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ラグビー コラム 2021年5月14日

1か月半後の再戦の行方やいかに。ファイナル進出をかけ、今季全勝のサントリーと初の4強入りを果たしたクボタが激突!

ラグビーレポート by 直江 光信
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サントリー vs. クボタ

全16チーム中唯一全勝で勝ち進んできたサントリーサンゴリアスがそのまま突っ走るのか。それとも準々決勝で2018シーズン王者の神戸製鋼コベルコスティーラーズを破り勢いに乗るクボタスピアーズが、初のファイナルへ駆け上がるのか。ともに戦力と気力は充実、タイトなゲームを戦ってきたことでチーム状態もピークに達しつつある。太陽の巨人と、研ぎすまされた槍。いずれが勝つにしても壮絶な激闘になるだろう。

両者は今季、4月3日のリーグ戦第6節で戦っており、その時はサントリーが33-26で勝利している。内容を振り返ると、前半は接点とスピードで上回るサントリーがFB尾崎晟也の2トライなどで23-7と先行したが、後半に入るとクボタが個の突破力を生かして14分から29分までに3連続トライを奪い猛追。26-26で迎えた38分、連続攻撃からFBボーデン・バレットがわずかなギャップを切り裂いて決勝トライを挙げ、サントリーが勝ち切るというゲームだった。

それから1か月半後の再戦で一番の焦点となるのは、セットプレーだ。今季のクボタの大きな強みとなっているのが、世界最強の2番とも評されるHOマルコム・マークス、205センチのLOルアン・ボタ、199センチのLOデーヴィッド・ブルブリングを軸にしたスクラムとラインアウトで、いずれも獲得率92パーセント超とリーグトップクラスの安定感を誇る。一方サントリーも森川由起乙、垣永真之介の両PRにHO中村駿太、堀越康介とフロントローに4人の日本代表候補を擁し、スクラム90パーセント、ラインアウト91パーセントとキープ率は高い。4月3日の対戦では序盤は拮抗した状態だったが、後半に入りクボタが押し込む場面がいくつか見られた。攻守の起点となるプレーで、そこでの優劣は試合展開を大きく左右するだけに、熾烈なせめぎ合いになるだろう。

もうひとつの見どころは、トップリーグ随一の破壊力を誇るサントリーのアタックと、クボタの強固な組織ディフェンスの激突だ。同じレッドカンファレンスでのリーグ戦7試合のスタッツを振り返ると、サントリーの総得点は420(1試合平均60)で、2位トヨタ自動車ヴェルブリッツの288を130点以上も引き離すダントツの数字。一方クボタは失点でサントリーの129に次ぐ130(全体では72のパナソニック、サントリーに続く3位)という成績を残している。世界最優秀選手に2度輝いたニュージーランドの至宝、SOボーデン・バレットのリードするサントリーの多彩な波状攻撃と、ここにきてさらに粘り強さを増してきたクボタ防御のどちらが上回るかが注目される。

両チームのアタックの傾向を見てみると、サントリーが1410回のパス、931回のボールキャリーで72トライを挙げているのに対し、クボタはパス1500、ボールキャリー1049で41トライ。サントリーは1回のボールキャリーあたりのゲインメーターが長く、少ない手数で仕留め切っているのに対し、クボタは小刻みにパスをつなぎフェイズを重ねて攻めるチームであることがうかがえる。実際の試合の印象からも、サントリーはSOバレットの巧みなキックパスやスピードランナーのクリーンブレイクから一発で大きくゲインするシーンが多く、クボタはテンポよく攻撃を継続してチャンスを作り出す場面が目立つ。そうしたスタイルの違いも、この一戦で興味が湧く部分だ。

ちなみに今季クボタが喫した2敗は前述のサントリー戦とトヨタ自動車戦(25-24)でいずれも25点以上失点しており、24失点以内に抑えた試合はすべて勝利している。逆にサントリーが苦戦しているのは、得点が30点台にとどまった時だ。多くのトライが生まれる展開になればサントリー優位、20点前後の勝負になればクボタの流れといえるだろう。

サントリースターティングメンバー

それぞれの懸念材料として、サントリーは対戦予定だったリコーブラックラムズで複数の選手に新型コロナウイルス感染症の陽性者が確認されたため5月9日の準々決勝が中止になり、4月24日のNECグリーンロケッツとのプレーオフ初戦から中3週でこの準決勝に臨むこととなった。試合勘という点ではマイナスだが、ミルトン・ヘイグ監督が「フレッシュな状態でプレーできるので、最後の20分に差をつけたい」と語ったように、十分なリカバリーと準備の時間ができた側面もある。果たしてその影響がどう出るか。

一方クボタは、今季全9試合に出場し7試合で10番を背負ったオーストラリア代表のSOバーナード・フォーリーが神戸製鋼との準々決勝でレッドカードを受け、3試合の出場停止処分となったのは大きな痛手。もっとも、50分以上を14人で戦いながら神戸製鋼に勝ち切ったことはチームの自信になったはずで、外国人選手枠の関係でベンチスタートが多かったニュージーランド代表48キャップのCTBライアン・クロッティを先発起用できることで、これまでと違ったプラス材料もあるだろう。「スコッド全員がクボタウェイを理解しているし、誰が10番に入ってもしっかりパフォーマンスを発揮してくれると思う」とはフラン・ルディケヘッドコーチ。新たな布陣でどんなプランを携えてこの準決勝に臨んでくるのか、興味は尽きない。

クボタスターティングメンバー

発表されたスターティングラインアップを見ると、直前の試合からの変更としてはサントリーが飯野晃司に替わってツイヘンドリックが6番で出場。クボタはSHに井上大介が復帰し、立川理道をSOに上げてクロッティが12番に入った。今季好調を維持する立川が久しぶりの10番、さらにはバレットとのマッチアップでどんなプレーメイクを見せるのか楽しみだ。

他にもスクラムでのPR森川とPR北川賢吾の日本代表候補対決、ラインアウトでの206センチのLOハリー・ホッキングスと205センチのLOボタのタワー対決、ブレイクダウンでのFL小澤直輝とFLピーター・ラピース・ラブスカフニのハードワーカー対決など、さまざまな局面でトイ面同士の見応えあるバトルが繰り広げられるだろう。ノーサイドの瞬間まで目の離せない熱戦になりそうだ。

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文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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