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ラグビー コラム 2021年12月9日

“小さな巨人”田中史朗 グリーンロケッツ東葛で挑む新リーグへの思い

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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田中史朗選手

日本代表75キャップを誇り、2019年日本大会を含めた3度のワールドカップに出場、そして日本人初のスーパーラグビープレイヤーでもあり、身長166cmの体で日本のラグビー界を牽引してきたSH(スクラムハーフ)田中史朗。来年1月に開幕するジャパンラグビー リーグワンを37歳で迎える田中は、NECグリーンロケッツ東葛を新天地に選んだ。「勝つ集団を作っていきたい」という“小さな巨人”田中に、新チームへの思いや、新リーグへの意気込みを語ってもらった。

――改めて、横浜キヤノンイーグルスからグリーンロケッツ東葛(GR東葛)へ移籍した理由は?

リーグワンが始まるにあたって、チームに経験のある人が必要ということで声をかけてもらいました。色々悩み、家族とも相談しましたが、最終的には、パナソニック(現・埼玉ワイルドナイツ)やハイランダーズでも一緒にプレーし、今季からグリーンロケッツに入ったHO(フッカー)アッシュ・ディクソンが「優勝を目指したいから一緒にやろう!」とメールをくれたことが大きかった!

――ラストイヤーとなった昨季のトップリーグについて、ご自分の調子はどうでしたか?

最初は先発でしたが、スピードが足りていなかったことと、キヤノンに荒井康植という素晴らしいSHがいたので、後半からチームを引き締めるという役割が多くなりました。沢木敬介監督がチームを変えてくださり、その中で僕もいろんな経験を仲間に落とし込めたので充実したシーズンになりました。

田中史朗選手

――田中選手は1月に37歳となります。日本代表でも一緒に戦った五郎丸歩選手(現・静岡ブルーレヴズCRO)、福岡堅樹選手が昨季で引退しました。

寂しいですが、五郎丸は引退後もラグビーに関わってくれて、ラグビーを盛り上げてくれているのでありがたいなという思いはありますね。福岡に関しては、まだまだ日本代表でできるけど、自分の夢があり引退した。彼のようなセカンドキャリアの人生設計をするラガーマンもいてもいいのかなと思います。

僕はラグビーを嫌いになってしまったら「もういいかな……」となってしまうので、仲間とコミュニケーションを取りながら、シンプルに楽しむことを大事にしています!後で悔いが残らないように、ずっとラグビーを続けられるような環境やモチベーションでやっていきたいなと思っています。

――経験豊富な田中選手から見て、GR東葛はどんなチームですか?

トレーニングは全力でやるし、能力はあるけど、それを活かしきれてないという部分がまだあります。コーチやHOディクソン、副将になった日本代表WTBレメキ ロマノ ラヴァなど、新しく加入した経験がある選手がしっかりアプローチしていけばもっと伸びると思います。また、選手間のコミュニケーションは不十分なので、そこを僕が変えていきたい。日本人選手と外国人選手とか、普段あまり離さない選手同士がもっと交わって話せるような環境を作っています。そういうことを少しずつやっていけばチームとして本当に成長していくのではないでしょうか。

――今季からリーグワンになって、「NECグリーンロケッツ東葛」のように地域名が入りました。

自分たちの住んでいるところがスポーツチームの名前に入ることは、嬉しいし意識をしてもらえると思います。そこで僕たちがしっかりプレーを見せたり、アクションしていけば、応援していただけると思っています。ラグビーを教えに行ったり、イベントをやったりと、地域の方、ファンの方が喜んでいただけるようなことができれば新リーグができた価値があるのではないでしょうか。

――今季のGR東葛はどんなチームをめざしているのでしょう。

スローガンは、「Reaching For The Stars」です。スマートなラグビーを目指していますが、ハードワークをしながらしっかりと戦術通りにやっていくラグビーがしたいですね。

田中史朗選手

――GR東葛は田中選手含め16人の選手が加入して層が厚くなりました。今季、チーム内で注目している選手は?

