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ラグビー コラム 2021年11月20日

決勝での激突は10年ぶり。好選手そろう北陽台に、準決勝を競り勝った長崎北が挑む。全国高校ラグビー長崎県予選

ラグビーレポート by 直江 光信
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ラグビー強豪県長崎県大会決勝

高校ラグビー日本一の座を争う全国高校大会の地区予選もいよいよ大詰め。11月23日には、聖地花園に集結する51校がすべて決定する。最後に行われる3つの予選決勝の中で注目されるのが、全国でも有数のラグビー強豪県である長崎県大会だ。

そのカードは、過去19回の花園出場で準優勝1回、4強1回を誇る長崎北陽台と、出場8回で4強進出1回、8強進出2回の実績を有する長崎北という伝統校同士の対戦となった。北陽台は4年連続、長崎北は8年ぶりの決勝進出で、両校が決勝で顔を合わせるのは2011年以来10年ぶり。ちなみにその時は12-12の同点でノーサイドを迎え、抽選で北陽台が花園行きのチケットを手にしている。

今季ここまでの流れを振り返ると、県新人戦は大勝を重ねて優勝した長崎北陽台に対し、長崎北は準決勝で長崎南山に12-19で敗戦。北陽台はその後、短期開催に変更された九州新人大会で大分舞鶴を28-12、専大玉名を93-0と連破し、全国選抜大会の出場権を手にする。選抜では初戦で東北2位の仙台育英を48-0と完封した後、2回戦では近畿大会2位の大阪桐蔭と対戦。7-19で敗れたものの、60分を通じて互角の戦いを披露し、地力のあるところを示した。

春から夏にかけては、両校とも新型コロナウイルスの影響で多くの試合や大会、合宿の中止を余儀なくされる中、実戦経験の不足を補うべく地道なトレーニングに励んだ。そうした中で迎えた秋の花園予選は、長崎北陽台が初戦3回戦で島原工業に84-0、準決勝で海星に105-0と、圧倒的な強さで勝ち進む。

一方の長崎北は初戦で諫早農業に69-0で大勝した後、長崎南山との準決勝では激戦を展開。0-12と先行されたところから2トライを挙げて逆転し14-12で前半を折り返すと、後半早々にもFWで近場を崩し切って21-12とリードを広げる。終盤の南山の猛反撃も渾身のディフェンスで1トライに抑え、21-19で振り切った。

戦力面では、昨季の花園出場メンバー8人が残った長崎北陽台の充実ぶりが目を引く。1年時からレギュラーを務めてきたHO楳原大志がケガで戦線を離れているのは痛手だが、NO8勝矢紘史や2年生ながら高校日本代表候補に名を連ねるLO白丸智乃祐らを軸に、FWには体を張れるファイターが並ぶ。同じく高校日本代表候補のSH川久保瑛斗、SO大町佳生と、試合を組み立てるHB団に経験豊かな実力者を擁する点も心強い。

長崎北にすれば、キャプテンのNO8中村大地や重量級PR徳久千太郎を軸に、FW戦で前に出てプレッシャーをかけたいところだろう。もちろんスピーディーにボールを散らす伝統のランニンググラグビーも健在だ。接点で激しくヒットして相手の出足を止め、テンポのいい球出しから、準決勝でもいい走りを見せたトライゲッターのWTB森晟之郎らを走らせるパターンに持ち込みたい。

ここまでの実績をふまえると、地力で上回る北陽台に対し、長崎北がチャレンジするという構図と見ていいだろう。この両校の対戦を振り返れば、戦前の予想とは関係なくタイトなクロスゲームを繰り広げてきた歴史がある。長崎北としては、そうした展開に持ち込むために攻め込んだ場面できっちりスコアを挙げ、点数で相手にプレッシャーをかけていくことが重要になる。

逆に北陽台は、いい内容でここを快勝し、勢いをつけて全国の舞台に臨みたいところだろう。昨冬の花園では3回戦で優勝候補の東海大仰星に7-22と好勝負を演じており、その大会を経験したメンバーが数多く残る今季は、3大会ぶりの花園ベスト8入り、さらにはその上を目指す絶好のチャンス。もしいい内容でこの決勝を快勝すれば、シード校に推される可能性も出てくる。

ラグビースクールの盛んな地域とあってFW、BKともポジションに関係なくスキルの高い選手が多く、どのチームもボールを早く大きく動かすラグビーを志向する長崎県。それだけに県大会の決勝では、これまでも多くの見応えある熱戦が展開されてきた。今回もまた、そうしたラグビーの醍醐味を感じる好ゲームになることを期待したい。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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