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10月は23日に天理と花園予選前最後のゲームを行い、31日に洛水との府予選最初の試合を迎える。緊張からか時折硬さが見られながらも59-5と突き放して勝利すると、続く同志社との準決勝は15-0で折り返した後半に真価を発揮。FWが近場で前に出てBKが外のスペースを仕留める狙い通りの形で5トライを加え、48-5で完勝した。
昨年の花園予選決勝の先発メンバーで残ったのはLO宮前翔斗主将、LO/NO8荒木勝太郎、SO中村優太の3人で、高校日本代表候補は右PRの板野春来ひとりだが、接点での鋭いヒットや球際の厳しさには、伏見工業時代から続く伝統とプライドがにじむ。大舞台での神がかり的な勝負強さにも定評があり、的を絞ったゲームでは驚異的な集中力と一体感あるパフォーマンスを見せるチームだけに、この決勝も持てる力を出し尽くして最後まで果敢に戦い続けるだろう。
過去6年の予選決勝を振り返ると、通算成績は京都成章の5勝1敗で、京都工学院が勝ったのは6年前の2015年(7-5)。直近の5年間は京都成章が連勝しており、2018年は39-0、2019年は31-5、2020年は28-0と、スコアが開く試合が続いている。しかし、戦前の予想がどうであれ、「絶対に簡単なゲームにはならない」(京都成章・湯浅監督)のが京都の決勝だ。一年間をかけて互いに研究し尽くしたライバルの最後の戦いだけに、試合展開を予想するのは容易ではないが、あらゆる面で見応えあるバトルが繰り広げられるのは間違いない。
昨年に続いて新型コロナウイルスの影響で春の京都府総体が中止となり、両校にとっては2年連続で花園予選決勝がシーズン最初にして最後の対戦となる。そのぶん、例年以上にここにかける思いは強いだろう。勝敗の影響は花園本大会の覇権争いにも及ぶ、この季節恒例の大一番。必見だ。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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