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南アフリカ vs. ジョージア
チャンピオンチームが大舞台へ向けてギアを上げる。
世界ランキング1位の南アフリカ代表“スプリングボクス”が、7月2日(金)、3大会ぶり3度目の優勝を遂げた2019年W杯日本大会の決勝以来、約1年8か月ぶりとなるテストマッチに臨む。
南アフリカのロフタス・ヴァースフェルド・スタジアム(プレトリア)で、「レロス」の愛称を持つジョージア代表(世界ランキング12位)と2連戦の第1戦を行う。
南アフリカ代表が向かう“大舞台”とは、2009年以来12年ぶりにツアーを迎える欧州ドリームチーム「ブリティッシュ&アイリッシュ(B&I)ライオンズ」との3連戦(7月24、31、8月7日)だ。
前回ツアーで1勝2敗で負け越しているB&Iライオンズは、スコットランドで日本代表を28-10で下したのち、8連戦が待つ南アフリカへ渡った。6月30日(水)にはツアー初戦のエミレーツ・ライオンズ戦へ向けた練習を現地で行っている。
南アフリカ代表は2020年からジャック・ニーナバーHC(ヘッドコーチ)が率いている。W杯優勝に導いたラシー・エラスマス前HCをアシスタントコーチ(ディフェンス担当)として支えた48歳だ。
南アフリカ協会は6月5日、B&Iライオンズ戦へ向けた同国代表46人を発表している。
代表引退を表明した3人(PRテンダイ・ムタワリラ、HOスカルク・ブリッツ、FLフランソワ・ロウ)、怪我をしたFBウォリック・ヘラントの4人を除いた全ての19年W杯優勝メンバーが招集され、ノンキャップ選手は9人だった。
前回W杯から大きな戦力ダウンはなく、継続性をもって2年後のW杯フランス大会を迎えられそうだ。むしろ現状における大きな不安要素はピッチ外にあるのかもしれない。
南アフリカは新型コロナウイルスの感染拡大がアフリカで最も深刻で、累計死者数は約6万人にのぼる。目下、南アフリカ政府は強い行動制限をかけており、国内最高峰大会「カリーカップ」のチーターズ×ブルズもキャンセルとなった。
代表チームでもPRヴィンセント・コッホ、SHハーシェル・ヤンチース、WTBスブ・ンコシが新型コロナウイルス陽性に。
元NTTドコモのWTBマカゾレ・マピンピ、CTBルカンヨ・アムが濃厚接触者となり、隔離措置が取られたという(SHヤンチースは後にチームに合流)。
南アフリカスターティングメンバー
ジョージア戦のメンバーはそんな新型コロナウイルスの影響を一部受け、ノンキャップ選手も名を連ねた。
まずは先発の両ウイングだ。
ニーナバーHCが隔離措置となったマピンピのカバーと明言したのは代表初選出の23歳、WTBアペレレ・ファシだ。シャークスではフルバックが定位置で、身長189cmながら俊敏性も備える未来の主力候補だ。
その俊敏性で際立つのが、もう一人のウイングであるWTBロスコ・スペックマン。身長174cmの32歳は、2016年リオデジャネイロ五輪ではブリッツボッカ(7人制南アフリカ代表)の一員として日本を破り銅メダルを獲得した。
3人いるノンキャップ選手の残る1人は、リザーブに入ったFL/NO8ヤスパー・ヴィサ。世界的NO8のドゥエイン・フェルミューレンの怪我により追加招集された25歳だ。
メンバー23人を見てみると、2021年のトップリーグでプレーした選手が5人もおり、日本のラグビーファンは楽しみが尽きないだろう。
ひたむきなLOフランコ・モスタート(Honda)、加速力で魅せるNO8クワッガ・スミス(ヤマハ発動機)、キヤノンの8強入りに大貢献したCTBジェシー・クリエル、安定感抜群のFBウィリー・ルルー(トヨタ自動車)。
そして19年W杯決勝と同様、途中出場からのインパクトプレイヤーとしてリザーブに控える世界的フッカーのマルコム・マークス(クボタ)。
また先発メンバーでは、怪我からの復帰組にも注目したい。
2019年のワールドラグビー年間最優秀選手に選ばれたFLピーター=ステフ・デュトイは、2020年2月、スーパーラグビー2020のブルーズ戦で脚を負傷。
これがただの怪我ではなく、壊死等を惹き起こす急性コンパートメント症候群により脚を切断する可能性もあったという。しかしプレー同様、不屈の精神で手術とリハビリにより危機を脱し、テストマッチにカムバックしてきた。
