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3月26日(金)~28日(日)、全国各地で、ジャパンラグビートップリーグは折り返しとなる第5節の8試合が行われた。
レッドカンファレンスでは首位のサントリーサンゴリアス、2位のクボタスピアーズ、ホワイトカンファレンスでは首位のパナソニック ワイルドナイツと2位の神戸製鋼コベルコスティーラーズが開幕から5連勝を飾った。
レッドカンファレンスは27日(土)、愛知県・パロマ瑞穂ラグビー場でトヨタ自動車ヴェルブリッツとサントリーサンゴリアスの全勝同士が激突した
MOMとなったツイ ヘンドリックのトライ
ホームのトヨタ自動車がSOライオネル・クロニエのPG(ペナルティゴール)で先制したが、サントリーが14分にFLショーン・マクマーンのトライ、SOボーデン・バレットのゴールで逆転。21分にはFLツイ ヘンドリックのトライで、12-9とリードする。
しかし、トヨタ自動車は26分、ターンオーバーからFL吉田杏のトライで逆転。34分にWTB高橋汰地がシンビンとなるも、35分にCTBマレ・サウのトライなどで、26-12と逆転して折り返した。
しかし、後半に入ると、サントリーがモメンタムを奪う。WTBテビタ・リー、WTB中野将伍のトライで、24-26まで追い上げる。トヨタ自動車もSOクロニエのPGで突き放すが、28分、FLツイのトライでサントリーが再び36-29と逆転に成功する。
ホームで負けられないトヨタ自動車は、36分に途中出場のWTB岡田優輝のトライで36-36の同点に追いつくも、ロスタイム、サントリーのSOバレットがサヨナラPGを決めて、39-36と競り勝った。MOMにはサントリーのFLツイが選出された。
サントリーは開幕4連勝で勝ち点を25に伸ばした。トヨタ自動車は7点差以内のボーナスポイントを獲得し、勝ち点を20とした。
28日(日)は2試合が行われた。東京・江戸川区陸上競技場では、開幕から連勝を続けるクボタスピアーズが、三菱重工相模原ダイナボアーズと対戦した。
序盤は大雨のコンディションの中、互いにPGで点を取り合い、雨が上がった前半中盤、セットピースに強いクボタは、HO(フッカー)マルコム・マークスがラインアウトからモールで2トライを重ね、さらに35分にもラインアウトを起点にNO8(ナンバーエイト)バツベイ シオネが抜けだして、25-3と大量リードで折り返した。
後半、三菱重工相模原が反撃に転じる。8分、インゴールに蹴られたボールをCTBマイケル・リトルがチェイスし、この試合でトップリーグデビューとなった2年目のCTB奈良望がパスを受けトライ。21分にはSH榎本光祐のトライで27-17と10点差まで詰め寄る。
しかし、クボタは26分にHOマークスの突破からボールを継続し、最後はCTBテアウパ シオネのトライで突き放し、32-27でノーサイド。MOMはクボタSH井上大介が選出された。
クボタは3トライ差以上のボーナスポイントは取れなかったものの、5連勝で2位をキープ。次節は同じく全勝の首位サントリーに挑む。三菱重工相模原は1勝1分3敗となり勝ち点6のまま、順位を7位と下げた。
愛知・パロマ瑞穂ラグビー場では、ともに開幕から白星のないHonda HEATと宗像サニックスブルーズと対戦した。
前半11分、サニックスSO田代宙士のキックをHondaのルーキーLO(ロック)中川真生哉(日本体育大学出身)がチャージし、チェイスしたボールをSH山路健太が押さえてHondaが先制する。その後はなかなかスコアが動かず、前半残り10分で両チームともPGを1つ加え、10-3でHondaが7点のリードで折り返した。
後半に入ってすぐ、宗像サニックスはラインアウトからモールで押し込んでいき、最後はNO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコがトライし、2点差まで追い上げる。その直後の5分にHondaのPR具智元が危険なプレーでシンビンとなると、形成は一気に宗像サニックスへ傾いていく。
10分、再びラインアウトからモールでトライを奪い、さらにPGで追加点をあげると、22分、相手ボールをインターセプトしたWTB濱里耕平が40メートルの距離を走り切ってトライ。25-10と宗像サニックスがHondaを引き離す。
