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静岡ブルーレヴズ
6月23日(水)、ヤマハ発動機株式会社が、2022年1月に開幕予定のラグビー新リーグへの参入と、地域に根ざした事業化、静岡県全域でのさらなるクラブの価値向上を目指すため、日本初となるラグビーに特化したプロクラブを設立するにあたり、静岡県庁で会見を開いた。
登壇者は新しい事業会社の社長に就任する山谷拓志氏(6月30日までBリーグの茨城ロボッツ社長)、静岡県ラグビーフットボール協会代表理事の星野明宏氏、静岡県スポーツ・文化観光部スポーツ局スポーツ政策課課長の大石哲也氏、そしてヤマハ発動機ジュビロのGM兼監督の堀川隆延氏の4人。
静岡ブルーレヴズのエンブレム
まず、山谷社長から「静岡ブルーレヴズ」(Blue Revs)という新しいチーム名と、新しいロゴが発表された。
新会社はヤマハ発動機の100%子会社となるという。ホストエリアは静岡県全域で、ジュビロという名前はラグビークラブとして「リブランディングしたい」ということで使わなかったとのことで、ホストスタジアムはエコパ・スタジアムやヤマハスタジアムを使用する(チームの名称やホストスタジアムの認定は新リーグの承認を経て最終決定となる)。
ブルーはもともとヤマハ発動機の色で、レヴズはヤマハ発動機のブランドスローガン「Revs your heart」(心をアゲる)から取り、ブルーとレヴズ(ワクワク感や人を動かす)の2つの言葉をつなげたという。
ロゴには静岡のクラブであり、力強さとレヴズをイメージしつつ、富士山や草薙の剣がデザインされた。また、新エンブレムは富士山や海、ヤマハ発動機の初代ジャージのデザインがモチーフとなった。
4月に静岡県ラグビー協会の代表理事となった星野氏は、「協会として静岡や様々な人を結びつける強烈なハブ役となりたい。このチームが静岡の誇りになるように、ワクワクとか静岡ブルーレヴズの試合を見たら翌日頑張ろうとか、サポートというより当事者として参加していきたい」と力強く話した。
静岡県の大石氏は「静岡県はラグビーワールドカップに向かって、ヤマハ発動機といろんな協力関係を結んできました。選手が学校の子どもたちにラグビーを教えて(ラグビー)精神がいろいろ伝わっている」。
「この関係を今後も続けていきたい。静岡県は、ラグビーに関してはまだまだ後進だが、強いブルーレヴズがあるぞということを誇りに、静岡のスポーツを、ラグビーを牽引役の一つとして進めていきたい」と話した。
GM兼監督の堀川氏
静岡ブルーレヴズのGM兼監督の堀川氏は、「このチームの発足の瞬間に立ち会えることを嬉しく思います。と同時にワクワクしています。静岡の地は不可能を可能にする地だと思っています。2年前にエコパ・スタジアムで日本代表がアイルランドを下した。みなさんの感動と熱狂、最後に1つになるといった空気を味わうことができました」。
「静岡県の代表として、新リーグで日本一を目指して、静岡のみなさんと熱い思いを共有したい。突き抜けて成長して、新しいリーグで日本一を目指して精進したい。また、強化だけでなくラグビーの普及、育成を私たちができる限りのことをやって、熱い熱を発信していきたい」と語気を強めた。
続いて堀川GM兼監督が、新しく法人を設立した背景について「2021年1月から開幕する新リーグは主に事業化、社会化という2つのコンセプトを掲げて発足することになります」。
「今回の法人化はヤマハ発動機の1クラブではなく、そういった新リーグの2つのコンセプトをどれだけやっていけるか。部活であった企業スポーツから一歩出て、静岡県と一緒にラグビーを展開して、持続的なクラブを作っていきたい」と話した。
山谷社長と堀川GM兼監督の出会いは、堀川GM兼任監督が2005年から現役を引退した次の年、山谷氏がスポーツチームに教育研修を広めていく中、選手のリクルーティングを手伝う中でヤマハ発動機と縁ができたという。
