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ラグビー コラム 2021年6月8日

復活のサンウルブズ、ラグビー日本代表に牙を剥く24名のスコッドが決定

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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1試合限りの復活となるサンウルブズ(C)JRFU

6月6日(日)、復活したサンウルブズが始動した。さらに8日(火)には日本代表から合流した選手9名と、CTB(センター)鹿尾貫太(ヤマハ発動機)の10名が加わり、12日(土)に静岡・エコパスタジアムで行われる日本代表(JAPAN XV)戦に向けて、急ピッチでチームを仕上げていく。

15人制日本代表ナショナルチームディレクターの藤井雄一郎氏が「とにかく試合時間を長くしたい。(日本代表で出場する)トップの15人はトップの15人で、(日本代表から)サンウルブズに行く選手は、(日本代表の)23名から漏れたのではなく、試合に出したい、出させたい選手がサンウルブズにいく」と話していた通り、8日夜から9名の選手が日本代表からサンウルブズに合流した。

その9名とは、PR(プロップ)北川賢吾、森川由起乙、HO(フッカー)彦坂圭克、庭井祐輔、LO(ロック)長谷川崚太、ヘル ウヴェ、FL(フランカー) ベン・ガンター、SH(スクラムハーフ)荒井康植、WTB(ウィング)高橋汰地の9名で、さらにヤマハ発動機からCTB鹿尾貫太が加わり、「サンウルブズ2021」のスコッドは24名となった。

そんな「サンウルブズ」とは、2020年シーズンまで南半球最高峰のプロリーグである「スーパーラグビー」で、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンのチームのしのぎを削っていた、日本を本拠地とするチームだった。

2019年日本開催のワールドカップに向け、テストマッチレベルの高いインテンシティーの試合を重ねて、日本代表選手を強化するために、2016年から5シーズン、サンルブズはスーパーラグビーに参戦した。2018年は日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が直接指揮を執り、2019年は日本代表のコーチであるトニー・ブラウンがHCを務めた。

サンウルブズは東京・秩父宮ラグビー場だけでなく、シンガポールでホームの試合を行う必要があり、移動距離は1シーズンで地球3周分に及んだり、トップリーグからの準備期間が短かったり、日本代表と選手が行き来し、追加招集の選手が多かったり、毎年選手の多くが入れ替わるなど、様々な障害がある中でも、スタッフや選手は常に前向きに奮闘し続けた。

5シーズン中、4シーズンが最下位で、通算9勝1分58敗となかなか結果は出なかった。それでも選手の成長や経験という点では、国際舞台で戦える自信をつけたことは大きく、2019年ワールドカップの成功には寄与したことは誰の目からも明白だった。

また、日本最初のプロチームということで、諦めず戦う姿は多くのサポーターに支えられた。指で作る狼ポーズや狼の鳴き声を模した「Awooo!」の声援、試合後にボランティアとのハイタッチなど、日本に新たなラグビー文化をもたらしたチームだった。

今回、復活したサンウルブズの指揮を執るのは、最後の2020年シーズンの首脳陣だった2人、大久保直弥HC(ヤマハ発動機HC)、そして沢木敬介コーチ(キヤノン監督)の2人である。2人は同じ歳、そしてサントリーの同期入社で、ともに日本代表でも活躍した名選手であった。

大久保HCは「サンウルブズは最後、日本のファンの前の前での試合がなくなってしまったので、静岡ですがサンウルブズのジャージを着て戦えることに喜びを感じています。時間がない中で自分たちが何をすべきか、そこをクリアにして、厳しいタフな環境でも戦い続けたのがサンウルブズだと思っています。そういったアイデンティティを持って日本代表にチャレンジしたい」と意気込んだ。

「ミスターサンウルブズ」エドワード・カーク

また、キャプテンには、1年目からチームに参加し、2017年にはスキッパーを務め、通算39試合に出場した「ミスターサンウルブズ」のFLエドワード・カーク(キヤノン)が務める。

ジャッカルを得意とするキャプテンのFLカークは、「2度と(復活すると)思っていなかったので嬉しい。(ミーティングで)5年のサンウルブズの歴史をぶつけたいと話しました。ファンが5年間サポートしてくれたので恩返ししたい。1週間しか準備しかないが、それも文化の1つだと思うので、(選手同士で)サポートしあっていい準備をしたい」と意気込んだ。

布巻峻介と「ウルビー」

また、3シーズンで11試合に出場したFL布巻峻介(パナソニック)は「(パナソニックの)みんなと敵でやったことないので楽しみですね!仕事させないように頑張るだけです」と話した。

急ピッチで仕上げるサンウルブズ(C)JRFU

そして、「準備期間がない中でもチームを作っていくのが、サンウルブズの魅力の1つ。試合が始まったらあきらめず、相手にプレッシャーをかけていくことはやりたい。そこはサンウルブズにとって大事なことだと思います」と静かに闘志を燃やしていた。

6月8日(火)の夜、大分・別府で合宿中の日本代表から9名が合流し、24名のスコッドとなった「サンウルブズ2021」は急ピッチでチームを仕上げて、12日(土)日本代表に牙を剥く。

【リポビタンDチャレンジカップ2021 サンウルブズメンバー】

※:4月に発表された日本代表候補に入った選手
☆:6月8日に日本代表から合流した選手

◆PR(プロップ)
・三浦昌悟(トヨタ自動車)
・淺岡俊亮(トヨタ自動車)※
・北川賢吾(クボタ)☆
・森川由起乙(サントリー)☆

◆HO(フッカー)
・彦坂圭克(トヨタ自動車)☆
・庭井祐輔(キヤノン)☆

◆LO(ロック)
・秋山大地(トヨタ自動車)
・リアキ・モリ(日野)※
・長谷川崚太(パナソニック)☆
・ヘル ウヴェ(ヤマハ発動機)☆

◆FL(フランカー)
・エドワード・カーク(キヤノン)☆ キャプテン
・布巻峻介(パナソニック)
・ベン・ガンター(パナソニック)☆

◆SH(スクラムハーフ)
・中嶋大希(NEC)※
・荒井康植(キヤノン)☆

◆SO(スタンドオフ)
・前田土芽(NTTコミュニケーションズ)※
・山沢拓也(パナソニック)

◆CTB(センター)
・梶村祐介(サントリー)※
・ディラン・ライリー(パナソニック)※
・鹿尾貫太(ヤマハ発動機)

◆WTB(ウィング)
・ホセア・サウマキ(キヤノン)
・高橋汰地(トヨタ自動車)☆

◆FB
・尾崎晟也(サントリー)※
・野口竜司(パナソニック)※

【サンウルブズ、5シーズンの成績】

◆2016年:1勝13敗1分(18位)
・HC:マーク・ハメット、キャプテン:堀江翔太

◆2017年:2勝13敗(17位)
・HC:フィロ・ティアティア、キャプテン:エドワード・カーク、立川理道

◆2018年:3勝13敗(15位)
・HC:ジェイミー・ジョセフ、キャプテン:ヴィリー・ブリッツ、流大

◆2019年:2勝14敗(15位)
・HC :トニー・ブラウン、キャプテン:クレイグ・ミラー、マイケル・リトル

◆2020年:1勝5敗(15位)
・HC:大久保直弥、キャプテン:森谷圭介、ジェイク・シャッツ

文:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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