今季、宗像サニックスブルースから加入した、同じSHの藤井達哉です。21歳と若い選手なので、ライバルでありながらいろんなことを教えています。彼は海外でプレーをして成長してきており、将来は日本代表も目指せると思います。ただ、まだ体の線も細いですし、トレーニングでもまだできることがあるので、今までの経験を伝えていきたいです。

他にも、同じくサニックスから入ったWTBレメキやCTBティム・ベネットはいいプレイヤーですし、もともとチームにいた日本人SO横山陽介、金井大雪の2人もスキルがあります。チーム全体としてもっとコミュニケーションを取っていけるといいですね。

―― リーグワンのフォーマットは、2つのカンファレンスに分かれて、トップリーグよりも試合数が増えます。

日本は試合数が少ないので、増えて嬉しいです。世界のリーグと同じようなスタイルでできることはいいことで、試合数が多ければ多いほど一人一人の選手のチャンスが増えるので、日本ラグビーにとってもすごくプラスになるのではないかと思います。

田中史朗選手

――ベテランとして田中選手はどんな役割をしていきたいと思っていますか?

年齢は、本当に言い訳にしかならないので、まずは練習でも試合でもプレーで見せることですね。全体練習が終わってからも個人でフィットネストレーニングをしています。チーム最年長の自分がやることによって、「自分もちゃんとやらないと」という責任感を他のみんなも持ってくれていると思います。正直、プレーでしんどいときや走れない時もありますが、それでも諦めず、常に声を出しながらプレーすることを意識しています。また海外でプレー経験もあるので、いろいろな相談も受けていますが、自分が今まで培ってきた経験を伝えることによって、みんなの引き出しも増えると思います。

――チーム、個人としての今季の目標は?

チームとしては優勝を掲げていますが、個々の選手がそれぞれ鍛えようということを言っています。個人としては試合に出ることが一番ですね!本当に小さくても、この年齢(37歳)で試合に出ることでチームにも、見ている子どもたちにも勇気を与えることができると思います。もちろん、先発として9番をつけたいですが、とにかく試合に出たいです。もし、試合に出られなくてもチームにインパクト与えられるような行動をしていきたいなと思います。

――会見では「今後も日本代表を狙う!」と話していました。次のワールドカップへの思いは?

映像を見ていても、今の日本代表は本当にレベルが高い、すごいと思っています。もちろんまた日本代表としてワールドカップに出たいですが、可能性としては低くなってきているのかな……と正直、思っています。それでもやはり日本代表が自分の目標なので、その目標を失ってしまうと、モチベーションも体も下がってしまうと思います。だから常に日本代表を目指して行きたいです。

――今季、どこを一番レベルアップさせたいですか?

フィットネスですね。スピードも必要ですが、技術とか経験はしっかり持っていると思うので、やはり体力をつけないといけない。80分間走りきる体力があれば日本代表にも戻れるのかな、と思っています。

――子どもたちやファンにはどんなところを見てほしい?

子どもたちにはラグビーの面白さを知ってほしい!だからこそ、ラグビー教室やイベントなどがあれば、ラグビーの素晴らしさを知ってもらうために、今後も活動していきたいなと思っています。ファンの方には、できればホストの試合はスタジアムに足を運んでラグビーを見てもらいたいです。音や選手の表情を生で体感して、悔しさ、つらさ、楽しさなどを直接味わってもらいたいです。一緒に喜びと悲しみの両方を分かち合いたいと思っています。もちろん、ビジターの試合はテレビで一緒に応援していただければ嬉しいです!

田中史朗選手

――最後に、「リーグワン」への意気込みをお願いします!

GR東葛にいろんな選手が入って新しくなっていますし、僕自身も新しいチームでのシーズンになります。チームの仲間とみんなで地域を盛り上げるので、ファンの方も一緒に戦ってもらえれば嬉しいです。僕自身も本当に100%でプレーして、小さくても歳をとってもプレーできるというのを見てもらいたいので、今季も応援よろしくお願いします。

リーグワンに参加するにあたり、頂点を目指し大きな進化を遂げているGR東葛。国内外で経験豊富なSH田中の存在はピッチ内外でグリーンロケッツの大きな起爆剤となる。

文:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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