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NDSに追加招集された5選手
現在、宮崎合宿中のラグビー日本代表に、ケガ人などの影響で「NDS」(ナショナル・デベロップメント・スコッド=将来日本代表に選出される可能性のある高いポテンシャルを持った人材)が追加招集された。
10月7・8日には、HO(フッカー)北出卓也(東京サントリーサンゴリアス)、FB(フルバック)野口竜司(埼玉パナソニックワイルドナイツ )、CTB(センター)梶村祐介(横浜キヤノンイーグルス)、PR(プロップ)三浦昌悟、LO(ロック)秋山大地(ともにトヨタヴェルブリッツ)が、オンラインでメディアに対応した。
HO北出
5人の中で唯一、2019年ワールドカップのスコッドだったHO北出は「桜のエンブレムがついているウェアを着るというのは誇らしいし、身が引き締まる思いがします。2023年ワールドカップに向けて、まだチャンスがあるとポジティブに捉えています」と話した。
首のケガの影響でコンディションが上がらず、ボールを5mも投げられない時期もあり、トップリーグでも思うようなパフォーマンスを発揮できなかったが、「徐々に改善してきて、前と同じくらいまで戻ってきているので、今は大丈夫」と語気を強めた。
HOというポジション柄、北出は「セットプレーのところで自分は優位に立ちたい。ラインアウトはずっと評価してもらっている部分だと思うので、ぶらさずにやっていきたい。ディフェンスでももっとアピールできると思っているので、そこでも勝負していきたい」と腕を撫した。
キャプテンがリーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)から、ピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)に変わって感じたことを聞かれて、北出は「ラピース(ラブスカフニ)はしんどい時に、まわりを鼓舞してくれて一番ハードワークをしている。ハドル(円陣)をラピースがやっているので、新鮮な感じがあります」と話した。
2019年ワールドカップはスコッドに入ったが、試合に出場はできなかった。北出は「ワールドカップはラグビー選手としては目標の1つです。もう1回アピールして、(代表)選考に残っていきたい」と先を見据えた。
FB野口、CTB梶村、PR三浦の3人は2019年ワールドカップスコッドには入れなかったが、大会直前の合宿にも参加し、ジェイミー・ジャパンでもキャップを得た選手たちだ。
FB野口
昨季、最後のトップリーグでパナソニックの優勝に貢献したFB野口は、「(春に)選ばれないということはそういうことだと思い、足らないところを自分の中で消化して、堀江(翔太)さんと一緒にトレーニングしていました。日本代表に入り、そこで活躍するのが目標なので、チャレンジできる場をいただけたのはすごく光栄で、楽しみ」と前を向いた。
課題はやはり、接点の部分だと感じている。「身体がそんなに大きくない選手ですので、接点のところで一歩前出られたり、出られないように踏ん張ったりするのは大切」。
「ディフェンスでゲインされるのは勢い与えてしまうので、相手の勢い止めるか大事。アタックでは一歩でも前に出てオフロード(パス)とかで相手を崩せる。1対1で前に出ることはすごく重要なこと」と話した。
野口がプレーするFBは東海大仰星の先輩・山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)、松島幸太朗(クレルモン)という2人もプレーする。
野口は「持ち味はフィールディング、後ろのカバーリングなのでコミュニケーションを取って、簡単にディフェンスラインを空けないのが強み」という。「2023年ワールドカップをターゲットにしている」という野口は、1対1、フィジカルを強化して先輩2人に挑む。
CTB梶村
今季、東京サンゴリアスから横浜キヤノンに移籍したCTB梶村は「今回、最初の段階で呼ばれなかったので、秋は代表に帯同するのが難しいと思っていました。日本代表(活動)は2019年以来だったので楽しみです」。
「このタイミングで呼ばれるとは思っていなかったが、チャンスをいただけたので、練習の中で今まで準備してきたことと、2年前とは違う自分を見せられたら」と声を弾ませた。
梶村が今季、チームを移籍したのも「代表に復帰したい」という強い思いからだった。「所属チームで試合に出ないと代表は見えてこない。今の自分に必要なのはゲームタイムだと思っていて、試合に出られない期間をこの2~3年経験してきて、1シーズン戦い続けたいと思って移籍という道を選びました。フルで出続けてパフォーマンスが安定すれば評価が変わってくる」と説明した。
13番でプレーすることも多かった梶村だが、現在は12番で代表となることをターゲットにしている。「今まではボール持ったときのランニングや接点でアピールしたいと思っていましたが、昨季からキックのところ練習を積んでいます。僕はアタックの選手なのでアタックで輝きたい。自分の良さを出しつつパフォーマンスを安定させて、(中村)亮土さんに勝負していきたい」。
PR三浦
PR三浦も2019年ワールドカップ直前のフィジー代表戦に出場したが、落選した選手だった。そのため三浦は「素直にチャンスが巡ってきて、挑戦できるのにワクワクしている。前回のワールドカップでは直前に招集がかかり、しっかりとした準備ができない状況だった。あと2年なので代表にくらいついてしっかり経験値を上げていきたい。スクラムは僕の強みなので前面に出していきたい」と闘志を燃やしている。
日本代表から求められているものを聞かれて三浦は「ボールをキープできる強いキャリーだったり、前でしっかり倒す強いタックルだったりが求められている。強度の高いところでどれだけパフォーマンス出せるかが大事だと思います」と話した。
三浦のプレーする左PRは、リーダーの1人であるPR稲垣啓太のポジションである。「稲垣さんを目指すのもありますが、しっかりと超えていくためには、強いボールキャリー、強いタックル、強いブレイクダウンのクリーンアウトで1つ1つ結果出していかないといけない。(稲垣さんの存在は)めちゃくちゃいい刺激です」。経験豊富な稲垣にチャレンジしつつ、代表定着を目指す。
LO秋山
ノンキャップながら、昨季のトップリーグの活躍が評価されて、春に続いて、今秋NDSのメンバーに呼ばれたのがLO秋山である。
秋山は「トップリーグでの手応えがありましたし、期待する面はありましたが、最初のスコッドに入っていなかったので、まだまだ足りないものがあるのかなと思った。諦めるのではなく、どんどんレベルアップしていこうとコンタクトを強化しようと身体作りなどをやっていました。代表は目標としている場所だったので、呼ばれたのは嬉しく思います」と話した。
また、「強みであるコンタクト面をどんどん出して、練習の姿勢でも積極的に前に出てアピールしたい。愚直に課題に対して取り組み続けることは自分の強みとして持っているので、そこはプライドもって最後まで粘り強く取り組みたい」と前を向いた。
「LOとしてのラインアウトのスキルや、80分戦い続けるスタミナやメンタルが課題」という秋山だが、「ずっと日本代表で試合に出ているジェームス・ムーア選手に食らいついていきたい。ずっと目標にしているので、2023年ワールドカップは出たい」と意気込んだ。
5人はNDSの追加招集という厳しい立場ながら、練習から積極的にアピールして、オーストラリア代表戦や、欧州遠征のメンバーに入ることができるか。
文:斉藤健仁
◆日本代表 スケジュール
・ 9月29日(水)~10月16日(土)宮崎合宿
・10月16日(土)~10月27日(水)別府合宿
・10月23日(土)日本 vs. オーストラリア(大分)
・11月 6日(土)アイルランド vs. 日本(ダブリン)
・11月13日(土)ポルトガル vs. 日本(リスボン)
・11月20日(土)スコットランド vs. 日本(エディンバラ)
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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