点のひとつだ。
各学年でメンバーは多士済々。4年生はゲームメイカーの一人であるCTB押川敦治、高校時代は花園出場経験のないCTB志和池豊馬(宮崎・日向高)、WTB白國亮大(大阪・摂津高)ら。
3年生は運動量豊富なFL山添圭祐、絶対的な司令塔であるSO高本幹也ら。2年生は接点で抜群に強いHO江良颯、活動量あるNO8奥井章仁もおり、1年生は192cmのLO本橋拓馬、187cmのFL青木恵斗が主力になっている。
週末日曜日に東京・秩父宮で開催される準々決勝第2試合「帝京大学×同志社大学」は、2021年12月26日(日)午後1:50から、J SPORTS 1で生中継、J SPORTSオンデマンドでLIVE配信される。
焦点のひとつはブレイクダウンの攻防だろう。同志社大がこだわりを持ち、バックスの展開力を引き出す展開の要だ。
一方でフィジカリティに自信を持つ帝京大にとって、ブレイクダウンの制圧はV9時代からのお家芸。一歩も譲れぬプライドが激突する。
帝京大は11月の対抗戦で早稲田大を圧倒したスクラムも要注目だ。いずれにせよFW戦の優劣が試合展開に少なくない影響を与えるだろう。歓喜するのは同志社大の「紺グレ」ジャージーか、それとも帝京大の「深紅」ジャージーか――。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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