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大東大が圧勝
6月13日(日)、「対抗戦vs.リーグ戦」で行われているラグビー関東大学春季大会、グループBの日本体育大学(昨年度関東対抗戦6位)と大東文化大学(リーグ戦6位)の対戦が、神奈川・日本体育大学グラウンド(無観客)で行われた。ともに3戦目となり、春季大会の最後のゲームだった。
ホームの日本体育大学は、初戦の中央大学戦を部員に発熱者が出たため辞退し、2戦目の法政大学戦では12-73で大敗。最終戦となるホームで、勝利して終えたいところだった。一方の大東文化大学は初戦こそ帝京大学に7-57で大敗したが、2戦目の筑波大学では26-20と競り勝ち、いい形で3戦目を迎えた。
日本体育大学は、2戦目はLO(ロック)で出場していた186cmで137kgの巨漢のミキロニ・リサラが右PR(プロップ)として先発出場し注目された。他にもルーキーのHO(フッカー)藤田幹太(筑紫出身)、LO當山恭佑(名護出身)の2人も先発。さらにメンバー発表時はベンチだった万能BK(バックス)のCTB(センター)ハラトア・ヴァイレア(4年)が12番をつけて先発した。
大東文化大は2戦目の筑波大戦から15人中8名と先発メンバーが替わったが、キャプテンHO酒木凜平(4年)、NO8(ナンバーエイト)サイモニ・ヴニランギ(3年)、SO(スタンドオフ)青木拓己(3年)、ルーキーのCTB(センター)ハニテリ・フィラトア・ヴァイレア(青森山田出身)、右CTBペニエリ・ジュニア・ラトゥ(3年)、エースWTB(ウィング)朝倉健裕(4年)らと実力者が顔を揃えた。
ともに昨年度は各リーグで6位と実力を発揮できなかったが、今季は大学選手権に出場し、「ベスト4」以上を目標とする両チームの対戦となった。
日本体育大学はゲームの入りをよくするために「最初の10分にこだわろう」とこの試合に臨んだ。しかし、試合開始早々、スクラムで相手にプレッシャーを受けてしまい、コラプシングの反則を繰り返してリズムをつかめない。
ラグビー関東大学春季大会2021 Bグループ
【ハイライト】日本体育大学 vs. 大東文化大学
大東文化大学はスクラムでペースをつかむと、6分、ゴール前に攻め込み、相手のキックをチャージし、ボールを奪い返して、LO塩見成梧(3年)が押さえて7点を先制する。
たが8分、日本体育大学はCTBヴァイレアが素晴らしいランでトライを挙げて、12分にはPG(ペナルティゴール)も決めて、10-7と逆転する。
しかし、スクラムでの反則から、相手陣奥に攻め込んだ大東文化大学が17分、24分とモールからキャプテンHO酒木がトライを挙げて、19-10と再逆転に成功。
この後も大東文化大学は攻撃の手を緩めない。SO青木がゲームメイク、CTBヴァイレア、CTBジュニア・ラトゥがランでチャンスをつかみ、前半最後にはNO8ヴニランギがトライを挙げて、24-10でハーフタイムを迎えた。
後半もFW(フォワード)のセットプレーで勝った大東文化大学が3分、スクラムを押し込み、NO8ヴニランギがトライを挙げて31点目。さらに自陣から日本体育大学が攻撃を仕掛けるが、大東文化大学がしっかりとディフェンス。カウンターからLO塩見、WTB朝倉、途中出場のWTB鎌田進太郎(4年)らがトライを挙げて、50-10と大きく点差を広げて勝負を決めた。
その後も大東文化大学はラインアウトを起点としたアタックなどを見せて、さらに4トライを重ねた。特にLO塩見はハットトリックの活躍を見せた。
日本体育大学も1トライも返したが、結局、FWとBKがかみ合い、前半4トライ、後半8トライの計12トライを挙げた大東文化大学が76-17で快勝して、春季大会を終えた。
敗れた日本体育大学の田沼広之監督は「前半はスクラムのペナルティで、なかなかリズムのれなかった。(相手)キーマンの留学生中心のアタックをとめられなかったのが敗因につながったと思います」と肩を落とした。
PR(プロップ)砂田優希(3年)は「前半はディフェンスで前に出られていい試合になったが、後半、差し込まれてしまった。まずはセットプレーの安定とディフェンスの精度を秋に向けてやっていきたい」と前を向いた。
FWのセットプレーでリズムをつかみ、留学生で仕留める自分たちの形で快勝した大東文化大学の日下唯志監督は、「スクラムで相手にプレッシャーをかけることができ、特に後半、自分たちの攻撃の形ができてスコアできたことが勝因につながった」と、やはり、勝因のポイントにスクラムを挙げた。
セットプレーをリードしたキャプテンHO酒木は「前半、自分たちのミスで苦しい展開になったが、後半に切り替えて、練習した通りにできたことが勝利につながった。自分たちがやらないといけないこと、課題も出たので、秋までやり切って、初戦からいい試合がしたい」と快勝も反省することを忘れなかった。
チーム内MVPに輝いたルーキーのCTBヴァイレアは「春季大会の最後の試合だったので、みんなが1人1人の仕事ができて良かった。春の大会が終わって、いろんな課題があるが、チームでもう1回練習して、次の試合に向けて頑張っていきたい」と破顔した。
この試合で、両チームとも春季大会の全日程を終えた。試合の勝敗だけでなく、新人も多く出場し、チームはもちろん、個々の選手が成長した春シーズンになったはずだ。春季大会の反省を踏まえつつ、夏合宿などを経て、秋の対抗戦、リーグ戦に向けてチームの強化を続けていく。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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