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ラシン92、リヨン、ボルドー・ベグル、ラ・ロシェル、欧州初制覇を目指す「TOP14」の4チーム。ハイネケン・チャンピオンズカップ注目チーム紹介
ラグビーレポート by 斉藤 健仁準優勝3回、初の欧州王者を目指すラシン92
ラグビー欧州クラブ王者を決める「ハイネケン・チャンピオンズカップ2020/21」。プレーオフ1回戦に進む中から、欧州初制覇を狙うフランス「TOP14」のラシン92、ボルドー・ベグル、ラ・ロシェル、リヨンの4チームを紹介する。
プレーオフ1回戦 対戦カード
◆4月2日(金)
・深夜1:30 レンスター(アイルランド)vs. RCトゥーロン(フランス)
・深夜4:00 グロスター(イングランド)vs. ラ・ロシェル(フランス)
◆4月3日(土)
・午後08:30 ワスプス(イングランド)vs. ASMクレルモン・オーヴェルニュ
・午後11:00 マンスター(アイルランド)vs. トゥールーズ(フランス)
・深夜01:30 エクセター・チーフス(イングランド)vs. リヨン(フランス)
◆4月4日(日)
・午後08:30 ラシン92(フランス)vs. エディンバラ(スコットランド)
・午後11:00 ボルドー・ベグル(フランス)vs. ブリストル・ベアーズ(イングランド)
・深夜01:30 スカーレッツ(ウェールズ)vs. セール・シャークス(イングランド)
ラシン92(フランス)
ラシン92
◆主な成績
・TOP14:優勝6回(1892、1899-1900、1901-02、1958-59、1989-90、2015-16)
◆過去のハイネケン・チャンピオンズカップの結果
・2019-20:準優勝
・2018-19:ベスト8
・2017-18:準優勝
・2016-17:プール戦敗退
・2015-16:準優勝
名前の通り1892年に創設された、フランスでも屈指の伝統あるクラブだ。同じパリを本拠とするスタッド・フランセとはライバル関係にある。
1892年に行われた、この両者の対戦がフランス最古の国内戦と言われており、この時に勝利したラシンが手にしたブレニュス盾が、今でも「TOP14」の王者に贈られている(現在はレプリカ)。マスコットはマウーという名前のマンモスだ。
1990年代に入ってラグビーがプロ化すると、クラブは衰退してしまい、2001年にはパリ交通公団の支援からなるラグビークラブと合併し、ラシン・メトロ92と改名。しかし、2006年に不動産王の現会長が就任すると、再び、クラブ強化へと舵を切った。
元アルゼンチン代表でワールドラグビー副会長も務めたSH(スクラムハーフ)アガスティン・ピチョットらを獲得。2009年に念願のTOP14に復帰し、2014−15シーズンにはクラブ名をラシン92に変更した。ホームスタジアムは2017−18シーズンよりパリ西部郊外のナンテールに新しく建設された屋内スタジアムで、収容3万2000人の「パリ・ラ・デファンス・アリーナ」である。
2015-16シーズンは元オールブラックスSO(スタンドオフ)ダン・カーターをラグビー史上最高年俸で獲得。欧州タイトルこそ、決勝でイングランズのサラセンズに敗れたが、国内では決勝でトゥーロンを退けて、1990年以来のフランス王者に返り咲いた。チャンピオンズカップは2016年、18年、20年と過去5年で3回決勝に進出しているものの、昨シーズンも決勝で涙を飲み、いまだに優勝には手が届いていない。
SH(スクラムハーフ)マクシム・マシュノー、WTB(ウィング)テディ・トマといったフランス代表に加え、スコットランド代表SO(スタンドオフ)フィン・ラッセル、アルゼンチン代表WTBファン・イムオフ、元オーストラリア代表CTB(センター)カートリー・ビールら国際経験豊富な選手が名を連ねている。今季こそ悲願達成なるか。
リヨン(フランス)
リヨン
◆主な成績
・TOP14:優勝2回(1931-32、1932-33)
◆過去のハイネケン・チャンピオンズカップの結果
・2019-20:プール戦敗退
・2018-19:プール戦敗退
・2017-18:
・2016-17:
・2015-16:
フランス南東部の、パリに次ぐ第2の規模を誇る美食の町、リヨンをホームとする「リヨンOU」。ホームは街の南部の郊外にある、新しいラグビー専用スタジアムで、保険会社の名を冠した収容3万5000人の「マットミュット・スタジタム・ド・ジェルラン」だ。ラグビー場でネーミングライツを導入したのは、フランスでは初めてだった。
1896年創設と長い歴史を持つが、ここ数年で勢いをつけてきている。2011−12シーズンに「TOP14」へ昇格を果たすが、毎年1部と2部を行ったり来たりのいわゆるエレベータークラブだった。
