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会見する藤井雄一郎NTD
日本代表(JAPAN XV)vs.サンウルブズ戦の翌日となった6月13日(日)、男子15人制日本代表の藤井雄一郎NTD(ナショナルチームディレクター)による国内合宿・強化試合の総括、およびブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ、アイルランド代表と対戦する欧州遠征のメンバー(36名)が発表された。
5月26日から大分・別府で合宿を行っていた日本代表は6月12日に、1年8ヶ月ぶりの実戦でサンウルブズに32-17で勝利した。ただ、2019年ワールドカップメンバーが13人先発したものの、接点で後手を踏み、前半は3-14でリードされるなど課題も多かった。
強化担当者である藤井NTDは、「このコロナ禍で、長い間ゲームできませんでしたが、静岡県の方々、ヤマハ発動機の選手、スタッフの皆さんと、サンウルブズの復活に向けて、ヒトコミュニケーションズの安井(豊明)社長はじめ、大久保(直弥)HC(ヘッドコーチ)、沢木(敬介)コーチが難しい状況の中で、チームを作ってくれて、激しい試合ができたので、この経験をしっかりヨーロッパに持っていって、ライオンズといい試合ができるようにしたい」と謝辞を述べた。
改めて、日本代表から合流した選手や候補選手、若手もいたサンウルブズと対戦したことに藤井NTDは「サインプレーも同じものを使うと読まれていたりもしていたので、違う意味でプレッシャーかかってきて良かった。コンタクトレベルも激しかったし、若い選手も試合に出たい、アピールしたいという気持ちがすごくあったので、次につながっている感じがした」と率直に話した。
また、課題も多かった試合に対して藤井NTDは「試合の最初、少しきれいにラグビーをしようとしていたというか、実践的なことは2年間離れていたので、ワールドカップでいいイメージで終われていたところから、もう一度、泥臭いこともやらないといけないというところが見えたと思う。その部分はコーチ陣、リーダー陣がしっかり話し合って修正していくと思います」と振り返った。
サンウルブスに苦戦した日本代表
日本代表は別府合宿で、1日3部練習のハードなトレーニングを行っていた。ライオンズ戦をターゲットにしているため、コンディションは万全ではなかったことは否めない。
藤井NTDも「完全に100%の状態ではなかったと思いますが、それも織り込み済みで、トレーニングしていて、目指すところはライオンズ戦なので、そこに向けて調整している」。
「(合宿では)2週間ハードだが、順調に来たので、なんとなくスッキリしていないところが逆に良かったと思います。なんとなく(2019年ワールドカップ初戦の)ロシア代表戦みたいな感じで、ここから目覚めていくんじゃないかな」と今後のパフォーマンスに期待を寄せた。
また、会見当日、日本代表の欧州遠征メンバー36名が発表された。軽いケガをしていると発表されていたPR(プロップ)具智元(元Honda)、WTB(ウィング)セミシ・マシレワ(近鉄)、試合直前でメンバー外となったFL(フランカー)ピーター・ラブスカフニ(クボタ)の3人も遠征メンバーに名を連ねた。
当初から藤井NTDが話していた通り、4月に発表した日本代表候補選手から新たに日本代表に合流する選手はいなかった。ただ、ケガ人が出たために別府合宿に追加招集され、サンウルブズ側で試合に出場したHO(フッカー)庭井祐輔(キヤノン)、LO(ロック)長谷川崚太(パナソニック)、WTB(ウィング)高橋汰地(トヨタ自動車)の3人は、そのまま遠征メンバーに入った。
だが、同様に日本代表に追加招集され、サンウルブズの一員として試合に出たPR(プロップ)北川賢吾(クボタ)、HO彦坂圭克(トヨタ自動車)の2人は残念ながら落選となり、明暗が分かれた形となった。
気になる海外組2人の動向だが、すでにフランスでのシーズンが終えたWTB/FB(フルバック)松島幸太朗(クレルモン)は十分にライオンズ戦に間に合う可能性があるという。
藤井NTDは「(松島は)基本的には(フランスのシーズンが)終わったらすぐ(日本代表に)来たいと言っていた。彼の場合はニュージーランドと違いすぐ来られるので、来たらすぐ合流して、身体もフィットしているので、戦術だけをしっかり頭に叩き込めば大丈夫だと思います」と話した。
ラグビー日本代表強化試合2021
【ハイライト】日本代表(JAPAN XV)vs. サンウルブズ
一方、来週のトランスタスマンの決勝に進出に進出したNO8(ナンバーエイト)姫野和樹(ハイランダーズ)はニュージーランドからの移動のため、「最後まで出てから帰ってくるので、ちょっと最初の試合(ライオンズ戦)は難しいんじゃないかという話にはなっています」と説明した。
