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ラグビー コラム 2021年11月24日

【ハイライト動画あり】今年も熱戦となった長崎決勝は、北陽台が長崎北を振り切り20回目の出場決める。全国高校ラグビー予選

ラグビーレポート by 直江 光信
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高校ラグビー 長崎県予選 決勝

101回目の全国高校ラグビー大会に出場する代表51校が、11月23日にすべて出そろった。10年ぶりの決勝対決となった長崎北陽台と長崎北の長崎県大会は、長崎北陽台が28-15で伝統校同士の決戦を制し、節目となる20回目の出場を決めた。

昨年の花園予選は準決勝で82-0と圧倒しており、今季ここまでの戦いぶりからも北陽台の優勢と見られていたが、品川英貴監督は試合前、「決勝になるとまた違うし、昔から北高とウチは予想に関係なく接戦になってきた歴史がある」と語っていた。そしてその言葉通り、今回の決勝も緊張感が60分間持続する熱闘となった。

序盤にペースをつかんだのは長崎北だった。早いテンポの球出しから推進力あるランナーが相手防御の合間に走り込んでゲインを重ね、たびたびチャンスを作り出す。ディフェンスでも鋭い出足のタックルでプレッシャーをかけ、北陽台のエラーを誘発。前半16分にはラインアウトからFWがモールを15m近く押し込んでゴールラインに迫り、近場を粘り強く攻め続けてPR森武龍成のトライで先制した。

ほとんどの時間で自陣に封じ込められていた北陽台だったが、ここから攻勢に転じる。マイボールのキックオフからようやく敵陣で攻撃の機会をつかむと、FWが激しいヒットで前に出続け、24分にピックアンドゴーでLO白丸智乃祐がトライをマーク。SO大町佳生のゴールも決まり、7-5と逆転する。

これで息を吹き返した北陽台は、30分過ぎにも厳しいディフェンスでペナルティを獲得し、一気に敵陣へ前進。フィジカルに自信を持つFWが泥臭く体を当てて相手ディフェンスを押し下げ、最後はSH川久保瑛斗がラックサイドをくぐり抜けてインゴールに押さえた。思うように主導権を握れない展開ながらも残り10分の勝負どころで真価を発揮した北陽台が、14-5と先行して前半を折り返した。

迎えた後半。前半同様にキックオフから長崎北がたたみかけて敵陣ゴール前に迫ったが、北陽台はたくましくボールに絡んでペナルティを誘い、このピンチをしのぎ切る。そこからWTB亀川友哉の快走で一気に切り返すと、左オープンに振ってLO亀井秋穂がポスト下にトライ。21-5とリードを広げる。

第101回全国高等学校ラグビーフットボール大会 長崎県予選 決勝

【ハイライト】長崎北陽台 vs. 長崎北

長崎北もここで気持ちを切らさず、ひたむきに体を張って反撃。11分には残り7mのマイボールラインアウトからブラインドサイドを突くサインプレーで前進し、PR徳久千太郎が力で押し切ってゴールラインを超える。これでスコアは21-10に。

勢いに乗る長崎北はさらにその直後にも相手の反則に乗じてゴール前ラインアウトの好機を作り、モールからディフェンスが薄くなったブラインドサイドを的確に攻めてWTB村里浩人が左コーナーにトライ。残り15分で15-21と6点差に詰め寄った。

どちらが次に得点を挙げるかが重要な意味を持つこの場面。ここで底力を見せたのが、3年連続全国大会出場中の北陽台だった。続くキックオフからのディフェンスで圧力をかけてペナルティを取ると、得意のラインアウト起点のアタックでNO8勝矢紘史が豪快に右中間へなだれ込む。難しい角度のゴールをSO大町が成功させ、リードを13点まで広げた。

終盤は雨風の影響もあってお互いミスが重なり、あと一歩を詰めきれないシーンが続いた。長崎北も強い意志を感じさせるプレーで最後まで対抗したが、北陽台の頑健なコンタクトに食い込まれ、思うように陣地を進められない。最後は長崎北のラインアウトが乱れたところを北陽台が奪って蹴り出し、28-15でフルタイムとなった。

試合を通して長崎北の気迫みなぎるプレーに苦しんだ長崎北陽台だったが、要所でギアを上げてスコアを積み上げ、きっちりと勝ちきったのは、確かな地力の証といえるだろう。今後フロントローの要であるHO楳原大志がケガから復帰し、FWの結束力が強まれば、チームはもう一段レベルアップする。細かい部分のプレーと判断の精度を高め、4年連続20回目の出場となる花園で3大会ぶりのベスト8進出を期待したいところだ。

敗れた長崎北の攻守に渡る果敢な姿勢も、強い印象を残した。自分たちの強みを生かしたシンプルなアタックで先手を取り、しぶとく接戦に持ち込む巧みな試合運びの随所に、脈々と受け継がれるチームの伝統は息づいていた。数々の名勝負が繰り広げられてきた長崎県予選決勝にふさわしい、熱のこもった好ゲームだった。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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