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ラグビー コラム 2021年3月29日

盤石のパナソニックは全勝街道を突き進む。鉄壁守備でNECを圧倒。

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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2015年度以来5度目の優勝を目指すパナソニックが、盤石の試合運びで圧倒した。

開幕4連勝でホワイトカンファレンス首位のパナソニックが3月28日(日)、東京・秩父宮で行われた「トップリーグ2021」第5節で、4敗のNECと激突した。

序盤はNECの防御が光った。

特別枠で出場の4年目・CTBマリティノ・ネマニがジャッカルで存在感を示せば、前半5分には、この日トップリーグ88人目となるリーグ戦通算100試合出場を達成したPR瀧澤直が、相手キャリアーからボールをもぎ取る好守。

しかし自軍ボールのラインアウトでミスが起こるなど、NECはリズムに乗れない時間帯が続く。

すると前半11分、パナソニックは近場攻撃の連続でFWを寄せたところで、SO松田力也がWTB竹山晃暉にクロスキック。

ボールをキープし、最後はラックからFL布巻峻介が押し込んで先制トライ。5点を先取した。

パナソニックの守備は、キャプテンのHO坂手淳史が「前半スローになったがやるべきことをやった。FWが前に出るところ、モールのディフェンスで動き続けられた」と語った通りの鉄壁ぶり。

両ロック(ヒーナンダニエル、ジョージ・クルーズ)のパワフルなディフェンスなどで重圧をかけ、FB野口竜司など、バックス陣も随所で献身性を見せた。

すると前半27分にはそのディフェンスから相手を押し込み、HO坂手のキックチャージから2トライ目。

福岡堅樹(パナソニック)

そして前半終了間際にはサインプレーからWTB福岡堅樹が突破。タックラー2人を振り解き、本人も「自分らしいランでトライが獲れた」と納得の一撃で、22-0とリードして前半を折り返した。

後半最初のトライもディフェンスから。

パナソニックは前半5分に相手ラインアウトで、19年W杯イングランド代表のLOクルーズがインターセプト。パスを繋げてトライを生み出す。

その2分後(後半7分)、NECも相手のパスを読んだSO亀山宏大がタッチライン際でインターセプト。お返しの1トライを奪うが、以降は無得点。

【ハイライト】パナソニック vs.NEC|トップリーグ2021 第5節

後半8分には途中出場したベン・ガンターのシンビン(10分間の一時退場)で14人となったパナソニックだが、ここから少人数による奇襲で2トライを挙げてみせる。

後半11分にはキックの捕球から、SH内田啓介がショートサイドを突破。WTB福岡につないで2人でインゴールを奪取。

その2分後には、山沢拓也がギャップを突破。フォローとしていた堀江翔大がグラバー(ゴロ)キック。バウンドしたボールがWTB竹山に手に収まり、今度は3人の主役で連続トライを奪った。

盤石のパナソニックは後半20分にラインアウトモールから、同29分には「いつも狙っている」というインターセプトからWTB福岡がこの日自身3トライ目。

後半終了間際にもラインアウトモールで9トライ目を奪い、62得点を挙げる完勝。1試合の最大勝ち点「5」を奪い、ホワイトカンファレンスの単独首位を守った。

敗れたNECの浅野良太HC(ヘッドコーチ)は、100試合出場のPR瀧澤、チームで100キャップだったPR土井貴弘に感謝を述べた後、「セットプレー、ブレイクダウンで勢いを作れなかった」と敗因を語った。

またリーグ屈指のハードワーカーであるFL亀井亮依キャプテンは「完敗です。アタックする時間が短かった。良いファースト・フェーズからボールをキープし、攻撃を継続する時間を長くできなったことがスコアできていない理由」と振り返った。

それでもFL亀井キャプテンは「ファンの方が応援してくれる限り、僕たちは前を向く」と意気込んだ。NECは次戦、4月4日(日)のリコー戦で今季初勝利を狙う。

そして開幕5連勝となったパナソニック。

この試合のマン・オブ・ザ・マッチはWTB福岡。

ハットトリックについては「(1本目は)自分らしいランでトライを取れました」「2つ目のトライはサポートしただけ。3つ目のインターセプトはいつも狙っているプレーです」と明かした。

そのWTB福岡は医師を目指して今春から順天堂大学医学部に進学予定だが、この日は4月以降の去就については明言せず。

しかし試合の翌29日、パナソニックは今シーズン終了までプレーすることを発表。ファンには嬉しい報告となった。

果たして全勝街道を突き進むパナソニックは、15年度以来の日本一を手にできるか。そして福岡のラストシーズンを花道で飾れるか。

パナソニックの次戦はいよいよホワイトカンファレンスの頂上対決。こちらも開幕5連勝の18年度王者、カンファレンス2位の神戸製鋼と4月4日、兵庫・神戸で激突する。

14年度より指揮をとるロビー・ディーンズ監督にも静かな闘志が漂っていた。

「来週(神戸製鋼戦)は良いテストになる。私たちがどんな立ち位置にいるのかを楽しみしています」

まさに竜虎相打つビッグゲームが、いよいよやってくる。

文:多羅 正崇

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多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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