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ラグビー コラム 2021年9月10日

開幕節でいきなりの大一番。充実の帝京大に決定力秘めた筑波大が挑む

ラグビーレポート by 直江 光信
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卒業と入学でメンバーは毎年入れ替わる。4年生にとっては学生生活最後のシーズンだ。人生で一度きり、代えのきかない一年の切実さに、みるみる熱は充満する。この瞬間にすべてをかける魂と魂の激突。大学ラグビーの秋の公式戦が、いよいよ始まる。

9月12日、その先陣を切るのが、関東大学対抗戦の帝京大学対筑波大学の一戦だ。昨年の対抗戦はそれぞれ4位と5位ながら、いずれも上位勢に遜色ない実力を備える。いきなりの大一番といえるだろう。

帝京大学はこの春、関東大学春季大会と練習試合を合わせて5戦全勝の成績を残すなど、好調ぶりが目を引く。夏合宿も早稲田大学戦こそ24-40で敗れたものの、慶應大学に40分×3本の変則形式で57-31、天理大学には40-14と完勝。多くの選手を積極的に起用して学生随一の厚みのある戦力を築き上げており、ここからさらにチームとして加速していくことを予感させる。

帝京大 細木康太郎主将

今季特に注力してきたのは、戦い方のベースとなるフィジカル面の強化と基本プレーの精度向上だ。ベンチプレスで190kgを差し上げるPR細木康太郎主将(4年)の強いリーダーシップのもと、全員が一丸となって厳しい鍛錬に取り組んだ結果、実戦でのタックルやペナルティなどのスタッツは前年から軒並み上昇。全体的なウエートトレーニングの数値も、春の段階で去年のピークを上回った。

その成果はゲームでも着実に表れており、春、夏を通じてスクラムやコンタクト局面で相手を圧倒するシーンがたびたび見られた。フィジカルバトルでねじ伏せ、プレッシャーを与え続けて試合を支配する屈強な戦いぶりは、大学選手権9連覇を成し遂げた黄金期を彷彿させる。あのにじみ出るような威圧感が、真紅のジャージーに戻ってきた印象だ。

筑波大 谷山隼大選手

筑波大学は負傷で多くの主軸が欠場したこともあって、春は法政大学に12-34、大東文化大学に20-26、天理大学に20--35で敗れるなど苦しんだ。一方で、代わって経験を積んだ新戦力が台頭し、夏の練習試合では関東学院大学に65-14、関西学院大学に50-14と快勝。昨季の明治大学戦で鮮烈なデビューを飾ったCTB谷山隼大(2年)は3月に負ったケガからの復帰にもうしばらく時間がかかりそうだが、戦力は徐々に整いつつある。

最大の武器は学生屈指のラインブレイカー、FB松永貫汰主将(4年)が牽引するバックスリーの決定力だ。昨シーズンも非凡なランニングセンスで活躍したセブンズユース日本代表のWTB/FB植村陽彦(3年)、東海大仰星の切り札として花園を沸かせたWTB大畑亮太らのスピードは、どの相手にとっても脅威になる。身上の前に出るディフェンスで圧力をかけ、ボール奪取から外のスペースへとつないで自慢のランナーたちが走り回る展開が増えれば、勝利は近づく。

その強みを最大限に発揮する上で鍵を握るのが、接点の攻防だ。昨年の帝京大戦はコンタクトで劣勢を強いられ、持ち味を発揮できないまま17-54の完敗を喫した。就任3年目の嶋ザキ(山に竒)達也監督も、「帝京大学との初戦が決まった時から、我々がスタートラインに立つにはそこをどう戦うかだ、ということを学生と共有しました。そこが同じなら帝京と戦う土俵には立てないという思いで、この2か月取り組んできた。秘策はありません」と覚悟を口にする。フィジカルバトルを帝京大学が制圧するのか、それとも筑波大学が鋭く対抗するのか、この試合の最大の焦点だろう。

発表された先発メンバーを見ると、帝京大のFWにはPR細木主将を筆頭に、HO江良颯(2年)、NO8奥井章仁(2年)ら昨季も公式戦で活躍した頑健なプレーヤーが並ぶ。BKはSH谷中樹平(3年)、SO高本幹也(3年)の3年生HB団がゲームを組み立て、副将のCTB押川敦治(4年)が攻守にラインを統率。1年生では桐蔭学園の花園連覇の原動力となった注目の大型FL青木恵斗が20番に入ったほか、アタックセンスが光るSO/FB小村真也もベンチから出場をうかがう。

筑波大は先発に4年生が4人、1年生が3人名を連ねる若い布陣となった。FWではセットプレー、ルースプレーを通じて欠かせない存在であるPR木原優作や、ともに身長188cmの梁川賢吉、八木澤龍翔のLOコンビに、コンタクトエリアでの奮闘が期待される。走力が魅力のSH鈴村淳史(4年)とHBを組むのは、優れたスキルセットを有するルーキーの浅見亮太郎(1年)。テンポよくボールを動かして、WTB大畑、WTB植村、FB松永が並ぶバックスリーを存分に走らせたい。

対抗戦グループはこの2校に加え、昨季上位の明治大学、早稲田大学、慶應大学など実力校がひしめき、この試合の結果は大学選手権の出場枠争いを大きく左右する可能性もある。今後のシーズンに向け勢いをつけるという点でも大事な意味を持つ一戦だけに、熾烈な戦いが繰り広げられそうだ。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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