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昨季8位の近畿大学が天理大学との開幕戦に続いて同志社大学にも勝利したことで、関西大学Aリーグは俄然上位争いが白熱してきた。10月3週目の第3節からはようやく有観客・有料での開催にもなり、皇子山陸上競技場では立命館大学と同志社大学が激突する。ともに初戦は勝ったものの2戦目を手痛い逆転負けで落としているだけに、優勝へ望みをつなぐ上で絶対に負けられない一戦だ。
9/18 同志社大学 vs. 関西大学
関西大学春季トーナメントを制し、十分な手応えを持って秋を迎えた同志社大学は、第2節で近畿大学の勢いある攻守の前にペースをつかみ切れず、残り10分の勝負どころで2トライを許して苦い敗戦を喫した。チャンスを作りながらも相手の気迫みなぎるタックルにあと一歩を阻まれる場面が続き、ミスやペナルティで簡単にボールを失うシーンも目立った。学生屈指と評される自慢のBK陣が走り回る展開に持ち込めず、伊藤紀晶ヘッドコーチは「あまりボールを動かせないゲームになってしまった」と悔しさをにじませた。
9/19 立命館大学 vs. 関西学院大学
一方、初戦で関西学院大学に43-24と快勝し好スタートを切った昨季5位の立命館大学は前節、新型コロナウイルスの影響で約1か月開幕が遅れた京都産業大学を相手に後半5分まで13-7とリードしていたものの、そこから5連続トライを奪われ突き放された。今夏より就任した鬼束竜太ヘッドコーチが「後半途中のチャンスを仕留め切れず、相手のペースにさせてしまった」と振り返ったように、スコアでプレッシャーをかけられなかったことが痛い黒星の要因となった。1対1のタックルで前に出られず、相手の波状攻撃を寸断できなかったディフェンスの修正も、今後の重要な課題だろう。
共同キャプテンを務めるLO南光希、SH田村魁世をはじめ多くの選手が下級生時から公式戦を経験している同志社大学に対し、立命館大学は今季よりレギュラーに定着したメンバーが多い構成だが、要所に好プレーヤーを擁し、ポテンシャルは引けを取らない。特にBKは両チームとも世代を代表する顔がそろっており、その激突はこの一戦の大きな見どころのひとつだ。決め手のあるランナーへいかにいい形でボールを持たせられるか、そして相手のスピーディーなアタックをいかにディフェンスで封じるかが、勝敗を分けるポイントになるだろう。
発表された登録メンバーを見ると、同志社大学は前節から先発2人を入れ替え、LO小菅由一郎、WTB稲吉渓太が今季初めてリストに名を連ねた。いずれも高校時代に強豪校で主軸を務めた実力者だけに、チームを大きく勢いづける推進力になるはずだ。対する近畿大学はHO横尾太一、FL中村壮、WTB間瀬陽紀の3人が新たにスタメン入りを果たし、第2節で11番を背負った安井拓馬がFBに下がった。スピードランナーが並ぶバックスリーがスペースを走り回る形に持ち込めば、相手にとっては脅威となる。
強みのBKを生かす上で鍵を握るブレイクダウンの攻防では、両軍バックローのバトルに注目したい。同志社大学は梁本旺義、小島雅登の両FLにNO8木原音弥、立命館大学は小島良介、中村壮のFL陣にNO8宮下大輝と、接点の強さに走力を兼ね備えたハードワーカーがひしめくだけに、ボール争奪局面は厳しいせめぎ合いになることが予想される。また、腰の強さを武器に中盤で圧倒的な存在感を示す立命館大学のCTB木田晴斗主将に対し、同志社大学の西村海音、大森広太郎のCTBコンビがどう立ち向かうかも楽しみだ。
2節までの各校の戦いぶりを見ると、天理大学、同志社大学を破った近畿大学の好調ぶりが際立つものの、上位勢の力は拮抗している印象だ。コロナ禍で思うように練習計画を進められず、ここからゲームを重ねることで急激に調子を上げてくるチームもあるだろう。その時の展開次第で思わぬアップセットが起こる可能性は十分あり、シーズン終盤まで激しい順位争いが続きそうなムードが漂う。
そしてそれだけに、各校にとってひとつの試合、ひとつの勝利が持つ意味は重い。すでに1敗を喫した両校にとって、この一戦は優勝戦線に踏みとどまれるどうかを決める重要な戦いとなる。気迫のこもった熱闘になりそうだ。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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