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クボタ vs. 神戸製鋼
クボタは勝利の瞬間、チーム史上初の4強入りが決まる。
立ちはだかる壁は、2018年度のチャンピオンである神戸製鋼だ。
トップリーグ2021はプレーオフ準々決勝を迎えた。
5月9日(日)は、静岡・エコパスタジアムで、クボタスピアーズ(レッドカンファレンス3位)と、神戸製鋼コベルコスティーラーズ(ホワイトカンファレンス2位)が、4強進出を懸けてしのぎを削る。
今季、クボタは躍進した。
開幕5連勝はチーム初の快挙。その後サントリー、トヨタ自動車に惜敗したが、プレーオフ初戦では4強の常連だったヤマハ発動機に46-12で快勝。まさに破竹の勢いだ。
16年度より指揮官を務めるフラン・ルディケHC(ヘッドコーチ)はマネジメントに長け、選手一人ひとりと丁寧に向き合うという。ルディケHCの種蒔きが花開いている。
一方の神戸製鋼はリーグ戦で無敗(6勝1分け)だった。
開幕戦ではNECに38失点を許したが持ち直し、第6節パナソニック戦の引き分け(13-13)で唯一勝利を逃した。プレーオフ初戦では50-17で三菱重工相模原を下し、危なげなく8強入りを決めた。
ただリーグ戦では薄氷の勝利もあった。
1点差(20-19)だった第4節リコー戦。そして後半ロスタイムまで負けていたが、松岡賢太のトライで2点差(31-29)の逆転勝利を収めた第7節NTTドコモ戦だ。
以前の神戸製鋼は格下相手に突然負けるなど一貫性が課題だったように見えたが、18年度は元NZ代表アシスタントコーチのウェイン・スミス総監督がチームをまとめ、トップリーグ元年以来の栄冠を手にした。
ここで負ければ当然、連覇の道は断たれる。一貫性の継承という意味においても負けられない一戦だろう。
大一番の出場メンバーが発表されており、21年度の日本代表候補選手は、両軍の全員がメンバー入りした。
クボタで選出された3選手(PR北川賢吾、FLピーター・ラピース・ラブスカフニ、WTBゲラード・ファンデンヒーファー)。
神戸製鋼スターティングメンバー
そして神戸製鋼で選出された5選手(PR中島イシレリ、NO8ナエアタルイ、CTBラファエレティモシー、WTBアタアタ・モエアキオラ、FB山中亮平)が顔を揃える。
神戸製鋼はプレーオフ初戦から先発15人中3人(FW1人、BK2人)を変更した。
HO平原大敬がリザーブから繰り上がり、スタンドオフはPG合戦に強い高性能キッカーのSOヘイデン・パーカーが務める。WTB山下楽平も2試合ぶりのスタメン復帰を果たした。
ゲーム主将はパススキルも高い共同キャプテンのFLトム・フランクリン、もう一人の共同キャプテンであるSH日和佐篤も揃い踏みとなる。
注目のスクラム戦の最前線で戦うフロントロー(FW第1列)はPR中島、HO平原、PR山下裕史。スクラム最後尾のNO8ナエアタはリーグ戦で10トライ(1位タイ)を記録した193cmのトライゲッターだ。
センターコンビはテクニシャンのCTBラファエレ、元NZ代表の多機能バックスであるCTBベン・スミス。彼らのテクニックからどんなトライが生まれるのか。
クボタスターティングメンバー
一方のクボタはメンバー23人が前戦から変わらない。現状のベストメンバーで大一番に挑む。
FW第1列は運動量豊富なPR海士広大、セットプレーのキーマンであるHOマルコム・マークス、強力なスクラムパワーを誇るPR北川。
南アフリカ出身の両ロック(デーヴィッド・ブルブリング、ルアン・ボタ)はクボタの強力FWを象徴するようなハードワーカーだ。敢闘精神溢れる19年W杯日本代表のFLラブスカフニは、この試合も終盤まで力を発揮するだろう。
ハーフ団は今季好調のSH井上大介、百戦錬磨の19年W杯オーストラリア代表・SOバーナード・フォーリー。
CTB立川理道キャプテンは、弾性豊かな突破を見せるテアウパシオネとセンターコンビを組み、WTBファンデンヒーファー、FB金秀隆らのフィニッシュをアシストする。
両軍のスタッツ(統計数値)を見ると、トライ数などアタックに関する数値は神戸製鋼が優位。特にオフロードパスの回数は神戸製鋼が113回(クボタは65回)でリーグ1位だ。
神戸製鋼が40-36で勝利した昨年12月の練習試合(40分、40分、20分の3本)でも、神戸製鋼がオフロードパスから突破口を開く場面が見られた。オフロードパスの対策は重要項目だろう。
クボタが優勢なのはセットピースの成功率だ。
クボタはラインアウトの成功率が92.5%(神戸製鋼は88.6%)、スクラム成功率が91.1%(神戸製鋼は90.6%)。
もともと強力だったセットピースに19年W杯南アフリカ代表のHOマークスが加わり、いよいよ威力が絶大になった印象だ。セットピースの攻防も大きな見どころだろう。
キックオフは日曜日の昼時だ。「クボタスピアーズ×神戸製鋼コベルコスティーラーズ」は5月9日(日)午後0:30よりJ SPORTS 1、J SPORTSオンデマンドでLIVE配信される。
おたがいに強力FWを擁する、ヘビー級同士の一戦。ド迫力の衝突が目撃できるはずだ。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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