堀川GM兼監督は山谷社長を招聘した理由を「(山谷氏がコーチをしていた)オービックシーガルズのチーム作りに共感し、育成を大事にする考え方に惹かれて、コーチ、監督をやっていく中で礎になった」。
「今回、新しく法人を立ち上げるときに、チームのカルチャーを作る人材として山谷しかいないと、新しい会社の社長になってくれないかと(誘って)ご縁をいただいた。我々が大事にしている育成して強くするということを(山谷社長と)ブレずに一緒にやって、強いチームを作っていきたい」と説明した。
静岡ブルーレヴズの山谷社長
山谷社長は何回か断ったが、あまりにも熱心に誘われたことで、ラグビー界での新たな挑戦を決めたという。「昨年50歳になるのですが、声を掛けてくれるチャンスは今後あるのか」と思い、所属チームの理解もあり、今回の就任となった。
もともと山谷社長はリクルートシーガルズでアメリカンフットボールを選手として14年間、オービックシーガルズでコーチを2年やり、日本一も経験。コンサルティング業務を経験した後、バスケットボール界に身を置いて、宇都宮ブレックスで優勝を経験、今季はBリーグの茨城ロボッツを1部に昇格させるなど手腕を発揮してきた。
新クラブの存在意義となるミッションは「確信と情熱で、心躍る最高の感動をつくりだす」、中長期的目標にあたるヴィジョンは「静岡から世界を魅了する、日本一のプロフェッショナルラグビーをつくる」となった。
今後、試合の興行およびクラブ運営事業、ファンミーティング事業、スクール・普及事業、行政・ラグビー協会とのホストエリア連携事業に力を入れていくという。「静岡県、静岡県ラグビー協会、我々クラブが三位一体で役割分担しながらラグビーを盛り上げて、お客さんが入っているし、強いし、日本一になるという状況を作っていきたい」(山谷社長)。
今季限りで引退した五郎丸歩さんも、7月からスタッフとして参画する。山谷社長は「(五郎丸さんには)ブルーレヴズのPRや営業活動、スクールやアカデミーといったラグビー普及業務に協力してもらう」。
さらに「まず、マネジメントをやる上でスポーツビジネスの基礎から取り組んでいただこうということで、チケットの企画、ホスピタリティーの部分を考えて、実際のオペレーションの部分までやってもらいたい。しっかりタッグを組んでやっていきたい」と話した。
山谷社長は「ヤマハ発動機さんの考えはすごいなと思いました。ラグビー界に事業化して、会社を作るなんて衝撃を受けました。日本一を掲げているが、集客や売り上げも日本一になれれば、ラグビー界に風穴というか、ブレイクスルーができるんじゃやないかなと感じています」。
「ホストゲームは8~10試合くらいになりそうですが、もう少しホストゲームで収益を上げる機会があればいいなと思います。1試合あたりの集客がどれくらいになるか鍵になっていきます」。
「日本代表vs.サンウルブズの試合が1万8000人だったのでビックリしました。コロナが少し収まってほしいと思っていますが、できるだけ顧客単価を上げること、コンスタントに1万人集めることにチャレンジしないといけない」と意気込みを語った。
最後に山谷社長は「静岡県、静岡県ラグビー協会のみなさまのご協力をいただきながら、ミッション、ヴィジョンにありました通り、静岡から世界を魅了する、日本一のプロフェッショナルラグビークラブをしっかり作って、ラグビー人気をもっと盛り上げて、静岡県にたくさんのお客さまが来ていただき、経済活動が潤い、静岡も盛り上がりということを描いて取り組んでいきたい」。
「今日、静岡ブルーレヴズがいい旅立ちができました。今後ともどうぞよろしくお願いします」と挨拶した。
静岡ブルーレヴズの新しい挑戦は7月から始まる。スポーツビジネス界で実績を積み上げてきた山谷社長がラグビー界に新たなモデルを作って、新しい風を吹かせていく。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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