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接戦も初戦は敗戦
「接点で前に出る意識はよかった。だが、個人の判断ミスやディフェンスのつながりの薄れでトライを取りきれなかった」と話すのは主将のFB(フルバック)松永貫汰(4年・大産大附)だ。9月12日から始まった関東大学対抗戦。筑波大学は帝京大学との初戦で、7-17で惜敗した。
帝京大戦での課題を改善し、慶應義塾大学戦に生かせるか。筑波大の強みと課題が見えた初戦を改めて振り返りたい。
試合の立ち上がりは、まさに前に出て積極的なプレーをしたいという筑波大の意思を感じる攻めだった。前半2分、WTB(ウイング)植村陽彦(3年・茗渓学園)のキックオフから勢いよく前へ走り出すと、強気なタックルで、ペナルティを得る。
敵陣のゴール前でのスクラムから一気にボールを持ち出し、ボールを受けたSO(スタンドオフ)浅見亮太郎(1年・流経大柏)が前に出て、ゲインすると、最後は、FL(フランカー)岩田真樹(4年・明大中野八王子)がトライを決めた。岩田は「帝京戦では常に前に出続けるディフェンスをやりきることを意識していた。それがファーストプレーから体現できた」と振り返る。
先制点を決めた後、しばらく攻め続けた筑波大だったが、前半11分、左サイドでのラインアウトでマイボールを取れないミス。帝京大が切り返し、ハーフライン付近でボールを受けたWTB大藪洸太(3年・中部大春日丘)が自ら蹴ったボールを抑えてトライを決めた。
その後は帝京大に自陣に何度も攻め込まれながらも、筑波大は2回連続で相手のラインアウトのボールを奪うなど、冷静な守りを見せる。
タックルを決める大畑
嶋崎達也監督が試合後に「いい局面でボールタッチをしていた」と評価したWTB大畑亮太(1年・東海大仰星)や、「まだまだやれる」と嶋崎監督が今後に更なる期待をかけるFL(フランカー)倉井瑛志(1年・旭丘)など1年生ルーキーたちが先頭を切ってタックルする姿も見られた。
だが、35分、筑波大は帝京大の逆転を許してしまう。帝京大がマイボールラインアウトからモールで前進すると、主将のPR(プロップ)細木康太郎(4年・桐蔭学園)が右サイドにトライを決めた。そのまま7-14で前半は終わったが、松永は「このまま自分たちのやりたいプレーができれば勝機はあると感じていた」と語る。
ラグビー 関東大学対抗戦2021
【ハイライト】 帝京大学 vs. 筑波大学
後半は、松永が「持ち込みたかった展開」と話す、拮抗した試合展開が続く。FL岩田やNO8(ナンバーエイト)楢本鼓太朗(3年・修猷館)らを中心とした「我慢するディフェンス」で、トライのチャンスを待った。
粘り強く耐える中、後半30分。ついにトライのチャンスが訪れる。マイボールスクラムからFB松永が左サイドのディフェンス裏へキック。途中出場のWTB一口直貴(3年・星陵)、SH(スクラムハーフ)鈴村淳史(4年・中部大春日丘)が追いかけ、一口がトライライン目前でボールを掴んだ。
だが、相手のWTB白國亮大(4年・摂津)の必死の守りに前に進めない。鈴村がボールを出し、懸命にトライを狙うが、帝京大の分厚いディフェンスラインを破ることはできなかった。
ボールをうまく回し、選手同士をつなぐ役であった鈴村は「ここでトライを取らなければ突き放されてしまうという焦りがあった。4年生としてチームを勝利に導きたいという思いもあって先走ってしまった」と悔しさをにじませた。
その後、84分に帝京大SO高本幹也(3年・大阪桐蔭)がPG(ペナルティゴール)を決め、試合は7-17で帝京大の勝利に終わった。
嶋崎監督は「ディフェンスで我慢できず、個人で飛び出してしまって、失点につながる場面が多かった。昨年(帝京大に)負けていたことや試合経験の少ない選手が多かったこと、初戦であったこと、など選手たちはさまざまな圧力を感じていたのではないか。勝てるチャンスがあった試合だけに悔しい」と語った。
帝京大戦から約2週間、筑波大の選手らは勝ちたいという思いをさらに高めてきた。慶大戦に向け、「単独の判断で詰めるのではなく、前に出る意識は保ちながら、ディフェンスラインを切らさずに組織としてつながり続けて勝ちたい」と松永は語る。そのために、4年生が中心となって練習中から遠慮せずにミスに対する指摘をするように心がけてきたという。
慶大戦は9月26日(日)。筑波大は昨年の対抗戦初戦で、30-19で2年連続の勝利を挙げるなど、負けられない相手だ。帝京大戦での悔しさをバネに、ひとつになった攻めで、初勝利を掴んでほしい。
文:車谷郁実(筑波大学新聞)/写真:筑波大学ラグビー部提供
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