だが、2015年から元フランス代表SH(スクラムハーフ)ピエール・ミニョーニが指揮官となり、2017-18シーズン以降はTOP14で戦い続け、2018-19シーズンは3位、2019-20シーズンは中断されるまで2位と徐々に成績を残し、チャンピオンズカップの出場も、3シーズン連続で果たしている。
現在は2019年ワールドカップのフランス代表PR(プロップ)デンバ・バンバや、アメリカ代表HO(フランカー)ジョー・タウフェテエ、オーストラリア代表LO(ロック)アイザック・ロッダと選手層も厚くなってきている。今季は初のベスト8以上を目指す。
ボルドー・ベグル(フランス)
ボルドー・ベグル
◆主な成績
・TOP14:1位(2019-20)※シーズン中断
◆過去のハイネケン・チャンピオンズカップの結果
・2019-20:
・2018-19:
・2017-18:
・2016-17:プール戦敗退
・2015-16:プール戦敗退
ワインの名産地として知られるボルドーを本拠とするボルドー・ベグル。もともとライバル関係にあった2つの地元クラブが、プロで戦えるチーム作りを目指し、2006年に合併して誕生した。
20年以上に渡り、ボルドー市長を務めたジャック・シャバン デルマスの名前を冠した収容3万5000人の「スタッド・シャバン デルマス 」を使用していたが、2015年より、4万人収容の新スタジアム「スタッド・マトミュット アトランティック」と併用している。
2011-12シーズンに念願の「TOP14」に昇格し、以降は2部に落ちることなく、1部で戦い続けている。2012−13シーズンから2016-17シーズンまでは、元フランス代表HO(フッカー)として活躍したラファエル・イバニェスがHC(ヘッドコーチ)を務めており、2014-15シーズンは過去最高の7位でヨーロッパ・チャレンジカップの出場権を得た。
2019年からはカストルを率いていたクリストフ・ウリオが指揮官に就任し、ホームでは無敗、アウェイでもわずか2敗とリーグで首位に立っていたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、リーグは中断されてしまった。
地元に強いクラブを、との願いで生まれた若いクラブだが、現在はPR(プロップ)ジェファーソン・ポワロ、SO(スタンドオフ)マチュー・ジャリベールら、多くのフランス代表を輩出するようになった。
他にもアルゼンチン代表LO(ロック)のグイド・ペティ、WTB(ウィング)サンチャゴ・コルデロ、元NECのオーストラリア代表経験のあるFL(フランカー)スコット・ヒギンボッサムなどインターナショナルな選手も多くプレーし、タイトルを狙えるチームに変貌している。
2016-17シーズン以来のチャンピオンズカップへの挑戦で、どこまで上位へ食い込めるか。
ラ・ロシェル(フランス)
ラ・ロシェル
◆過去のハイネケン・チャンピオンズカップの結果
・2019-20:プール戦敗退
・2018-19:
・2017-18:ベスト8
・2016-17:
・2015-16:
大西洋に面するラ・ロシェルに1898年創設された、帆船のエンブレムが特徴的なクラブ「スタッド・ロシェル」。のちに会長となるアメリカ人のジョージ・へンリー・ジャクソンがラグビー部門を強化していった。ホームスタジアムは「スタッド・マルセル・ドフランドル」で、収容は1万6000人。
1960年代頃までは強豪の1つだったが、プロ化により衰退していった。しかし、2000年代に入って再び強化を進め、2010−11シーズンに「TOP14」に昇格したが、1シーズンで2部に戻った。2014−15シーズンに再び昇格し、2016-17シーズンには首位でレギュラーシーズンを終え、ベスト4に入った。
2018-19シーズンから、ニュージーランド出身のジョーノ・ギブスが指揮を執り、今季からはギブスがディレクター・オブ・ラグビー兼FW(フォワード)コーチに、元アイルランド代表のロナン・オガーラがHC(ヘッドコーチ)兼BK(バックス)コーチとなった。
PR(プロップ)ウィニ・アトニオ、FL(フランカー)グレゴリー・アルドリッド、FB(フルバック)ブリス・デュランといったフランス代表経験者だけでなく、元オーストラリア代表LO(ロック)ウィル・スケルトン、元ニュージーランド代表SH(スクラムハーフ)タウェラ・カー バーローらが在籍している。
チャンピオンズカップでは2017-18シーズンはベスト8で、2018-19シーズンはチャレンジカップで決勝に進出している。好調な今季もしっかりと勝ち星を上げて上位進出を狙いたい。
チーム紹介TEXT:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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