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ファフ・デクラーク(南ア)
優勝した2019年W杯日本大会で見せた守備力、フィジカルはなお健在だった。
7月14日(水)、南アフリカのケープタウンで、欧州ドリームチーム「ブリティッシュ&アイリッシュ(B&I)ライオンズ」を、南アフリカAが迎え撃った。
19年W杯メンバーを23人中16人並べた南アフリカAだが、ピッチではW杯王者の威風はそのままに躍動した。
新型コロナウイルスに感染したジャック・ニーナバーHC(ヘッドコーチ)に代わり、19年優勝監督のラシー・エラスマスDOR(ディレクター・オブ・ラグビ-)が指揮を代行。
そのエラスマスHC代行は感染対策によるホテル生活が明けて、チームは「2回のトレーニングセッション」しかしていないと明かした。
しかし7月24日(土)から始まるB&Iライオンズとのテストマッチ3連戦の前哨戦で、前半から王者は好スタートを切った。
無観客のケープタウン・スタジアムで、まずB&Iライオンズの先蹴でキックオフ。
南アフリカAは金髪のゲームメイカー、SHファフ・デクラークのキック技術を活かすなどしてエリアを前進。
守っては、新型コロナウイルスが陽性判定となったシヤ・コリシに代わり、ゲーム主将を務めたCTBルカンヨ・アムが好タックルを連発。
すかさずコンビを組むCTBダミアン・デアエンディがジャッカルを成功させるなど、衝突の局面から主導権を握る。
すると、まずは12年前のB&Iライオンズ戦にも出場したSOモルネ・ステインのPG成功で3点先制。
さらに前半14分、血の気の多いハードワーカー、LOエベン・エツベスが相手キックをチャージ・ダウン。
これをCTBデアエンディが嗅覚鋭く捕球し、サポートしていたWTBスブ・ンコシが無人エリアを快走。左隅に押さえて10-0とリードを広げた。
意地を見せたいB&Iライオンズは前半27分、CTBオーウェン・ファレル(イングランド)のPG成功で3点を返すが、南アフリカAの防御に阻まれて効果的に前進できない。
すると、ここで「ポケット・ロケット」の異名を持つWTBチェスリン・コルビの健脚が爆発。
キックカウンターでボールを受けたWTBコルビは、緩急とステップを織り交ぜて鮮烈なライン突破。サポートしたゲーム主将のCTBアムのトライをお膳立てした。
「彼(コルビ)はチームに非常に多くのエネルギーをもたらします。不動の主力であり、今日はその理由を示しました」(CTBアム主将)
さらにSOステインが3本連続のプレースキックを決めて、リードはいよいよ14点(17-3)に。
南アフリカのパッション溢れる守備のハイライトは、前半終了間際だった。
前半38分にはSHデクラークが危険なタックルにより、直後にはFLマルコ・ファンスターデンがラックでの反則により、ヤコ・ペイパー レフリー(南アフリカ)は2人連続でイエローカードを提示。
しかしそれまでゴール前で驚異的な守備を見せていた南アフリカAが窮地をしのぎきり、前半を13人のまま17-3で折り返した。
ただ13人相手の南アフリカAに得点できなければ、B&Iライオンズの名誉にかかわる事態だ。
敵陣に入ったB&Iライオンズは後半3分、ゴール前のタップからFWが攻勢。シンプルなFW勝負でユニットのままインゴールへ飛び込み、7点差(17-10)に詰めた。
さらに相手が14人になった後半10分にもPGを決め、欧州最強のドリームチームは4点差(17-13)に迫った。
続く後半28分には、複層的なボール展開からウェールズの新星、20歳のWTBルイス・リースザミットにボールが渡りトライラインに突進。しかしここはダブル・ムーブメントでトライは認められず。
その後、南アフリカAの分厚い守備は崩れず。
最終盤のロスタイムはスクラム・タイム。南アフリカAは出せばゲーム終了だが、スクラムの圧力でSHデクラークがファンブル。
イーブン・ボールとなったが、これを途中出場のダミアン・ウィレムセが間一髪蹴り出し、フルタイムを迎えた。
結局は後半10分から30分間スコアボードが動かず、19年W杯でも見せた南アフリカAの守備力も光り、17-13でホームの南アフリカAが前哨戦に勝利した。
南アフリカAのHC代行であるエラスマスDORは「2枚のイエローカードは目的に沿うものではなかった」と振り借りつつ、試合の強度には満足していた。
「今日の試合は非常に激しかった。華麗ではないかもしれないが、多くのプレイヤーが多大な努力を示してくれました」
敗れたB&Iライオンズだが、本番はあくまで7月24日から始まる南アフリカ代表との3連戦。
試合後、ウォーレン・ガットランドHC(ヘッドコーチ)は手応えを語った。
「私たちは彼ら(南アフリカ)とのタフな攻防を必要としていました。後半の出来には満足しています」
「私たちのスクラムは非常に良く、モールも上手く防御しました。いくつかブラッシュアップすべき精度の問題がありますが、それらは修正できるものです」と前を向いた。
B&Iライオンズはケープタウンに留まり、7月17日(土)に地元のストーマーズと対戦予定だ。
嬉しいニュースがあり、木曜日には日本戦で肩関節脱臼をしたLOアラン・ウィン・ジョーンズが南アフリカに到着した。
今回敗戦はしたが、あくまでも前哨戦。本番へ向けて確実に士気は高まっていくだろう。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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