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ヤマハ発動機 vs.神戸製鋼(3/27)
ヤマハ発動機のファンは、その発表に意表を突かれたのではないだろうか。
「トップリーグ2021」第5節で神戸製鋼に22-53で敗れた、翌28日(日)のことだった。
ヤマハ発動機の公式SNSが、神戸製鋼との練習マッチに26-24で勝利したと発表したのだ。
それはいわゆるBチーム同士の試合で、無観客試合のため事前告知は控えていたという。敗戦の翌日だっただけに驚いたファンもいただろう。
ヤマハ発動機の堀川隆延GM兼監督は、その試合で好調だったCTB白井吾士矛らを翌週のNTTドコモ戦に先発させた。
「日曜日にヤマハ発動機のBチームが神戸製鋼に勝ちました。そこでパフォーマンスが良かった選手を起用しました」
神戸製鋼戦で自信をつけたヤマハ発動機のスタメン予備軍は、第6節NTTドコモ戦に出場するメンバーにプレッシャーをかけた。
迎えた4月3日(土)、2勝3敗でレッドカンファレンス4位のヤマハ発動機は、大阪・万博記念競技場で、4勝1敗で同3位のNTTドコモと激突した。
後半途中までは、ヤマハ発動機が主導権を握る「ヤマハ劇場」が展開された。
その中心にあったのが強烈なセットプレーを中心とした「ヤマハスタイル」だ。特にスクラム戦はファースト(スクラム)からペナルティを奪うなど効果抜群だった。
序盤はNTTドコモが猛攻するが、LOヘルウヴェがジャッカル成功。敵陣に入ってもLOヘルウヴェがフィニッシュし、得点機で幸先よく先制した。
さらにヤマハ発動機は前半12分、フルバックを努めた マカゾレ・マピンピがDFラインに参加したところで、SO清原祥が防御裏へグラバーキック。WTBシオネ・トゥイプロトゥが無人エリアで捕球して連続トライ。
さらに、くだんのB戦に出場していたFB五郎丸歩の突破を足掛かりとして3トライ目を奪い、前半15分間で3連続トライ。スタートダッシュを決めて19-0とした。
NTTドコモも前半20分にラインアウトモールで1トライを返すが、同37分にはゴール前の混戦からPR伊藤平一郎が押し込み、ヤマハ発動機の優勢(26-7)で後半へ向かった。
【ハイライト】ヤマハ発動機 vs. NTTドコモ|トップリーグ2021 第6節
後半4分にはスクラムで3本目のPKを奪って敵陣に入ると、猛攻を受けたNTTドコモのFBマピンピが、トライ目前の相手プレーをインテンショナル・ノックオンで防ぎ、シンビン(10分間の一時退出)に。
このプレーがなければトライだったとして、ヤマハ発動機にペナルティトライ(PT)が与えられ、ヤマハ発動機のリードはついに26点(33-7)に。
しかし、今季旋風を起こしているNTTドコモは、14人で2トライを奪ってしまう。
まずファーストレシーバーとなったSHペレナラが後半8分、CTBサミソ二・トゥアの突破をアシストして後半のチーム初トライ。33-14
さらにNTTドコモは、ヨハン・アッカーマンHC(ヘッドコーチ)が信頼するキャプテン、LOローレンス・エラスマスがビッグプレー。
ラック中央をピックで抜け出すと、防御裏へのキック&再獲得。ひとりでトライを獲り切り、ビハインドを12点(21-33)に縮めた。
ここから試合は一進一退に。
後半20分には19年W杯日本代表のFLヴィンピー・ファンデルヴァルトが相手の反則を誘発、一方のヤマハ発動機は後半26分にNO8クワッガ・スミスがジャッカル。
それぞれが持ち味を出してトライを許さず、両者無得点。ヤマハ発動機は後半36分過ぎの12次攻撃もしのぎきり、33-21で今季3勝目を手にした。
今季2敗目を喫したNTTドコモのアッカーマンHCは「残念だったのは前半コンタクトエリアでドミネート(制圧)されたこと。ボールはよく動かしたがコンタクトで負けていました。ただ後半の働きは誇らしく思います」と敗戦を振り返った。
4勝2敗となったNTTドコモは、次週のリーグ戦最終節(第7節)は4月10日(土)。大阪・東大阪市花園ラグビー場で、王者・神戸製鋼との「阪神ダービー」に臨む。
3勝目を手にしたヤマハ発動機の堀川GM兼監督は「自分達のスタイルが遂行できたのは前半と後半の5、10分くらい」
「ただ自分達がスタイルを遂行すると、どういう結果になるのかを選手達が感じてくれたと思う」と手応えを語った。
一朝一夕ではいかないスクラムはヤマハ発動機のアドバンテージだった。「クラウチ、バインドの時点で『今日は勝てる』と全員が思っていた」と語ったのはFL大戸裕矢キャプテン。
そのFL大戸キャプテンの実感では、勝利の貢献度が大きかったのは出場メンバーだけではない。
「今週一週間はBチームが底上げしてくれました。どのチームよりもBチームが強いのではと思うくらい、勢いをもってやってくれて、試合より厳しい状態を作ってくれました。最高の準備ができたと感じています」
上り調子のヤマハ発動機の次戦は4月10日(土)。
埼玉・熊谷で対峙する相手は、トップリーグ最高峰の守備力を誇るパナソニックだ。ギアを上げてきたヤマハ発動機が敵地に乗り込み、どんな攻撃で牙城を切り崩すか。今から楽しみなビッグゲームだ。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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