だが、残り10分強となったところで、今度はサニックスのNO8ウォーレンボスアヤコがイエローカードで一時退場。HondaがFLポール・スクーマン、LOフランコ・モスタートのトライで猛追するも、逆転することができず24-25で試合終了。MOMは宗像サニックスのSO田代が受賞した。
Hondaは7点差以内の負けで今季初めて勝ち点1を得たものの、5連敗で最下位から脱出することはできなかった。僅差で勝利を手にしたサニックスは今季初勝利で勝ち点4を加え、7位となった。
また、26日(金)には東京・秩父宮ラグビー場で、今季唯一のナイトゲームとなる東芝ブレイブルーパスvs.NTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦が行われた。
東芝は11分、FL(フランカー)マット・トッドのトライで先制する。しかし、その直後の14分、NTTコミュニケーションズのSH(スクラムハーフ)グレイグ・レイドローにPG(ペナルティゴール)を決められると、流れは一気にNTTコミュニケーションズに傾く。
16分にCTB(センター)シェーン・ゲイツ、19、24分にWTB(ウィング)石井魁、36分にCTBシルヴァン・マフーザと立て続けに4トライを奪い、前半だけで31-7と東芝を大きく突き放す。
後半に入ってもNTTコムの勢いは変わらず、後半2分にCTBゲイツ、10分にWTB石井がハットトリックとなるトライを決め、43-7と試合をほぼ決定づけた。
東芝は17分にPR(プロップ)三上正貴がレッドカードで数的不利になるもSO(スタンドオフ)ジャック・ストラトン、途中出場のルーキーCTB桑山淳生(早稲田大学出身)がトップリーグ初トライと意地を見せたが、結局、45-19でノーサイドを迎えた。
MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)には3トライを挙げたNTTコミュニケーションズのWTB石井が受賞した。これでNTTコミュニケーションズは勝ち点を12として4位をキープし、東芝は勝ち点を6から伸ばすことはできなかった。
レッドカンファレンスは開幕からサントリー、クボタが5連勝で首位争いを演じており、次節に直接対決を迎える。
◆レッドカンファレンス 第5節結果
●東芝(勝ち点6) 19-45 NTTコミュニケーションズ(12)○ MOM:石井魁
●トヨタ自動車(20) 36-39 サントリー(25)○ MOM:ツイ ヘンドリック
○クボタ(23) 32-17 三菱重工相模原(6)● MOM:井上大介
●Honda(1) 24-25 宗像サニックス(5)○ MOM:田代宙士
ホワイトカンファレンスは27日(土)に2試合が行われた。東京・秩父宮ラグビー場では、リコー・ブラックラムズとキヤノンイーグルスの「事務機ダービー」が行われた。
前半7分、キヤノンはラインアウトからモールで押し込み、最後はHO(フッカー)高島忍がトライ。7点を先制する。リコーも14分に反撃。SOアイザック・ルーカスの突破からチャンスを作り、WTBネタニ・ヴァカヤリアがトライを挙げて7-7の同点に追いつく。
前半終了間際、リコーがCTBロトアヘアアマナキ大洋のトライで追加点を挙げ、14-7とリードして前半を折り返した。後半もリコーがモールを起点に、最後はルーキーHO武井日向(明治大学出身)がグラウンディングし、21-7と点差を広げる。
しかし、ここからキヤノンも粘り強く攻め続けて、19分にSO田村優からのキックパスをキャッチしたWTBマイケル・ボンドがトライ。さらに24分にはNO8(ナンバーエイト)コーバス・ファンダイクのトライで21-21と同点にする。
その後、互いに1トライ1ゴールを追加し、28-28で迎えた39分、キヤノンがペナルティを獲得。SO田村がPGを決め、ついに31-28と勝ち越し。試合はそのままノーサイドを迎えた。MOMには4ゴール1PGのキヤノンSO田村が選ばれた
キヤノンは前節から連勝で勝ち点を9に伸ばし、リコーを抜いて順位を5位に上げた。リコーは今回も僅差で負けて3連敗となり、勝ち点7で6位となった。
大阪・花園ラグビー場ではヤマハ発動機ジュビロと、開幕から4連勝の神戸製鋼コベルコスティーラーズが対戦した。
MOMのアタアタ・モエアキオラ
