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フレイザー・クワーク(日本大学)
学生日本一の座を争う全国大学ラグビー選手権大会は、いよいよ今週末から関東大学対抗戦A、関東大学リーグ戦1部、関西大学Aリーグの上位チームが加わっての4回戦に突入する。出場校も残り12校まで絞られ、いずれのカードも実力校同士の顔合わせだけに、見応えある好ゲームになることが期待される。
12月18日の秩父宮ラグビー場での第2試合では、関東大学リーグ戦2位の日本大学と、関東大学対抗戦5位の日本体育大学が激突する。日本大学は総得失点差で36年ぶりの優勝こそ逃したものの、1位東海大学と並ぶ6勝1分けの勝点32でリーグ戦を終え、選手権での躍進を予想する声が多い。一方の日本体育大学も対抗戦の最終戦で筑波大学に35-17と快勝し、劇的な流れで13季ぶりの選手権出場を決めた勢いのあるチームだ。
両者の今季の戦いぶりを振り返ると、日本大学は11月21日の東海大学との全勝対決で後半35分過ぎまで19-12と先行し、あらためて地力の高さを証明した(その後1トライ1ゴールを奪われ結果的には19-19の引き分け)。さらに最終戦では法政大学から10トライを奪う猛攻で71-12と圧勝。ここにきてもうひと回りたくましさを増した印象で、気持ちの乗った状態で選手権に臨んでくるだろう。
戦力的にはFW、BKのバランスがとれた布陣で、ハードワーカーのFL飯田光紀主将、CTBフレイザー・クワークを軸にディフェンスが安定していることが好成績を呼んでいる。アタックでは170cm、97kgの“ポケット・タンク”、WTB水間夢翔の腰の強い走りとセンス抜群のFB/SO普久原琉のプレーメークが光り、HO井上風雅はモールドライブや重心の低いボールキャリーでトライを量産。LOテビタ・オトやNO8シオネ・ハラシリ、BKのジョアぺ・ナコと外国人選手の層も厚く、前後半で入れ替えながら爆発力を存分に引き出せる点も大きな強みだ。
対する日本体育大学は対抗戦の前半戦で早稲田大学(0-96)、帝京大学(18-91)に大敗を喫したものの、そこからよく立て直して後半の3試合で立教大学(65-10)、青山学院大学(32-17)、筑波大学と3連勝。明治大学戦でも10-46のスコア以上に引き締まった戦いを繰り広げており、持ち味を発揮できれば上位校にも対抗できるポテンシャルを秘めている。
ハラトア・ヴァイレア(日本体育大学)
大黒柱はNO8からWTB、FBまでこなすハラトア・ヴァイレアで、突破役としても、キッカーとしても絶大な存在感を誇示。切れ味鋭いフットワークを誇るWTBクリスチャン・ラウイも、フリーでボールを持てば相手にとって大きな脅威となる。FWではタックルとサポートプレーで献身的に働くFL高橋(※「高」は正しくは「はしご高」)泰地主将が背中で範を示し、LO諏訪和希の意欲に満ちた攻守も、チームに貴重な活力をもたらしている。
キックオフ48時間前に発表された先発予定メンバーを見ると、日本大学はリーグ最終戦の法政大学戦から両PRを入れ替え、FW第1列はPR春野星翔、HO井上風雅、PR岩上龍という並び。趙誠悠とテビタ・オトのLO陣、板倉正矢、飯田光紀の両FLまでは同じ布陣で、シオネ・ハラシリがNO8に戻ってきた。SH前川李蘭とHBコンビを組むのはケガから復帰した饒平名悠斗で、前の試合で10番に入った普久原琉は本来の15番に下がる。TB陣はWTB水間夢翔、CTBフレイザー・クワーク、CTB広瀬龍二 WTB高野(※「高」は正しくは「はしご高」)謙人という不動のラインだ。
日本体育大学は3週前の筑波大学戦とまったく同じラインアップで、フロントローは砂田優希、ミキロニ・リサラの両PRにHO森屋颯太、LO陣は伊藤拓哉と諏訪和希が務める。バックローはFL高橋泰地主将とFL小泉敦矢、NO8ハラトア・ヴァイレアの3人だ。HBはSH梶田壮馬とSO勝目龍馬の4年生&1年生コンビ。松尾峻輔、皆川祥汰のCTB陣にクリスチャン・ラウイ、鈴木颯の両翼が並び、最後尾のFBには貝森瞭太が入る。
日本大学は3大会連続、日本体育大学にとっては実に26大会ぶりの選手権ベスト8進出をかけた一戦で、勝ったチームは12月26日の準々決勝で関西王者の京都産業大学と対戦する(@熊谷ラグビー場、11時30分キックオフ)。今季ここまでの足取りを見れば日本大学の優位は確かだが、一発勝負のプレッシャーがかかる戦いで予想通りの展開になるとは限らないのが、トーナメント戦の醍醐味だ。4年生にとっては、負ければそれがこのジャージーを着てプレーする最後の試合となる。気持ちのこもった熱闘を楽しみたい。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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