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ラグビー 関西大学リーグ2021
【ハイライト】立命館大学 vs. 同志社大学
さらに44分には、相手のハイパントを好捕したNO8木原音弥が右ライン際を快走。SO嘉納-SH田村魁世とつないで70メートル近く切り返すトライを決め、一気に14点までリードを広げる。ゲームの要所である後半の立ち上がりに意思を統一して強みを生かす状況を作り出し、ミスなくトライまで結びつけて引き離す。今シーズンの同志社大学の底力が浮かび上がる場面だった。
立命館大学もここで気持ちを切らさず、65分にゴール前のラインアウトモールで2本目のトライを返す。CTB森駿太が難しい角度のコンバージョンを決めて7点差に。しかし同志社大学はこの日終始優勢だったスクラムを軸にすかさず勢いを取り戻し、敵陣で試合を進める。
そして迎えた55分。ハーフウェーライン上のラインアウトからテンポよくフェーズを重ねてディフェンスを揺さぶり、最後はWTB和田がタックラーをかわして左中間に飛び込む。取り方、取った時間帯いずれも相手にダメージを与えるトライで、懸命に食い下がる立命館大学を突き放した。
以降、流れは大きく同志社大学の側へ傾き、71分にFB山口、76分にはFL梁本旺義が守備のほころびを突いてインゴールを陥れる。結果的には後半だけで5トライを奪い、大きく点差を広げてフィニッシュした。
近畿大学戦は自分たちのミスから乱れたリズムを立て直すことができず、波に乗り切れないまま苦い黒星を喫した。その時と同じような展開から後半にきっちりと修正し、持ち味を押し出して試合を支配できたことは、同志社大学の選手たちにとって確かな手応えになるだろう。前節に続いて後半に突き放される形となった立命館大学も、残り20分まではひたむきなタックルでよく対抗できていた。劣勢を強いられたスクラムとキックを蹴ったあとの組織防御が整備されれば、まだまだチーム力は高められるはずだ。
本稿筆者選定のプレーヤー・オブ・ザ・マッチは同志社大学の共同キャプテン、SH田村魁世。的確な状況判断で常に相手の嫌がるところへボールを配し、献身的なカバーディフェンスでも存在感を示した。もうひとりのリーダーであるLO南光希とともに、確固たる姿勢でチームを勝利へ牽引した。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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