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プレーオフでも活躍が期待される松島幸太朗
ヨーロッパのクラブ王者を決める「ハイネケン・チャンピオンズカップ」。フランスの「TOP14」、イングランド「プレミアシップ」、アイルランド・スコットランド・ウエールズ・イタリアの4か国のクラブが参加する「PRO14」と、ヨーロッパの強豪クラブが参加する3リーグの上位チームで欧州No.1のタイトルを争う。
今シーズンは24チームが参加し、プールA、プールBの2組に分かれて各チームが4試合ずつを戦い、その後、プレーオフトーナメントで王者を決定するフォーマットだった。
しかし、1月に新型コロナウイルス拡大の影響でプールステージ第3、4節が中止となったため、第2節を終えた時点での各プールの上位8チームずつが、4月から始まるノックアウトステージに進出した。
4月2日(金)~4日(日)にかけてプレーオフ1回戦が行われ、3日(土)はプレミアシップのワスプスと、日本代表FB(フルバック)松島幸太朗が所属するフランスのASMクレルモン・オーヴェルニュが激突する。
2003-04、2006-07シーズンに2度欧州王座に輝いている、ホームのワスプスだが、今季は現在のところプレミアシップで6勝9敗の9位と振るわず、チームはハイネケンカップのタイトルに賭けている。
プールステージでは好調で、2試合を終えた時点で2連勝、ボーナスポイントを獲得し、勝ち点10としてプールAでは2位につけており、2016-17シーズン以来のプレーオフトーナメント進出となった。
今季から長年指揮をとってきたダイ・ヤングから38歳のリー・ブラッケットがHC(ヘッドコーチ)に就任。プレミアシップでは苦しんでいるが、明るい材料も多い。
まず、キャプテンのイングランド代表LO(ロック)ジョー・ローンチベリーがケガから復帰、シックスネーションズを戦っていたSH(スクラムハーフ)ダン・ロブソン、WTB(ウィング)パオロ・オドグゥのイングランド代表組も帰ってきた。
ハイネケン・チャンピオンズカップ再開直前J SPORTS独占インタビュー
松島幸太朗×大西将太郎
イタリア代表FBマッテオ・ミノッツィ、朝日大学出身のトンガ代表NO8(ナンバーエイト)シオネ・ヴァイラヌなど戦力も充実しており、ホームのアドバンテージも心強い。
ちなみにワスプスはチャンピオンズカップでは、TOP14チームとのホームでの対戦は過去12勝1敗と絶対的な強さを見せている。
ブラッケットHCは、「タフな試合になることは予想しているが、今季のチャンピオンズカップではいいスタートが切れている」としつつも、「まったく新しい大会だと思って戦わなければならない」と気を引き締めている。
伝統的にセットプレーの強いチームで、今季も2試合で15回のマイボールスクラムの成功率は100%と自信を持っている。LOローンチベリーの復帰でラインアウトも自信を持っており、セットプレーを起点に確実にトライを取りに行きたい。
一方、TOP14で4位につけているクレルモンは、チャンピオンズカップで過去3回、決勝に進出しているが、いまだに優勝はできていない。こちらもフランス代表のWTBダミアン・プノがチームに戻り、FB松島と共にバックスリーを構成する可能性は高いだろう。
また、ハーフ団もSHセバスチャン・ベズィー、現在25点で得点ランク2位のSO(スタンドオフ)カミーユ・ロペスのフランス代表経験者の2人が中軸となり、CTB(センター)ウエズレイ・フォファーナ、WTBジョージ・モアラ、WTBアリベルティ・ラカら、BK(バックス)には得点力の高い選手も多い。今季は参加24チームの中でも、2試合で最多となる87得点を誇っている。
フランク・アゼマHCは「ここから厳しい戦いが続くが、選手たちの結束力は高まっている。チームの力を見せられるようにしたい」と語った。
キャプテンのSOロペスは、「我々はTOP14でも、すでにトーナメント戦のような気持ちで試合に臨んでいるので、準備はできている。ワスプスはフィジカルの強い選手とボールキャリアがいる。接点で激しくアタックしてくるだろう」と相手を警戒しつつも自信を見せた。
ハーフ団がうまくBKにボールを供給して展開してトライをとりつつ、SOロペスのキックでも確実に点を積み重ねていきたいところだ。
両者の過去の対戦は2007-2008シーズンに予選プールで2試合対戦したのみで、それぞれがホームで勝利している。ワスプスがホームで得意のセットプレーで圧倒するか。クレルモンが得意の展開力でトライを取り悲願の初優勝へ一歩前進するのか。
注目の一戦は4月3日(土)ワスプスのホーム、イングランド・コヴェントリーのリコー・アレナで、現地午後12:30(日本時間午後8:30)にキックオフされる。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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