神戸製鋼は試合の序盤にSOヘイデン・パーカーのPGで先制すると、11分にカウンターから敵陣へ攻め込み、FLトム・フランクリンがトライ。さらにスクラムで優位に立ち、CTBアタアタ・モエアキオラの2トライなど、前半だけで4トライを挙げ、27-3と大きくリードした。
後半5分、神戸製鋼PR中嶋イシレリが危険なタックルでシンビンとなる。数的有利となったヤマハ発動機は8分にCTB石塚弘章のトライで反撃する。
しかし、その後は神戸製鋼がペースで試合が続き、立て続けに3トライを奪って相手を突き放す。ヤマハ発動機も2トライを返したが、大量8トライを挙げた神戸製鋼が53-22と快勝。MOMはCTBモエアキオラが選ばれた。
神戸製鋼はボーナスポイントも獲得して勝ち点を23に伸ばし、開幕から5連勝。次節は1ポイント差で追う首位のパナソニックと直接対決となる。2連敗となったヤマハ発動機は勝ち点を伸ばせず、4位から順位を上げられなかった。
28日(日)は2試合が行われた。東京・秩父宮ラグビー場では無敗で首位のパナソニック ワイルドナイツと、開幕から勝ち星のない最下位のNECグリーンロケッツが対戦した。
序盤こそ試合は動かなかったものの、11分、パナソニックはSO松田力也のキックパスから展開し、FL布巻峻介のトライで先制する。27分にはCTBハドレー・パークス、39分にWTB福岡堅樹のトライで22-0として前半を折り返した。
後半、7分にNECがインターセプトからSO亀山宏大がトライを決め、5点を返す。しかし、パナソニックの勢いは止まらず、後半だけで6トライを加えた。結局、MOMに選出されたWTB福岡のハットトリックを含め、大量9トライを挙げたパナソニックが、62-5で大勝した。
ハットトリックの福岡堅樹
パナソニック無傷のまま5連勝で勝ち点を24と伸ばし首位をキープした。NECは5連敗で勝ち点は1のままで最下位から浮上することはできなかった。
大阪・花園ラグビー場では、前節今季初勝利をあげた日野レッドドルフィンズと、3勝1敗で3位につけるNTTドコモレッドハリケーンズが激突した。試合開始直後の前半2分、NTTドコモはパスでワイドに展開し、最後はWTBマカゾレ・マピンピが快足を飛ばし先制トライ。
だが、日野も強みのセットピースで応戦。11分、ラインアウトからモールで押し込み最後はNO8ニリ・ラトゥがトライ。さらに18分、相手のパスミスからボールを奪い返して、WTB竹澤正祥がトライ。逆転に成功した。
一方、NTTドコモはFB(フルバック)高野祥太がランでゲインしSHのTJ・ペレナラがトライを挙げ、15-12と点差を縮めて前半を終えた。後半は、互いに攻めきれずに時間は進み、19分に後半から入ったSO東郷太朗丸のPGで日野が3点を追加し18-12とした。
だが、NTTドコモはWTB茂野洸気がトライを挙げ、ゴールも決まり19-18と再びリードする。しかし、日野もスクラムからチャンスを作り、キックパスからCTB川井太貴がトライ。25-19とまたゲームをひっくり返す。
それでも粘るNTTドコモが33分、FWで敵陣ゴール前までボールを運び、最後はHOフランコ・マレーが飛び込んだ。SO川向のゴールも決まってNTTドコモが再度逆転に成功。これを守り切って、NTTドコモが26-25と逃げ切った。MOMにはNTTドコモのWTBマピンピが選出された。
接戦を制したドコモは4勝1敗の勝ち点16となり、パナソニック、神戸製鋼の2強を追って3位をキープした。日野は今季初の連勝とはならず、7点差以内でボーナスポイント1を獲得して勝点を5とした。
ホワイトカンファレンスもレッドカンファレンス同様に、パナソニックと神戸製鋼が開幕から5連勝を飾り、首位争いを繰り広げている。次節、直接対決を迎える。
◆ホワイトカンファレンス 第5節結果
●リコー(勝ち点7) 28-31 キヤノン(9)○ MOM:田村優
●ヤマハ発動機(11) 22-53 神戸製鋼(23)○ MOM:アタアタ・モエアキオラ
○パナソニック(24) 62-5 NEC(1)● MOM:福岡堅樹
●日野(5) 25-26 NTTドコモ(16)○ MOM:マカゾレ・マピンピ
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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