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チームの垣根を越えた仲良し対談テキ×トモ!『やんちゃな次男』ヤマハ・五郎丸歩選手が『真面目な末っ子』クボタ・立川理道選手に伝えたいメッセージとは…?
ラグビーレポート by J SPORTS 編集部仲良し対談テキ×トモ 五郎丸歩選手×立川理道選手
バチバチと身体を当て、時には喧嘩のように熱い感情をぶつけ合うラグビー。
だけど試合が終わると笑顔でお互いを讃え合う―
ラグビーを初めて見る人には不思議な光景ですよね。
今回はそんな、チームの垣根を越えて友情を結ぶ2人の選手をピックアップ。
「試合中は相手(友達)をどんな風に見ているの?」「仲良くなったきっかけは?」など、
気になる疑問に答えて貰いました。これであなたも2人の対戦を見るのが楽しみになる事間違いなし!
今回は、2015年W杯の活躍を始め、日本のラグビーブームをけん引しながらも、残念ながら今季トップリーグで引退を表明したヤマハ発動機ジュビロ・五郎丸歩選手と、サンウルブズや日本代表、そして現クボタスピアーズでキャプテンを務める、人格者にして苦労人、立川理道選手の2人の仲を深堀り!
ひょんな事から行動を共にするようになった2人。お互いにしか見せない秘密の顔とは…?
ハートフルな「兄弟愛」に迫ります!
※取材はリモートで別々に行いました
――2人の出会いは?
五郎丸「一番最初に会ったのはジャパンじゃなくてたしかA代表だったと思います。薫田(真広)さんが監督をされて、スコットランド遠征かなんかに行った時に、(立川選手が)大学生で来ていました。その時は全然喋らなかったですね。スキルもあって上手でしたが、凄く真面目な子なんだろうなという印象でした。」
立川「本当に初めて会ったのは五郎さんが大学生で日本代表に選ばれていて、僕が高校生だったと思うんですけど、その日本代表の試合を大阪の長居競技場(ヤンマースタジアム長居)に見に行った時でした。五郎さんはその時メンバーでは無く、帯同で来ていたんですが、サイン会みたいな事をしていたんですよね。それで『五郎丸来てる!』みたいな感じで、その時の試合のポスターみたいなのを持ってたのでサインをして貰いました。ずっとテレビで見ていた人だったので、同級生皆と一緒に。その時の話をしたら『覚えてねぇわ!』って言われましたけど(笑)その後選手同士として初めて会ったのは、僕が大学4年生で、五郎さんが社会人になられてた時に、“ジャパンA”っていう代表の1つ下のカテゴリーがあって、一緒に遠征に行ったのが最初かなと思います。その時は凄い無口というか、かなり上の先輩でしたし、ツンケンしてる感じで正直ちょっと恐かったです(笑)」
インタビュー動画
「やんちゃな次男」五郎丸歩選手が「真面目な末っ子」立川理道選手に伝えたいメッセージとは?|チームの垣根を越えた仲良し対談テキ×トモ!
――仲良くなったきっかけは?
