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筑波大戦が対抗戦初先発となった大石
ラグビー関東大学対抗戦、勝負の後半戦が幕を開ける。苦戦が予想されていた中、明治大学は第4戦の筑波大学戦を今季一のゲーム内容で制した。そしてここから迎え撃つは、慶應義塾大学、帝京大学、早稲田大学と毎年上位争いを繰り広げる強豪たち。
11月3日に迎える第5戦は慶大と対戦する。黒黄を基調としたタイガージャージーをまとう、日本のラグビールーツ校だ。今年度の第2戦筑波大との対戦で黒星を喫した慶大。コロナウイルスの影響を受け、前期に公式戦をあまり経験できなかったことで、チームの完成度は例年に比べると低く感じられる。
しかし、侮るわけにはいかない。昨年度の対抗戦では、明大が唯一黒星を喫した相手であり、苦杯を嘗めさせられた。「明治としては毎年苦戦している相手」(NO8/ナンバーエイト大石康太・営4=国学院久我山)。2018年度の対抗戦や19年度には夏の練習試合でも負けており、これまで明大が苦手意識を持ってきた対戦相手だ。
慶大の特徴としてまず挙げられるのがFW(フォワード)だ。特にモールを強みとしており、ゴール前のラインアウトには注意したい。対抗戦開幕直前に行われた慶大との練習試合でも明大は開始早々にモールから失点している。また、慶大は4戦目の立教大学戦でも前半3分、9分と立て続けにモールでトライを決めており、その強さを見せている。
サンウルブズの練習生も経験したHO(フッカー)原田衛主将を中心とした強力なFW陣。特に注目なのはバックローの4選手だ。左FL(フランカー)高武俊輔は尾道高時代にはNO8(ナンバーエイト)とFB(フルバック)で主に出場。激しいプレーはもちろんだが、キックも蹴ることができるプレーヤーとしてマルチな活躍を見せる。
右FL山本凱はこの4年間慶大を引っ張り続けた名フランカー。アタックセンスももちろんのこと、ディフェンスで会場を沸かせることができる。抜群のタックル力とジャッカルを武器にワンプレーで流れを引き戻す。
そして今試合NO8を務めるのはルーキーの中山大暉だ。対抗戦はこれまで22番でリザーブ入りしていた選手だが、明大戦で初の先発出場が見込まれる。桐蔭学園高時代には、世代を代表するHOとして活躍し、花園連覇に貢献した。
そして、これまでNO8で出場していた福澤慎太郎にも警戒したい。U-17日本代表にはHOとして選出された選手だが、慶大ではNO8として活躍している。身長は168cmと小柄ではあるが、NO8らしい力強いボールキャリーが魅力の1つ。また、SH(スクラムハーフ)にも劣らないパススキルを持ち、スクラムからのアタックオプションやラインアタックは脅威となる。今試合は22番のリザーブから出場予定だ。
次に特筆すべきなのがディフェンス、慶大と言えば出足の早い突き刺さるタックルだ。特に印象深いのは右CTB(センター)鬼木崇であろう。山本ももちろんそうだが、昨年度の対抗戦でタックラーとして明大ファンの記憶に刻まれた選手は鬼木に違いない。2年間の浪人生活を経て慶大に入学した苦労人であり、昨年度大ブレークした逸材だ。今年度も明大のアタックの前に大きく立ちふさがること間違いなしだ。
さらにBK(バックス)で言えば、FB(フルバック)山田響にも気を付けたい。圧巻のランニングスキルで敵陣を切り裂いていき、筑波大戦でも見事なトライを挙げていた。昨年度、最後のPG(ペナルティーゴール)を決められた光景は未だに忘れられない。
筑波大戦でPOMに選ばれた飯沼
迎える慶大戦、ブレークダウンとエリアマネジメントに注目だ。今年度明大の強みは「クイックテンポのラグビー」(SH飯沼蓮主将・営4=日川)。継続性のあるアタックで相手のディフェンスを上回るスタイルを目指している。
クイックテンポのためにこだわりたいのが、1v1とブレークダウンだ。一方で慶大のディフェンスは個人が詰めるシャローディフェンスが特徴的。昨年度は対応し切れずに、何度も綺麗にタックルを受けてしまい、2トライを奪うにとどまった。
慶大のディフェンスの前では、ゲーム序盤から持ち味のアタックは発揮しづらい展開が予想される。まず明大は継続性よりもエリアの獲得に尽力したい。前半はキックでエリアを獲得し、ラインアウトからのセットプレーで得点を積み重ねていきたいところだ。
「キックを多く使ってくるので筑波戦と大きく変わらない」(飯沼)。先発復帰が予想されるFB雲山弘貴(政経4=報徳学園)を中心にキック処理をうまくしたい。
筑波大戦では本来の姿を取り戻した明大。飯沼が目標とする「勝ちながら成長するチーム」へ。昨年度の因縁を晴らし、5連勝目を狙う。
文:田中佑太/写真:内山嶺(明大スポーツ新聞部)
明大スポーツ新聞部
1953年(昭和28年)創部。現在明治大学において唯一の学生新聞部。明治大学体育会43部の競技成績や、学内外の話題を幅広く紙面・WEBサイト上にて掲載、発信。 現在の部員数は56名。
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