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ティア1国の風格だった。
23人中18人が2019年W杯メンバーの南アフリカ代表に対し、最後までファイトしたジョージア代表のことだ。
世界ランキング1位の南アフリカが7月2日(金)、無観客のロフタス・ヴァースフェルド・スタジアム(プレトリア)で、同12位のジョージアを40-9で下し、1年8か月ぶりのテストマッチを勝利で飾った。
スコア上は6トライ40得点の快勝劇だ。
7月24日(土)に始まる「ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ」との3連戦へ向けた好発進に映るが、ジョージアは随所でW杯王者を苦しめていた。
序盤の南アフリカは快調だった。
ファーストスクラムによる反則でPG(ペナルティゴール)を許したが、前半5分、敵陣での最初のアタックでトライを取り切ってみせたのだ。
3つのクラッシュで相手を中央に寄せると、4フェーズ目で左大外に運び、この日代表デビューのWTBアペレレ・ファシが左隅にグラウンディング。最初のボールタッチで逆転トライ(5-3)を決めるという鮮烈デビューを飾った。
この試合で代表デビューのアペレレ・ファシ
しかしここから連続得点とはならなかった。
トップリーグではHondaに所属するLOフランコ・モスタートが試合後に語った。
「ジョージアは最初の30分間の集中力が高かった。ディフェンスがとても良かった」
古くから「レロ・ブルティ(レロ)」と呼ばれるコンタクトスポーツがあったジョージアは、スクラムやモールなど肉弾戦にプライドを持つ。
2020年は8か国対抗戦「オータムネーションズカップ」に参加し、イングランド、アイルランド、ウェールズといったティア1に格付けされる欧州強豪と対戦。経験を積んで自信も深めたのだろう。
南アフリカが相手でも臆することはなかった。反則を重ねて自陣に下がりはするが、CTBメラブ・シャカリゼ主将がチョークタックルからボールを奪うなど、接点でのフィジカル勝負で南アフリカを苦しめる。
すると南アフリカは自陣でペナルティを重ね、ジョージアはさらに2本のPGを追加。9-5とリードを広げる。
追いかける南アフリカだがジョージアの守備は崩れない。
タックルセンス溢れるPRグラム・ゴキチャイシヴィリ、小競り合いも起こしたファイターのLOダヴィット・ギガウリ、運動量豊富なFLベガ・サギナゼなど、フィジカル自慢の猛者が堅陣を敷く。
しかし南アフリカは前半30分、この日初めてスクラムを押してPK奪取をすると左コーナー侵入。ジョージアがモールディフェンスで反則を繰り返し、FLサギナゼがシンビン(10分間の一時退場)となってしまう。
さすがに王者相手の14人は苦しかった。
ジョージアは直後のラインアウトモールで前半35分、HOボンギ・ンボナンビに逆転トライを許すと、リスタート後にもWTBファシのショートキックから、快足SHコーバス・ライナーに独走トライを献上。南アフリカが19-9とリードして前半を折り返した。
すると後半、南アフリカの爆弾が炸裂した。
ラグビー テストマッチ2021
【ハイライト】南アフリカ vs. ジョージア|ラグビー テストマッチ|開催日:2021年7月2日
南アフリカのラシー・エラスマス前HC(ヘッドコーチ)は2019年W杯、通常より1人多い6人の控えFWをその破壊力から「ボム(爆弾)スコッド」と呼んだ。
この日の控えFWは通常の5人だったが、後半10分、先発でも遜色ない3人のフロントロー(PRスティーヴン・キッツォフ、HOマルコム・マークス、PRフランス・マルハーバ)が投入されると、仲間からは「レッツゴー!ボムスコッド!」の掛け声が飛んだ。
すると投入直後のスクラムで、ボムスコッドを最前列に据えたスクラムで、ジョージア相手に連続でペナルティを奪取。
まさに爆弾の破壊力で形勢を傾けると、すかさずNo.8スミスがスクラムサイドに突進して後半最初のトライ。7点を加えて26-9とした。
選手層の違いを見せつけた南アフリカは、後半17分にもショートキックの再獲得から途中出場のSHハーシェル・ヤンチースがトライ。同28分にもラインアウトモールをHOマークスが仕留め、40-9と突き放した。
しかしジョージアのエナジーは最後まで尽きず、後半38分には18歳のFBデイヴィット・ニニアシヴィリがこの日2度目のジャッカルを見せた。
終盤までジョージアの力強い抵抗に遭った南アフリカ。
しかしニーナバーHCら指導陣にとっては、この試練こそが望んでいたものだった。
「ジョージアが私たちにプレッシャーをかけたため、前半の私たちの規律は悪かった。ただ、ペナルティをするのはプレッシャーにさらされる時であり、それこそが私たちがどうしてもテストマッチをしたかった理由です」
「テストマッチはタフです。私たちは厳しい練習でお互いを高めていますが、練習で防御やキャリーが完全になることは決してありません。戦術を知っている者同士の練習で自分たちの現在地を知ることは難しい。今日のような試合こそ私たちが必要としていたものです」
また、南アフリカのFLシヤ・コリシ主将は、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦に向けて戦術を隠しているのかと訊ねられたが、自分たちが至らなかっただけだとした。
「何も隠していません。ジョージアが実力を示した厳しい戦いでした。私たちは思い通りのスクラムとモールができませんでした」
課題を手にした南アフリカは7月9日(金)、ジョージアとの2連戦の第2戦に臨む。舞台はヨハネスブルク(南アフリカ)のエミレーツ・エアライン・パークだ。
迫力十分のジョージアは第2テストでどんな戦いを見せるのか。
この第2テストから2週間の準備を経て、南アフリカはいよいよブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズとの3連戦へ向かう。欧州ドリームチームの撃破へ、W杯王者の準備は進む。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
1980年2月1日生まれ、神奈川県出身。法政大学第二高校、法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻修了。スポーツジャーナリストとして『ラグビーマガジン』『Number』『J SPORTS』などに寄稿する傍ら、ユーモアコラムの執筆も行なっている。スポーツにおけるハラスメント防止を目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」理事。共著に『子どもがラグビーを始めたら読む本』(ベースボール・マガジン社)がある
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