五郎丸「廣瀬(俊朗)さんと立川が仲良くて、僕と廣瀬さんは元々仲良かったですし、自然と仲良くなった感じですかね。本当に密になったのは筋トレです。エディー・ジョーンズ体制2年目から『身体を大きくしよう』というのがあって。1年目は本当に走って、かなり身体も痩せ細ってたんですけど、2年目から身体を大きくしようとなって。それで廣瀬さんもキャプテンしてましたし、僕もバイスキャプテンをしてたというのもあって、やっぱりチームに対して率先して身体を大きくしなくちゃいけないねって話から取り組みました。もちろん練習も凄くキツかったりしたんですけど、その練習が終わった後に『次の日に(疲労の)影響が一番少ないであろう“腕”を太くしよう』って事で、トレーニングを始めたっていうのが最初ですかね。誰にやらされる訳でも無く、練習が終わったら3人でずっと腕を追い込んでました。」
立川「僕が代表に入った時は同世代が居なくて、1人って感じだったんですけど、そこで廣瀬さんが声をかけくれて、年齢も実際の兄よりも上で、本当にお兄ちゃんのような感じでした。廣瀬さんと腕を鍛えるトレーニングを練習後にしていて、五郎さんも一緒にやってくれるようになって、そこから3人で居る時間が増えました。親密になって、プライベートもそうですし、遠征中のオフも一緒に過ごすようになりました。」
――お互いはどんな人ですか。
五郎丸「“苦労人”って感じですね。前回大会(RWC2015)はずっとメンバーに入っていて、試合も出ましたし、それからサンウルブズで堀江と共同キャプテンをしたり、これからチームを引っ張って行くんだろうなと思っていました。でも縁が無く2019年のメンバーに選ばれなかったりして、非常に苦しんだ時間だったんだろうなという感じはしています。でも彼は非常に前向きで、クボタでもキャプテンをしていますし、(そういう前向きな部分が)リーダーとして間違いないんじゃないかなと思います。」
立川「五郎さんってやっぱりオーラがあるというか、一般的に見てもしっかりされていて、ちょっと取っつき難い雰囲気があるかとは思うんですけど、でもいざ一緒のチームになってみると、チームの事を凄く考えてくれているんです。色んな人を観察して、アドバイスをくれたりとか、声掛けとかもしてくれる人なので、そういう(威厳のある)人からフランクに話しかけて貰えたりすると僕達若手や、新しく入って来た選手達も解け込みやすくなったり、自信を持って練習や試合に臨む事が出来るので、大きな存在だなと思います。」
――一緒に居る時はどんな感じですか。
五郎丸「本当に弟って感じですよね。ちょうど大学も全員入れ替わりなんですよね。みんな4歳ずつ違うんですけど。廣瀬さんが長男、僕が次男で立川が三男って言われてて。大学の時期が被ってたりすると『偉大な選手』みたいな感じなんでしょうけど、皆入れ違いなんで、フラットな状態で付き合ってたって感じですかね。最初立川が全然お酒を飲まなくて、試合が終わった後とかに皆で飲んだりするんですけど、立川はホテルの部屋に帰るというか、逃げるような感じだったので、廣瀬さんと僕でよく飲ませてましたね(笑)」
立川「僕は実際の兄弟の中でも末っ子ですし、その3人の中に居る時も常に甘えていたというか、2人にずっと付いて行って、何をするにも一緒って感じでした。2人が弟のような存在に思ってくれていたら嬉しいですけど。特別優しくされた訳では無く、ずっと甘やかしてくれた訳でもないんですけど、愛情はあって、それが本当の兄弟のような感覚になりました。僕が入った時は廣瀬さんがキャプテンで五郎さんがバイスキャプテンで、でもあんまりそういう空気は出さずにリラックスされていました。僕はその頃まだリーダーシップとかキャプテンシーみたいなのは無くて、でも2人がリラックスする中でもチームや周りをよく見ている発言をしていたり、そういう姿を見て僕もキャプテンになって行ったのかもしれません。どちらかというと廣瀬さんも五郎丸さんも皆の前でふざけたりしない方だと思うんですけど、3人で居る時はふざけたりして、割と素で居られるような空気だったのかなとは思います。」
――好きな所、直して欲しいところ。
五郎丸「立川の良い所はやっぱり常に前向きで、自分自身もそうですし、チームもそういう方向に持って行ってくれる所ですかね。それが彼の魅力ですし、あとはやっぱりラグビーに対して本当に真面目ですね。常にラグビーの事を考えています。
