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クライマックスへ向けたプレーオフトーナメントが開幕。レッドカンファレンス7位の三菱重工相模原に、トップチャレンジ3位のコカ・コーラが挑む。
ラグビーレポート by 直江 光信三菱重工相模原 vs. コカ・コーラ
2月20日に開幕したラグビーの国内最高峰リーグ、『ジャパンラグビー トップリーグ2021』は7節に渡るプールマッチを終え、今週から下部リーグにあたるトップチャレンジリーグの上位4チームを加えた20チームによるプレーオフトーナメントに突入する。1回戦ではレッド、ホワイト両カンファレンスの7、8位が、トップチャレンジの1~4位と対戦。トップリーグ勢にとってはプライドをかけた絶対に負けられない一戦、トップチャレンジ勢にすれば1年をかけて照準を定めてきたまさにチャレンジの機会であり、白熱したゲームになることが期待される。
挑戦を受ける立場の三菱重工相模原ダイナボアーズは、第6節終了時点でレッドカンファレンスの6位につけながら、最終節で同8位のHonda HEATに7-55と完敗。7位に転落し、プレーオフトーナメント1回戦へ回ることとなった。今季は第2節で宗像サニックスブルースに30-23で勝利し、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスにも26-26と引き分けるなど進歩を感じさせる戦いを続けていただけに、悔いの残る敗戦となった。
もっともそのHonda戦は前半26分にレッドカード退場者を出し、試合のほぼ4分の3の時間を14人で戦うというアクシデントが大きく影響したのも事実だ。出来不出来の波が激しく、大敗を喫するゲームもある半面、持ち味を発揮した時は上位チームにも好勝負を演じており、ポテンシャルは決して低くはない。前節のショックからいかに立ち直り、自分たちのスタイルを取り戻せるかが、今週のテーマになる。
挑むコカ・コーラレッドスパークスは今季、トップチャレンジリーグのBグループで豊田自動織機シャトルズに19-39と敗れ、2位で順位決定戦に進出。その初戦はAグループ1位の近鉄ライナーズに11-71で完敗したが、その後清水建設ブルーシャークスに47-21で勝利し、トップチャレンジ3位でプレーオフトーナメントに進んだ。近鉄戦では前半30分まで11-12と対抗できていたものの、その後の10分あまりで3トライを許し、後半は一方的な展開に。浮き彫りになった接点と防御面の課題をどこまで克服できたかが問われるゲームになる。
三菱重工相模原スターティングメンバー
先発メンバーを見ると、三菱重工相模原は前節から5人が入れ替わり、LOエピネリ・ウルイヴァイティ、FL小林訓也、CTBラトゥクルーガー、WTBレポロテビタ、FB石田一貴が新たに名を連ねた。リーグ戦全7節で10番を背負った要のコリン・スレイドが前節頭を打って欠場となり、12番だったジェームス・ウィルソンが代わって司令塔を務める。FB石田は清水建設から昨年7月に移籍加入したニューフェイスで、2019年に世界選抜の一員にも選ばれた実力者。NTTコミュニケーションズで活躍するFB石田大河は弟で、優れたスキルセットと状況判断力で首脳陣から高い評価を受ける。
全体的に強靭なフィジカルを強みとする選手をそろえてきた印象で、コンタクト局面を制圧してたたみかける――というのが、首脳陣の思い描くイメージだろう。そうしたパワーランナーにいい形でボールを持たせるために、SH榎本光祐、SOウィルソン、FB石田らがいかに試合を組み立てるかが、ひとつのポイントとなりそうだ。ゲームキャプテンを務めるのは、かつてクルセイダーズの一員としてスーパーラグビー優勝を経験したハードワーカー、NO8ヘイデン・ベッドウェル=カーティス。
コカ・コーラスターティングメンバー
2週前の清水建設戦からPR猿渡康雄、WTB八文字雅和の2人が入れ替わったコカ・コーラでは、FLウィル・マンゴス、FLブロディ・マカスケル、NO8ジョセフ・トゥペと外国人選手3人が並ぶFW第3列の攻守に渡る働きが、主導権を握る上での鍵になるだろう。SOベン・ルーカスはセブンズオーストラリア代表やスーパーラグビーのレッズで活躍したプレーメーカーで、優れたランニングセンスと多彩なスキルを兼ね備える。WTBジョー・カマナ、FB吉澤太一はともにセブンズ日本代表経験を持つ決定力が自慢のランナー。ラグビーワールドカップ2019で日本代表のFBとして存在感を示したウィリアム・トゥポウは、13番で幅広いディフェンス力を発揮することが期待される。
プレーオフトーナメントは負ければ終わりの戦いだけに、各チームともすべてをかけて臨んでくる。リーグ戦とは違う緊張感がピッチに張り詰め、一つひとつのプレー強度も格段にレベルアップする。これまで以上に目の離せない80分間になるはずだ。
なお、コカ・コーラは2018年度のトップリーグで16位に沈み、入替戦でNTTドコモレッドハリケーンズに24-33で敗れてトップチャレンジリーグへ降格。くしくも同じタイミングで豊田自動織機との入替戦に31-7と勝利してトップリーグ昇格を果たしたのが、三菱重工相模原だった。そこからの2年半で両者の力関係がどう変化したかという点も、この試合のひとつの興味となる。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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