またフランス1部リーグ「TOP14」のモンペリエに所属していたSOハンドレ・ポラードは、前十字靭帯損傷からの復帰。
ニーナバーHCは同じスタンドオフで代表に選出された36歳、キック名手のモルネ・ステインを高く評価しており、SOポラードは19年W杯得点王(69得点)の意地を見せたいところだ。
そしてキャプテンは、19年W杯でもチームを統率した南アフリカ代表初の黒人主将、FLシヤ・コリシだ。ニーナバーHCはメンバー編成について「バランスが取れている」と語った。
「ジョージア戦で達成したいことを考慮して、最高のチームを選びました。今シーズンに活躍した経験豊富な選手、数人の若い選手がおり、バランスが取れています。ほとんどがワールドカップの優勝メンバーですが、他の多くのプレーヤーも数シーズンの間に代表を経験しています」
そしてジョージア代表については「プレーを見れば世界12位の理由が分かります」と警戒した。
「私たちは昨年のオータムネーションズカップ(欧州強豪6か国にフィジーとジョージアを加えた8か国対抗戦)で、ジョージアが見せた良いパフォーマンスを研究しました。負けはしたもののウェールズと接戦を演じていました(0-18)」
「彼らはセットプレーが強力で、モールも非常に得意です。強いフィジカリティとボールキャリーも強みです」
世界最強とも称されるスクラムを看板とするそんなジョージアは、前出のオータムネーションズカップは0勝4敗。
しかし非公式にシックス・ネーションズBと呼ばれている「欧州インターナショナル・チャンピオンシップ」では5戦全勝。直近では同大会でオランダに48-15で快勝している。
指揮官のレヴァン・マイサシヴィリHCは、南アフリカ代表とのアウェー戦へ向けて、そのオランダ戦から先発15人中5人を変えてきた。
ジョージアスターティングメンバー
PRグラム・ゴキチャシヴィリや代表67キャップを誇るLOコテ・ミカウタゼなど、変更された5人全員がフォワード。フィジカルモンスターが揃う南アフリカへの対抗策にも映る。
そしてフッカーには、日本のファンに馴染みのあるいぶし銀もいる。ジョージア初のスーパーラグビー選手となった元サンウルブズのHOジャバ・ブレグヴァゼだ。
FW第1列は、全員が1勝3敗(プールD敗退)だった2019年W杯のメンバーであり、意地が激突するスクラム対決は大きな見どころになるだろう。
キャプテンは19年W杯でもスキッパーだったCTBメラブ・シャリカゼが務める。ただ注目はセンターコンビを組むギオルギ・クヴェセラゼだ。
21歳で出場した2019年W杯では、初戦からウェールズ相手にビッグヒットを連発。アタックでは鋭いランを繰り返した。
W杯で世界に勇名を馳せると、2020年はオータムネーションズカップのアイルランド戦で、力強い50mの独走トライを決めた。2021年からは英プレミアシップのグロスターでプレーしているジョージアのスターだ。
マイサシヴィリHCはチャレンジへ向けて「南アフリカでスプリングボクスと対戦できることは大きな名誉です」とした上で、メンバー編成の意図、意気込みをこう語った。
「たくさんいる若い選手に経験を積ませ、チームに深みを持たせいと思っています」
「私たちのフォワードは伝統的に強力ですが、相手は最高のフォワードパックを持っている国のひとつ。フォワードだけで戦うことはできません。バックスも活用する必要があります。彼ら(バックス)が出来ることを示せたら嬉しいです」
スクラムやモールの攻防、近場の接点など、FWの真っ向勝負も楽しみだが、ジョージアはバックスでも勝負をかけたい考えだ。
南アフリカにとってはB&Iライオンズ戦への試金石ともなる一番。果たしてどんな勝負が展開されるか。
キックオフが待ちきれない南アフリカ代表×ジョージア代表第1戦は7月2日(金)深夜1:45よりJ SPORTS 1で生中継、J SPORTSオンデマンドでLIVE配信だ。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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