直して欲しいのは、お酒が全然進まない所くらいですか(笑)あんまり見当たらないですね。」
立川「五郎さんは漢気がありますよね。あとはお酒飲んだ時にたまに出る九州の言葉が僕は好きです(笑)廣瀬さんも五郎丸さんもお酒が好きで…試合が終わった後の打ち上げとかも、最初はチームで飲み始めるんですけど、そこから皆バラバラになって、大体僕ら3人で2次会3次会ってなります。合宿中、試合がキツくて、次の日オフってなった時は本当に嬉しくて、みんなで飲んで、僕もそんなに飲めないんですけど一緒に飲んだりして、エレベーターに転がり込みながら乗ったりした事もありましたね(笑)立てなくて引きずり出すみたいな(笑)僕は潰れるまで飲むことは無かったので、2人が深くまで飲む時は僕が頑張って保ってた感じがします。五郎さんは飲むのも好きだし、飲ませるのも上手なので、逃げ回ってました。それこそ廣瀬さんとかに隠れて。五郎さんはスイッチ入ると凄いですね(笑)」
――五郎丸選手の引退に向けて思う事は。
五郎丸「引退をする前には廣瀬さんに連絡をして、『そっち側に行くんでよろしくお願いします』みたいな感じで話していました。多方面で活躍されてる姿は本当に兄貴だなって感じですね。ハルにはまだまだ現役を続けて欲しいですし、僕と廣瀬さんは立川のプレーを見ながら週末にビールを飲んで『あーでもないこーでもない』って言うのを楽しみにしてます(笑)彼はまだまだやり残した事や、やらなくちゃいけない事が多くあると思いますから、本当に頑張って欲しいですし、何か自分が力になれる事があれば何でもサポートして行きたいなと思います。」
立川「引退の前に試合で当たれたら光栄ですし嬉しいですよね。
引退を表明されてからもそうですけど、一貫性を持ってプレーされているように思います。メンバーに入ったり入らなかったり、どんな状況であっても常にチームの事を考えている感じがするので、五郎さんらしいなと思いました。
これまで本当に日本ラグビーに貢献されて来た方なので、しっかり引退セレモニーみたいな物もしてあげたいなと思っています。みんなの大きなセレモニーとは別に、3人で祝いたいなとも思いますね。」
――ラグビー人生において「友達」とはどういう存在でしたか。
五郎丸「どうでしょうね。“戦友”って感じですかね。代表もそうだし、ヤマハもそうだし、色んなジャージを着てチームのために戦う。ラグビーっていうのは身体を張って戦うスポーツなので、友達っていうより戦友って感じです。やっぱりどこか気持ちに浮き沈みがありますし、試合中も、試合に向かうまでの準備の間も、気持ちが落ちてしまう事もあったりしますけど、色んな選手達の背中を見てると『あぁ、自分もまだまだやらなきゃいけないな』という気持ちになったりします。そういった意味では本当に皆に励まされて、ここまでやって来れたなという感じがしますね。」
――最後、お互いに向けてメッセージをお願いします。
五郎丸「ハルは2015年を共に戦った戦友ですけども、本当にプライベートでも仲良く、弟のような存在として共に戦って来れた事を嬉しく思います。今年私は引退しますが、ハルはまだまだラグビーを続けて貰って、次世代の選手達に夢や希望を与えて欲しいです。
自分の力を出し切って、苦しくなったら僕と廣瀬さんの元へ帰って来て下さい。
ラグビー人生の中でハルに出会えた事は、僕にとって本当に嬉しい事でした。
今後も仲良くやって行きましょう。」
立川「五郎さんとは2015年ワールドカップを一緒に戦えて凄く光栄でした。そこで五郎さんがメディアだったり、大変な仕事を一気に引き受けてくれて、日本ラグビーは凄く大きな物に変わったと思います。沢山の物を五郎さんが背負ってくれて、とても感謝していますし、そういう姿を2019年戦った選手達が見ていた中で、あの結果が出たと思います。僕自身もそういう選手になりたいと思って今頑張っています。五郎さんのような選手になれるように、少しでも長く現役を続けたいなと思います。
引退後は釣り番組ばっかり狙わないでラグビーの普及もよろしくお願いします(笑)」
先に引退をした廣瀬選手も含め、育んで来た3兄弟の絆。立場は少しずつ変わっても、それぞれ自分にしか出来ない道に進んで行く姿は重なる物がありました。果たしてプレーオフで2人の対戦は実現するのか!?是非お楽しみに!
文:J SPORTS 編集部
J SPORTS 編集部
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