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筑波大学 vs. 法政大学
有望な1、2年生も躍動した法大が白星スタートを切った。
昨シーズンの対抗戦A、リーグ戦1部の4~6位が参加する関東大学春季大会Bグループ。
法大は2016年より指揮官を務めた元神戸製鋼の苑田右二氏が勇退となり、今季よりクボタでプレーした松隈孝三氏、神戸製鋼や釜石シーウェイブスで活躍した伊藤剛臣氏が現場指揮を執る。
法大は大会初戦のターゲットを「順目へのアタックとブレイクダウン」(NO8大澤蓮キャプテン)と定め、その言葉通り、ラックの連取から順目方向へアタックを続けた。
開始直後、筑波大のアタックをいきなりジャッカルでターンオーバーしたのは、法大2年のLO竹部力だ。
大分舞鶴出身の19歳は、父、祖父が法大で大学日本一を経験した楕円球エリート。そんなLO竹部はその後も2度目のジャッカル、パワフルなボールキャリーなど、攻守にわたり見せ場を作った。
一方の筑波大は初戦ということもあってか、連係ミスに苦しんだ。
「本格的な試合は初めてでした。いまの立ち位置を浮き彫りにさせてくれるようなゲームで、逆に良かったと思います」(筑波大・嶋ザキ(山に竒)達也監督)
法大は序盤から連係ミス、ハンドリングエラーが続いた筑波大を攻め立て、前半5分、御所実業出身の2年、FB石岡玲英が抜群の加速力でラインブレイク。
さらに順目にボールを走らせ、この日はジャッカルでも貢献したPR河村龍成のカットパスから、身長182センチのWTB坂田龍之介が先制トライ。7点を先制した。
法大のFB石岡は、その後も高いハイパントなど、キックゲームでもチームの前進を助けた。前半10分、そしてWTB坂田がさらに1トライを追加した同44分には、50mを超えるロングPGも成功させ、前半のワンサイドゲームに貢献した。
筑波大も随所でポテンシャルは見せた。
【ハイライト】筑波大学 vs. 法政大学|ラグビー関東大学春季大会2021 Bグループ
FB松永貫汰キャプテンが流石のライン突破を見せれば、前半28分にはスクラムで押し切りフロントロー(PR木原優作、HO肥田晃季、PR内田康介)も歓喜のペナルティ奪取。LO深山竣介のジャッカルもあった。
前半は無得点(0-20)で折り返した筑波大だが、後半はスタートダッシュも決めた。
後半の筑波大は粘り強く守備面を維持した。相手の順目方向への接点勝負を予想してか、ディフェンスで効果的にプレッシャーをかけ、逆に法大はテンポに対してサポートが追いつかなくなる状況も見られた。
そして後半5分、筑波大は好守から手に入れた攻撃機会で、ルーキー司令塔のSO堀日向太のパスからFB松永キャプテンが右サイドを突破。WTB星野孔志朗が右隅でトライを奪った。
前半から非凡なラン能力も見せていたSO堀は、右隅からのコンバージョンキックを成功。筑波大が7点を返し、13点差(7-20)と詰めた。
しかし法大は崩れなかった。
後半14分にはプレーメーカーのSH隠塚翔太朗がショートサイドから抜け出すと、キックの再獲得から、NO8大澤キャプテンのトライをアシスト。
こちらもルーキー司令塔のSO金侑悟が、トイメンに負けじと高難度のゴールキックを成功させ、ふたたびリードは20点差とした。SO金は前半から特大キックで陣地を挽回するなど、ルーキーらしからぬ安定感でプラン遂行に貢献した。
しかし筑波大も後半24分、ラインアウトからモールで力強くトライ。法大はモールの攻防で課題を残したが、しかし同33分だった。
敵陣ゴール前の自軍スクラムで、徐和真、橋本陸ら途中出場のフロントローがスクラムでファイト。相手バックローのリアクションを遅らせ、NO8大澤キャプテンがすかさず相手バックスとのミスマッチを制し、チーム4トライ目を記録。
そのまま逃げ切り、34-12で勝利を手にした。
筑波大のFB松永キャプテンは「ミスが多く失点に繋がりました」と敗戦を振り返った。
「(法大は)ミスしたボールやセットプレーから、トライまで獲り切れるチームだと感じました。今日はハンドリングエラーなど課題が出たので、修正をして、スローガンである『Link』(リンク)に繋がるような、最後まで繋がり続けるラグビーをしたいと思います」
一方、春季大会を白星スタートで飾った法大のNO8大澤キャプテン。
「順目へのアタックとブレイクダウンがターゲットでした。そこで全員が前に出て、身体を張ってやりきれたことが勝因だと思います。次の日体大さんはFWが強みなので、FW戦で負けず、そこでも前に出てゲームを支配したいです」
両チームの次戦はどちらも5月30日(日)だ。
1敗の筑波大は、同じく1敗の大東文化大学と今季初勝利をかけ、埼玉・セナリオハウスフィールド三郷で対戦する。
1勝の法大は、中央大学との開幕戦が中止となった日本体育大学と、同大グラウンドで対峙する。どちらも無観客開催だが、J SPORTSオンデマンド限定でLIVE配信される。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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