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アイルランドに惜敗
7月3日(土)、ラグビー日本代表(世界ランキング10位)はダブリンのアビバスタジアムで、アイルランド代表(同4位)と対戦した。
試合は前半から点の取り合いとなったが、後半、ボールを保持やテリトリーで後手を踏んでしまい、惜しくも31-39(前半17-19)で敗れた。2019年ワールドカップから1年8ヶ月ぶりのテストマッチとなったが、強豪と対戦した今回の欧州遠征は連敗で帰国することになった。
ジェイミー・ジョセフHC
日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は「非常にチャンスはありましたが、勝てなかったことはとても残念。良い準備もしたし、入りも良かったのですが、試合に勝てませんでした。レフリーのディシジョンにももう少し対応しないといけない」。
「ディフェンスは常に課題です。相手がキックを多く使ってきたが、今日は比較的上手く対応できた。しかし、自陣22mに入られてしまったときにディフェンスがしっかりできていないと、すぐに相手にゴール前まで迫られて、今日もいくつかトライを許してしまった」と肩を落とした。
リーチ マイケル(右から2人目)
キャプテンのFL(フランカー)リーチ マイケルは「今日は勝てるはずの試合を落としました。いい試合をしたけど勝てなかった。この結果に満足してはいけない。ティア1のチームに勝つためにどうやればいいかを考えて、常に進んでいかなければいけない」と唇を噛んだ。
ただ、リーチ キャプテンは「(2019年の)ワールドカップが終わってから、ずっとテストマッチができない中で、8週間の合宿を経て、ライオンズや、アイルランドのようなティア1のチームにこのようなパフォーマンスをできた選手たちを誇りに思います」。
「これはコーチやスタッフの尽力ももちろんなのですが、2019年から引き続きリーダーグループが、チームの結束を強めるためにオフフィールドでも、ハードワークしてくれたことの表れだと思っています」とツアーを振り返った。
田村優
チームの司令塔として引っ張ったSO(スタンドオフ)田村優は「勝てるチャンスはたくさんあったと思いますが、勝ちきれずに残念です。個人としては久しぶりにテストマッチの舞台で、日本代表のジャージーを着て試合できたことは嬉しく思います」。
「チームとしては、2年ぶりの試合で歴史あるライオンズと、ティア1のアイルランド代表と試合ができて、勝つギリギリのところまでいけましたけど、いい経験になったと思います」と前を向いた。
ジェームス・ムーア
また、ライオンズ戦に続いて、タックルとライアウトでチームに貢献したLO(ロック)ジェームス・ムーアは「準備の段階からラインアウトからのアタックや空中での競争とか、処理にすごく重点をおいてやってきたので、それがうまい形で出て良かった」。
「ラインアウトのところで、いくつかディフェンスが上手くいかなかったのはチームの課題だと思います。このエリアでチームとしていいディフェンスができれば、もっといいアタックができたと思います」と振り返った。
セミシ・マシレワ
29歳で日本代表初キャップとなったWTB(ウィング)セミシ・マシレワは「前半、ディフェンスで少し苦しんだと自分でも思っています。(後半)FB(フルバック)として出場したが、試合が進むにつれて、ハイボール(キャッチの処理も含めて、自信を持ってやれた部分もあった」と胸を張った。
ライオンズ戦が初キャップとなり、この試合で初トライを上げたSH(スクラムハーフ)齋藤直人と、WTBシオサイア・フィフィタの2人はトライシーンをこう振り返った。
シオサイア・フィフィタ
「嬉しかったです。(田村)優さんのレベルの高いキックのおかげです」(フィフィタ)。
「サイア(フィフィタ)からいいパスをもらって(トライできて)自分も素直に嬉しかったです。味方がゲインしてくれて、最後サポートしていてボールもらってトライするだけだったので、味方のチャンスメイクに感謝しています」(齋藤)。
この2試合を通して得たこと、学んだことを聞かれて、WTBフィフィタは「もっともっと、WTBとして頑張らないといけないと思っていますし、次の秋のテストマッチに向けて、いっぱい学んで成長していきたい」。
齋藤直人
齋藤も「テストマッチは1つのミスから流れが変わったり、勝敗を左右したりするのを感じた。この強度で2試合戦えたことが、本当にいい経験だったと思います。これを次に繋げなければ意味がないと思うので、次のキャンプに向けていい準備したい」と話した
連敗も力を証明した日本代表
日本代表は連敗したものの、2019年ワールドカップから1年8ヶ月ぶり、しかもアウェイでの強豪とのテストマッチで、しっかりとした力がついていることを証明して見せた
ジョセフHCも「常に先を見据えています。セレクションに関しては若い選手を使うことも必要だが、バランスも必要です。長い間試合ができなかったが、今回の2試合で質の高い相手と戦うことができたのは大きな収穫だと思います」。
「選手たちも自信を持って、良い準備をして臨んでいますので、11月のテストマッチでさらに向上していくと思っています」と前を向いた。
日本代表はしばしの休みを経て、9月から再び合宿を敢行し、11月には再びスコットランド代表など欧州の強豪に挑む。
文:斉藤健仁/写真:日本ラグビーフットボール協会
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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