人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

ラグビー コラム 2021年11月12日

7年連続で京都成章と京都工学院が激突。花園の覇権争いをも左右する重要な一戦、高校ラグビー全国大会京都府予選決勝

ラグビーレポート by 直江 光信
  • Line

花園ラグビー場

過去6年に渡り京都成章と京都工学院が熱闘を演じてきた京都府予選決勝(伏見工業時代を含む)。全国でも屈指の激戦地区の代表を決める決戦は、今年もこの両雄の激突となった。

それぞれの今季ここまでの戦いを振り返ると、京都成章は2月の近畿大会で東海大仰星に25-35で敗れたものの、第5代表決定戦で光泉カトリック、関西学院に連勝して全国選抜大会出場権を獲得。その選抜大会は初戦で札幌山の手を52-7と退けた後、昨冬の花園決勝の再戦となった桐蔭学園との2回戦には10-24で競り負けたが、フィジカル面の課題を実感するとともに、確かな手応えもつかんだ。

夏は菅平での全国高校7人制大会に出場し、プール戦2位チームによるプレートトーナメントで3位に。8月の夏合宿では好調が伝えられた國學院久我山に24-0で快勝したほか、流経大柏、東京にも勝利し、特にディフェンス面で春からの積み重ねの成果を証明した。秋に入っても東海大仰星や御所実業とのトレーニングマッチを通じて強化を進め、10月から始まった花園予選では初戦で東山に89-7、準決勝で洛北に49-0と完勝。チームづくりが順調に進んでいることを印象づけた。

1年生にしてすでに強豪大学で活躍するLO本橋拓馬(現帝京大)やSH宮尾昌典(現早大)らが卒業した今季のチームを、湯浅泰正監督は「飛び抜けた選手はいないけれど、去年以上にみんなで考えてクレバーに戦える」と評する。初の花園決勝進出を果たした昨年度から全体的なサイズは小型化したが、キャプテンのSO大島泰真を筆頭にPR森山飛翔、WTB倉田渉など5人の高校日本代表候補を擁し、FW、BK偏りなく攻守にバランスがとれている点は大きな強みだ。昨冬から専門のトレーナーに指導を仰いで力を最大限発揮するための体の使い方の習得に取り組み、接点で相手を押し込めるようになってきたことも、今後の戦いに向けた大事なプラス材料になる。

対する京都工学院は、近畿大会2回戦で天理に7-29と敗れた後、第5代表決定戦でも関西学院に14-19で競り負け、全国選抜大会出場はならず。そこで見つかった課題を克服すべく、3月末には和歌山県の上富田で3日間の合宿を行ってチーム力の向上に取り組んだ。夏の菅平合宿では大阪桐蔭や石見智翠館、桐蔭学園、尾道、仙台育英、東京といった全国区の強豪と精力的に練習試合を実施。タイトな実戦を重ねることで地力をつけ、自分たちのスタイルを磨いた。

10月は23日に天理と花園予選前最後のゲームを行い、31日に洛水との府予選最初の試合を迎える。緊張からか時折硬さが見られながらも59-5と突き放して勝利すると、続く同志社との準決勝は15-0で折り返した後半に真価を発揮。FWが近場で前に出てBKが外のスペースを仕留める狙い通りの形で5トライを加え、48-5で完勝した。

昨年の花園予選決勝の先発メンバーで残ったのはLO宮前翔斗主将、LO/NO8荒木勝太郎、SO中村優太の3人で、高校日本代表候補は右PRの板野春来ひとりだが、接点での鋭いヒットや球際の厳しさには、伏見工業時代から続く伝統とプライドがにじむ。大舞台での神がかり的な勝負強さにも定評があり、的を絞ったゲームでは驚異的な集中力と一体感あるパフォーマンスを見せるチームだけに、この決勝も持てる力を出し尽くして最後まで果敢に戦い続けるだろう。

過去6年の予選決勝を振り返ると、通算成績は京都成章の5勝1敗で、京都工学院が勝ったのは6年前の2015年(7-5)。直近の5年間は京都成章が連勝しており、2018年は39-0、2019年は31-5、2020年は28-0と、スコアが開く試合が続いている。しかし、戦前の予想がどうであれ、「絶対に簡単なゲームにはならない」(京都成章・湯浅監督)のが京都の決勝だ。一年間をかけて互いに研究し尽くしたライバルの最後の戦いだけに、試合展開を予想するのは容易ではないが、あらゆる面で見応えあるバトルが繰り広げられるのは間違いない。

昨年に続いて新型コロナウイルスの影響で春の京都府総体が中止となり、両校にとっては2年連続で花園予選決勝がシーズン最初にして最後の対戦となる。そのぶん、例年以上にここにかける思いは強いだろう。勝敗の影響は花園本大会の覇権争いにも及ぶ、この季節恒例の大一番。必見だ。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
ラグビーを応援しよう!

ラグビーの放送・配信ページへ