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ラグビー コラム 2021年7月6日

新たな布陣がどう機能するかに注目。B&Iライオンズのツアー2戦目はシャークスと激突

ラグビーレポート by 直江 光信
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シャークス vs. B&Iライオンズ

国際ラグビー界の4年に一度のビッグイベント、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(B&Iライオンズ)の南アフリカツアーがいよいよ始まった。イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの精鋭によって編成されるドリームチームは、6月26日にスコットランドのエディンバラで日本代表と対戦した後(28-10で勝利)、すぐに同地を出発し、6月28日に南アフリカに到着。7月3日にはさっそくヨハネスブルクでシグマ・ライオンズとツアー初戦を行い、56-14で快勝を収めた。

今回の遠征スケジュールを見ると、B&Iライオンズはまず南アフリカの国内4大クラブ(シグマ・ライオンズ、シャークス、ブルズ、ストーマーズ)および南アフリカA代表と5試合を実施し、7月24日から3週連続で南アフリカ代表スプリングボクスとのテストマッチに挑む。ターゲットはもちろん、ラグビーワールドカップ2019日本大会を制した世界王者、スプリングボクスとのテストマッチ3連戦だ。それまでは2週間で5試合を行うタイトな日程ということもあり、37人のスコッドをフルに起用してゲームをこなしながらテストマッチ出場メンバーを見極め、チームを成熟させていくことになるだろう。

2013年のオーストラリアツアー、2017年のニュージーランドツアーに続いてB&I ライオンズで3回目の指揮を執るウォーレン・ガットランド監督は、「最初の3試合ですべての選手にプレータイムを与える」と明言しており、シグマ・ライオンズ戦は1週前の日本代表戦から先発14人を入れ替えた布陣で臨んでいる。そして中三日で迎える7月7日19時(日本時間深夜2時)キックオフのシャークスとのツアー第2戦も、「水曜日の試合はジャパン戦とシグマ・ライオンズ戦で先発しなかった選手たちを中心にスタートする」という予告通り、ガラリと異なるスターティングラインアップを組んできた。

B&Iライオンズスターティングメンバー

発表された顔ぶれをFWから見ていくと、第1列は左PRマコ・ヴニポラ、HOルーク・カーワン ディッキーのイングランド勢と、日本戦はケガのため直前で出場を回避したスコットランドのザンダー・ファーガソンが右PRに入った。LO陣はゲームキャプテンを務めるイアン・ヘンダーソン(アイルランド)と、負傷のアラン ウィン・ジョーンズに代わって召集されたアダム・ビアード(ウェールズ)。バックローは同じく追加招集のFLジョシュ・ナヴィディ(ウェールズ)、FLトム・カリー(イングランド)、NO8サム・シモンズの3人で、ビアードとナヴィディ、カリーがライオンズでのデビュー戦となる。

HBはSHガレス・デーヴィスとSOダン・ビガーのウェールズコンビで、強靭なフィジカルを誇るバンディ・アキ(アイルランド)と、多彩な能力を誇る万能BKエリオット・デイリー(イングランド)がCTBを組む。バックスリーはジャパン戦でトライを挙げたWTBドゥーハン・ファンデルメルヴァ(スコットランド)に、群を抜く決定力を誇るWTBアンソニー・ワトソン(イングランド)、FBリーアム・ウィリアムズ(ウェールズ)という構成だ。

過去2戦で先発経験があるのはLOヘンダーソン、SOビガー、WTBファンデルメルヴァ、CTBアキ、FBウィリアムズの5人(いずれもジャパン戦)。4日前のシグマ・ライオンズ戦はベンチからの出場だったPRヴニポラ、HOカーワン=ディッキー、PRファーガソン、LOヘンダーソン、NO8シモンズ、SHデーヴィス、CTBアキ、CTBデイリーが今回はスタートで登場する。リザーブ8人中6人はジャパン戦出場組で、シグマ・ライオンズ戦から連戦となるのは22番のFBスチュアート・ホッグと23番のCTBクリス・ハリスの2人だ。

対するシャークスは、過去にスーパーラグビーで4回の準優勝、伝統の国内選手権カリーカップで8回の優勝を誇る南アフリカ有数の強豪クラブだ。今年5~6月に開催されたPRO14レインボーカップSA2021では3勝3敗の3位という結果だったが、スーパーラグビー2020では中断となった第7節終了時点で6勝1敗の首位に立っており、その後10月から11月にかけて行われたスーパーラグビー国内大会(アンロックト)は4勝1分1敗で1位ブルズと勝ち点差4の3位。2020-2021シーズンのカリーカップはリーグ戦3位からプレーオフ決勝に進出し、ブルズと延長戦にもつれ込む激闘を演じている(最終的には19-26で敗れ準優勝)。

シャークススターティングメンバー

現在はB&Iライオンズとのテストシリーズに向け召集された南アフリカ代表スコッド(全46名)に、キャプテンのFLシヤ・コリシをはじめ1チームから最多となる9名(PRトーマス・デュトイ、PRオクス・ンチェ、SHサネレ・ノハンバ、CTBルカンヨ・アム、WTB/FBアペレレ・ファシ、WTBマカゾレ・マピンピ、WTBシブシソ・ンコシ、WTBヤウ・ペンケ)を輩出しており、戦力的にベストとはいえないのは事実だ。もっともチームにはポテンシャルを秘めた逸材がひしめいており、彼らにとってこの一戦は実力を世界にアピールする絶好の機会ともいえる。ヘッドコーチのショーン・エヴェリットはかつてシャークスのユースチームを10年間指導し、若い選手の潜在力を引き出す手腕に定評があるだけに、果敢なチャレンジでB&Iライオンズに対抗することを期待したい。

中でも注目は、2018シーズンに宗像サニックスでプレーした24歳のSOカーウィン・ボッシュだ。パス、キックの優れたスキルセットに天性のラン能力をあわせ持つ気鋭のプレーメーカーで、スプリングボクスのジャック・ニーナバー監督も「何もないところから勝利へと導くことができる」とその才能を高く評価する。今回のB&Iライオンズシリーズでは安定感を重視するセレクションにより代表からは漏れたが、卓越したセンスを存分に発揮してボクスの10番争いに名乗りを上げたいところだ。

登録メンバー23人で南アフリカ代表キャップホルダーはボッシュひとりだが、ルベン・ファンヒールデンとハイロン・アンドリュースの両LOはともに身長2m級のビッグマン。オープンサイドFL(南アフリカでは伝統的に背番号6が務める)のジェームズ・フェンターは179cmと小柄ながら、俊敏さと腰の強い走りが魅力のクワッガ・スミス(ヤマハ発動機/南アフリカ代表)を想起させるファイターだ。CTBにはFLも可のマリウス・ロウと元U20南アフリカ代表主将のジェレミー・ワードが並び、攻守に渡りミッドフィールドを引き締める。キャプテンを務めるのは2019年のU20南アフリカ代表の22歳、NO8ペンドゥラニ・ブゼレジだ。

B&Iライオンズのガットランド監督はメンバー発表に際し、「これまでとまた違ったいくつかのコンビネーションが見られるチャンス。バックロー陣がどう機能するか楽しみにしている」と語り、「パワープレーの強さで知られる相手に対し、フィジカル面で試されることになるだろう」と試合の展望を口にした。7月24日の第1テストまでに残された実戦機会は、このゲームを含めあと4つ。意欲に満ちた世界的実力者たちが新たな布陣でどんなパフォーマンスを見せるのか、注目だ。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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