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トップリーグ屈指のスクラムマンにして、得意のイラストでも魅了するラグビー界の人気者。日野レッドドルフィンズのPR(プロップ)浅原拓真。
山梨・甲府工業-法大-東芝と進んだ浅原は、日本代表で12キャップを持ち、スーパーラグビーに5季参戦したサンウルブズ(日本)では最多43キャップを誇る。
映画『トイストーリー』のキャラクター「バズ・ライトイヤー」に似ていることから「バズ」の愛称を持つ。そんな浅原が語る絵のルーツ、そして今季トップリーグ、所属する日野の魅力とは?
■多芸多才のプロップ!絵の才能は幼少期から
浅原拓真選手
──幼少期から絵が得意だったのですか?
得意かどうかは分からないですけど、本当に小さい頃から絵を描いていました。絵というよりはイタズラ書きですかね(笑)。
バスケ部だった中学時代はバスケの絵をめちゃくちゃ描いていて、体育祭の旗も描きました。高校の時は学園祭の入場門もデザインしてましたね。
──ラグビーをしながら絵を描くのは大変では?
スマホをいじる代わりに描いているようなものなので(笑)。
ただ毎日は描いていませんね。練習後は疲れていますし、家に帰ったら子供(4歳の娘、2歳の息子)の世話をしなきゃいけないので。描くときはiPadのAppleペンシルを使っています。めちゃくちゃ楽しいですよ。
──絵のキャリアも考えていますか?
考えてないです(笑)。仕事にできるならしたいですけど、そんなに甘い世界じゃないので。
──いま制作中のイラストは?
日本代表が6月にブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(伝統の英愛4か国合同チーム)と戦うじゃないですか。それを勝手に描こうと思ってます(笑)。描いたら誰かが拾ってくれるかなと思って。すいません(笑)。
■育児に積極参加するイクメン。特技は「オムツ替え」
──絵を描く以外の特技はありますか?
息子のオムツを替えるのが速い(笑)。意識的に速くしていますね。アスリートなので、常にチャレンジしちゃうんですかね。…これ使いづらいですよね(笑)。
インタビュー動画
浅原拓真選手インタビュー|ラグビー トップリーグ2021 日野レッドドルフィンズ
──積極的に子育てをしているんですね。
奥さんが夜中に起きたりしているのを見て「子育てってこんなに大変なんだな」と思ったのがキッカケですね。しかも僕はサンウルブズに参加していた時は、海外遠征で1か月とか家を空けていたりしました。僕や奥さんの実家を頼ったりしていましたが、とはいえ大変でした。
浅原拓真選手
──奥様にメッセージを伝えるとすると?
これは恥ずかしいですね(笑)。
いや、ほんとに、いつも美味しい御飯と、最高の育児をして頂いてありがとうございます。ご迷惑をおかけすることもあるかもしれませんが、広い心で接して頂ければと思います。…という感じです!
■最多キャップのサンウルブズは「できれば復活を」
──浅原選手といえば、16年から5季スーパーラグビーに参戦した日本チーム、サンウルブズの最多キャッパー(43)です。
17年は海外遠征などで地球2周半分を移動しました。時差とも戦いながら転戦、転戦して…。めちゃくちゃタフな経験でした。
いまの若い選手がその経験をできないことは、すごくもったいないというか。若い選手にどんどんどんそうした経験を積んでほしいのに、それが出来ないのは悲しいので、できれば復活してもらいたいですね。あれだけ成長できる場所はないと思うんです。
──サンウルブズに参加すると成長度が違うのですね。
スーパーラグビーは対戦相手にオールブラックス(NZ代表)もゴロゴロいる。本当に貴重でした。
サンウルブズがなかったら、僕は19年W杯で日本代表はベスト8に入っていないと思います。僕はW杯に出られなかったですけど、W杯ベスト8の一要因になれている、という自負はあります。勝手にそう思ってます(笑)。
■今季トップリーグは好ゲームの連続。「何が起きるか分からない」
──今季のトップリーグは盛り上がっていますね。
今年はキヤノンがヤマハ発動機に勝ったり(40-32/第4節)、リコーが神戸製鋼と1点差の試合をしたり(19-20/第4節)、何が起きるか分からないですよね。
良い選手、良いコーチが入ったチームがどんどん力をつけてきている。NTTドコモもそうですよね。日野もそれに乗り遅れないように頑張りたいです。
──東芝から19年に移籍した日野は、加入時からどう成長をしていますか?
去年からメンバーはあまり変わっていませんが、監督が箕内(拓郎)さんになったり、外国人のDFコーチが入ったりしたことで、より自分達のやることが明確になりました。言い換えれば「信じるものができた」。そこが去年と違うところだと思います。
──日野は面白いチームビルディングをたくさん採り入れているそうですね。
今年は「ラグビーを楽しもう」という文化もできています。たとえば選手スタッフを4チームに分け、得点を競っています。
その中のひとつで、マーカーペンを使ったチャンバラのようなチームビルディングをやったりしています。代表者の2人を囲んで、その中にマーカーペンを持った上半身裸の2人が入って、どっちが先に身体に色をつけられるか、という(笑)。
あとスタッフ全員が、合宿終わりとか節目の時にフィットネスをやってくれるんですよね。箕内監督から主務、メディカルとかスタッフ全員ですね。僕ら選手は「がんばれー!」と応援しているだけ(笑)。そういうのも嬉しいんですよ。
──チームの雰囲気が良さそうですね!
チームビルディングは選手が発案しています。箕内監督も選手に任せる所は任せてくれる監督です。どっしりとしていて、言葉に力のある人ですが、フランクに話すこともできます。
コロナ禍で日野は他のチームより練習再開が遅かったり、最初はフィットネスに専念していたりしたんですが、今は楽しくみんなでワイワイやっています。
■「僕はプロップ。まずスクラムで相手に勝ちたい」
──日野は順延された第4節NEC戦で、待望の今季1勝目(10-7)を手にしました。
みんなの喜び方がスゴかったですね。ただ試合後に飲み会はできないので、それは寂しかったですけど、僕らノンメンバーはチームのクラブハウスに集まって応援していました。めちゃくちゃ嬉しかったですね。
──浅原選手から見た、日野の注目選手は誰ですか?
1年目のCTB(センター)の川井太貴ですね。身体は大きくないんですが、闘志が漲っていて、痛いプレーを平気でする。ああいう選手が試合に出場できていることを嬉しく思います。
──あらためて、今シーズンのご自身の意気込みを教えてください。
僕はプロップ。まずスクラムで相手に勝ちたいですね。また日野がいま取り組んでいるディフェンスを、僕自身も試合で体現したい。ぜひ日野のディフェンスにも注目して頂ければと思います。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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