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終了間際、松島幸太朗の同点トライ
ラグビーの欧州クラブ王者を決める「ハイネケン・チャンピオンズカップ」。1月に新型コロナウイルス感染症拡大の影響でプールステージが第2節で中断となったため、第2節を終えた時点での各プールの上位8チームずつ、計16チームがノックアウトステージに進出した。
4月2日(金)~4日(日)にかけてプレーオフ1回戦が行われ、3日(土)はイングランド・プレミアシップのワスプスと、日本代表FB(フルバック)松島幸太朗が所属するフランス・TOP14のASMクレルモン・オーヴェルニュが、ワスプスのホームであるリコー・アリーナで激突した。
過去2度の欧州王者の経験があるワスプスだが、今季はプレミアシップで成績不振のため、このチャンピオンズカップに照準を合わせてきた。
キャプテンのイングランド代表LO(ロック)ジョー・ローンチベリーがケガから復帰、シックスネーションズを戦っていたイングランド代表のSH(スクラムハーフ)ダン・ロブソン、イタリア代表FB(フルバック)マッテオ・ミノッツィ、スーパーラグビーやイングランド代表としても活躍したNO8(ナンバーエイト)ブラッド・シールズら、経験値の高い選手が先発した。
さらにイングランド代表WTB(ウィング)パオロ・オドグゥといった期待の若手選手が融合したメンバーでこの一戦に臨んだ。また、過去のチャンピオンズカップでTOP14チームとホームで対戦時は、12勝1敗と圧倒的な数字を残しているため、自信を持って臨んだはずだ。
一方、FB松島が所属するクレルモンはチャンピオンズカップでは過去3回決勝に進出しているが、いまだに優勝はなく、今季こそ悲願の初優勝を目指している。
クレルモンはチャンピオンズカップ、その下のカテゴリーにあたるチャレンジカップ、TOP14合わせて、過去10年で6度の決勝の舞台を経験しており、トーナメントで強さを発揮するチームだ。
日本代表FB松島だけでなく、現役フランス代表のWTB(ウィング)ダミアン・プノを筆頭に、フランス代表経験のあるLO(ロック)セバスチャン・バアマイナ、SHセバスチャン・ベズィー、キャプテンのSO(スタンドオフ)カミーユ・ロペス、WTBアリベルティ・ラカ、CTB(センター)ウエズレイ・フォファナら国際経験豊富な選手を揃えた。
2007-2008シーズン以来となる対戦だが、ワスプスが得意のセットプレーで圧倒するか。クレルモンがボールを動かす攻撃で得点を重ねていくのか注目されたが、好スタートを切ったのはホームのワスプスだった。
前半5分、ワスプスはラインアウトからCTBマイケル・ルブルジョワが突破し、WTBパオロ・オドゥグウがトライ。SOジェイコブ・ウマガのゴールも決まって、7-0と先制する。さらにワスプスは追加点を狙うが、FB松島のトライセービングタックルもあり、得点することができない。
すると11分、今度はクレルモンが反撃し、WTBプノが左サイドライン際を快走し、最後はフォローしたSHベジがトライ。HIA(脳しんとうのチェック)でSOロペスに替わって入っていたティム・ナナイ ウィリアムスのゴールも決まって、7-7と同点に追いつく。
さらに17分、クレルモンはCTBジョージ・モアラのゲインからチャンスをつかみ、最後はPRペニ・ラバイ コベカロウが飛び込んでトライ。試合に戻ってきた、SOロペスのゴールも成功し、クレルモンが7点をリードする。
だが、負けられないホームのワスプスも23分、モールからHO(フッカー)トミー・テイラーがブレイクし、WTBジョシュ・バセットがトライを挙げ、14-14と再び同点とする。
37分にもワスプスはWTBオドゥグウがトライしたかに思われたが、TMOの末、クレルモンのWTBアリベルティ・ラカに押し出されていたことが判明しノートライ。それでもワスプスは39分、42分と相手の反則から得たPG(ペナルティゴール)をSOウマガが落ち着いて決め、20-14とリードして前半を折り返した。
後半の10分ほどは膠着した状態が続いたが、12分にクレルモンのSOロペスがPGを決め、17-20と3点差とした。しかし14分、ワスプスは相手の反則から相手陣奥深くに入り、モールを起点にPRベン・ハリスがトライを挙げ、25-17と引き離す。
勝負をあきらめないクレルモンは、27分、相手の反則からSOロペスがPGを決め、20-25と5点差に迫った。そして39分、相手のインテンショナルノックオン(デリバリーノックオン)により、数的有利となったクレルモンは我慢強くゴール前でフェーズを重ねる。
そして、最後は松島が右中間にトライを挙げて同点。さらにSOロペスがゴールを決め、27-25と逆転勝ちでベスト8進出を決めた。
ハイネケン・チャンピオンズカップ2020/21 プレーオフ 1回戦
【ハイライト】ワスプス vs. ASMクレルモン・オーヴェルニュ
ホームで逆転負けを喫し、今大会の敗退が決まったワスプスのリー・ブラケットHC(ヘッドコーチ)は、「結果として敗れたが、私たちは、ベスト、あるいはベストに近いパフォーマンスができたと思う。残念ながらトーナメントか去らなければいけないが、この試合から、ポジティブな気持ちを持って次に進んでいきたい」と前を向いた。
劇的なアウェイの勝利で8強入りを決めたクレルモンのフランク・アゼマHCは、「ラスト10分、あきらめない選手たちのプレーに感動した。試合の入りは良くなかったが、徐々に自分たちのペースにして行った。選手たちの経験からくる強さが、この結果をもたらしたのだろう」と喜んだ。
また、決定的な場面でトライを挙げて、スター・オブ・ザ・マッチ(最優秀選手)にも選ばれたFB松島は「最後に全てを出し切った。このチームの戦い方は自分に合っている。今日はパーフェクトだ」と喜んだ。
欧州王座を決める大会でベスト8に進出したクレルモンは、4月9日~11日のいずれかの日、ホームのスタッド・マルセル・ミュシュランで、同じTOP14のライバル、トゥルーズとベスト4を賭けて対戦する。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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