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ノックアウトステージ最初のゲームはチャンピオンズカップならではの魅力あふれる一戦に。ラ・ロシェルが堅守でグロスターを振り切る。
ラグビーレポート by 直江 光信イハイア・ウエスト
ヨーロッパ最強クラブの座を争う『ハイネケン・チャンピオンズカップ』が、3か月半ぶりに再開された。今季は新型コロナウイルス感染拡大の影響でプールマッチの第3、4節が中止となり、2節終了時点でのプールA、プールBの上位8チームずつがノックアウトステージに進出。さらにその初戦に予定されていた4月2日(現地時間)のレンスター(アイルランド)対トゥーロン(フランス)も、トゥーロンのツアーメンバー外の選手に陽性者が確認され、多くの出場予定選手が濃厚接触者となったことから、キックオフ直前にキャンセルされるという波乱の滑り出しとなった。
コロナ禍での大会実施、それも国境をまたいで試合を開催する難しさがあらためて浮き彫りになった格好だが、結果としてノックアウトステージ最初のゲームとなったグロスター(イングランド)対ラ・ロシェル(フランス)戦は、異なる国の強豪クラブがリーグの枠を超えて激突することの醍醐味を随所に感じさせる充実の内容だった。
2015年のラグビーワールドカップイングランド大会でジャパンがスコットランド、アメリカと戦ったグロスターのホーム、キングスホルムスタジアムで行われたこの試合。負ければ終わりのトーナメント戦らしく、序盤から引き締まった攻防が繰り広げられた。開始2分、ホームのグロスターが20歳のSOジョージ・バートンのPGで先制すれば、フランスTOP14で現在2位と好調のラ・ロシェルも8分、LOウィル・スケルトンのオフロードからFLケヴィン・グルドンが抜け出し、サポートしたFBディリン・レイズが右中間にトライを挙げて5-3とすかさず逆転する。
それぞれ1本ずつPGを加え8-6で迎えた22分には、ラ・ロシェルが敵陣10mライン付近のラインアウトからテンポよくラックを連取し、WTBアルチュール・レティエールが右コーナーに飛び込んで15-6とリードを広げる。しかしグロスターも31分に粘り強くFWで近場を攻め続け、最後はNO8ルアン・アッカーマンが密集脇をねじ込んで右中間にトライ。その後、36分にラ・ロシェルのCTBレヴァニ・ボティアがあざやかなラインアタックからインゴールへ駆け抜けたが、これは直前のラックでノックオンがあったとしてトライは認められず、15-13とラ・ロシェルの2点リードで前半を折り返した。
ハイネケン・チャンピオンズカップ2020/21 プレーオフ 1回戦
【ハイライト】グロスター vs. ラ・ロシェル
後半も立ち上がりからお互い積極的にボールを動かしてアタックを仕掛けるが、どちらも攻め込まれた場面での防御の集中力が高く、あと一歩でトライに届かないシーンが続く。そうした流れの中、グロスターのキャプテンのFLルイス・ラドロウが47分にシンビンで一時退場となると、ラ・ロシェルはその後の10分間でSOイハイア・ウエストが2本のPGを決め、21-13とワンチャンスで追いつかれない差までスコアを広げる。
グロスターも59分にバートンがPGを成功させてふたたび5点差に詰め寄ったが、以降はラ・ロシェルがトップ14でダントツの最小失点を誇る堅守で決定機を作らせず、粘ってしのぐ時間が続く。そして65分に交替出場のSOジュール・プリソンがハーフウェーライン付近からのロングPGを見事に決めると、71分にもスクラムを押し込んで奪ったペナルティでプリソンがPGを追加し、11点差に。以後、スコアの有利を生かして残り時間をきっちりと締めくくり、準々決勝一番乗りを果たした。
互いに自分たちの強みを生かして攻め合い、要所にそれぞれの特長がよく表れた80分間は、国内リーグとは違うハイネケン・チャンピオンズカップならではの魅力をひしひしと実感させた。依然としてコロナ禍の困難な状況は続くが、無事に決勝まで完走し、これからも多くの好ゲームを堪能させてもらえることを願いたい。なおラ・ロシェルは、次週の準々決勝でスカーレッツ(ウエールズ)-セール(イングランド)の勝者と対戦する。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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