遠征メンバー36名からライオンズ戦に出場できるのは23名だ。サンウルブズ戦では、ベンチメンバーがインパクトを残した。
藤井NTDは「後半出てきた選手にインパクトのある選手が多かった。後半出るか、先発で出るかはわからないが、ジェイミー(・ジョセフHC)はいい評価をしていたと思う」と話すに留めた。
また、「36名、みんな使いたい気持ちはあるんですが、1番のターゲットはライオンズなので、まずはそこを終えた時点でまた次の(アイルランド代表戦の)メンバーというふうになる」とも話した。
日本代表は16日にスコットランドに向けて出発する。コロナ禍のため、クラブチームなどとの対外試合は行わず、チーム内でトレーニングを積んで、6月26日(土)のライオンズ戦(@スコットランド)を迎える。その後、アイルランドに移動して、7月3日(土)アイルランド代表戦(@ダブリン)を迎える。
現地ではグラウンドとホテルの往復で、いわゆる「バブル生活」を送る予定だという。現地ではコロナ対策のスタッフが1人派遣されて、その指示に従って、様々な制限の中で練習をしたり、生活したりする予定だ。ホテルから外出できないため、スタッフの中で、室内でできる遊びやイベントを考えているとのことだ。
現地で制限のある生活の中でも、36名の日本代表選手たちはトレーニングを続けて、6月26日(土)の歴史的一戦に備える。
ラグビー日本代表欧州遠征メンバー(36名)
☆2019年ワールドカップメンバー
◎初招集
※数字はキャップ数
【FW(フォワード):21名】
◆PR(プロップ)
・稲垣啓太(パナソニック ワイルドナイツ/34キャップ)☆
・ヴァルアサエリ愛(パナソニック ワイルドナイツ/14)☆
・垣永真之介(サントリーサンゴリアス/9)
・具智元(HondaHEAT/13)☆
・クレイグ・ミラー(パナソニック ワイルドナイツ/0)◎
・森川由起乙(サントリーサンゴリアス/0)◎
◆HO(フッカー)
・坂手淳史(パナソニック ワイルドナイツ/21)☆
・庭井祐輔(キヤノンイーグルス /8)
・堀越康介(サントリーサンゴリアス/2)
◆LO(ロック)
・ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモレッドハリケーンズ/16)☆
・ヘル ウヴェ(ヤマハ発動機ジュビロ/16)☆
・ジェームス・ムーア(宗像サニックスブルース/8)☆
・長谷川崚太(パナソニック ワイルドナイツ/0)
◆FL(フランカー)
・小澤直輝(サントリーサンゴリアス/4)
・ベン・ガンター(パナソニック ワイルドナイツ/0)◎
・ジャック・コーネルセン(パナソニック ワイルドナイツ/0)◎
・ピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ/8)☆
・リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス/68)☆◎キャプテン
◆NO8(ナンバーエイト)
・テビタ・タタフ(サントリーサンゴリアス/3)
・アマナキ・レレイ・マフィ(キヤノンイーグルス/27)☆
・姫野和樹(トヨタ自動車ヴェルブリッツ/ハイランダーズ/17)☆
【BK(バックス):15名】
◆SH(スクラムハーフ)
・荒井康植(キヤノンイーグルス/0)◎
・齋藤直人(サントリーサンゴリアス/0)◎
・茂野海人(トヨタ自動車ヴェルブリッツ/10)☆
◆SO(スタンドオフ)
・田村優(キヤノンイーグルス/63)☆
・松田力也(パナソニック ワイルドナイツ/24)☆
◆CTB(センター)
・シェーン・ゲイツ(NTTコミュニケーションズシャイニンズアークス/0)◎
・中村亮土(サントリーサンゴリアス/24)☆
・ラファエレ ティモシー(神戸製鋼コベルコスティーラーズ/23)☆
◆WTB(ウィング)
・シオサイア・フィフィタ(近鉄ライナーズ/0)◎
・レメキ ロマノ ラヴァ(宗像サニックスブルース/15)☆
・セミシ・マシレワ(近鉄ライナーズ/0)◎
・高橋汰地(トヨタ自動車/0)◎
◆WTB/FB(フルバック)
・松島幸太朗(ASMクレルモン・オーヴェルニュ/39)☆
・ゲラード・ファンデンヒーファー(クボタスピアーズ/0)◎
◆FB
・山中亮平(神戸製鋼コベルコスティーラーズ/18)☆
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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