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ラグビー コラム 2021年3月22日

2年ぶり開催の「選抜」、冬の「花園」を占う大会。全国高校選抜ラグビー大会展望

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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2年前、3連覇を達成した桐蔭学園は今年も優勝候補

3月25日(木)から31日(水)にかけて、桜の開花とともに埼玉・熊谷に春の到来を告げる22回目の「選抜大会」こと、全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会が、今年も熊谷スポーツ文化公園で行われる。

昨年の第21回大会は、新型コロナウィルス感染症拡大の影響で中止になった。今年は開催される運びとなったが、昨年度の「花園」こと、全国高校ラグビー大会に続いて、選抜大会も無観客での開催となった。

また今年の選抜大会から予選リーグが廃止され、出場32校によるトーナメントで優勝が決まる。但し、1回戦で敗退したチーム同士は敗者戦があり、2回戦が終わってベスト16が出揃ったところで、各チームのキャプテンの抽選によって準々決勝以降のカードが決まる。

2年前、桐蔭学園を引っ張ったSO伊藤(早稲田大学)

2000年から始まった選抜大会。過去の優勝チームは11校で、2019年まで桐蔭学園(神奈川)が3連覇中で、今大会では史上初の4連覇を目指しているが、最多優勝は東福岡(福岡)の5回。常翔啓光学園(大阪)と桐蔭学園が3回、東海大大阪仰星(大阪)が2回の優勝を誇る。

それでは過去19回の選抜大会の歴史を振り返るとともに、花園の成績との関連について考察していくと、間違いなく、春の選抜大会は冬の花園を占う大会となっている。

まず、過去19回選抜大会で優勝したチームは20校(第1回大会が2ブロック制だったため)だ。選抜で優勝したチームは、すべて花園でベスト8以上に進出しており、選抜を制したシーズンに花園でも優勝したのは9回。つまり選抜で優勝した約半数の高校が花園でも優勝していることになる。

2016年の優勝は東福岡 写真は4月からサントリーに入る箸本

選抜と花園の両大会を制したのは2001年度と2008年度の啓光学園(現・常翔啓光学園/大阪)、2006年度と2015年度の東海大仰星(大阪)、2009年度、2010年度、2014年度、2016年度の東福岡(福岡)、2019年度の桐蔭学園だ。

2014年度から夏に、7人制ラグビーの全国大会「アシックスカップ」も始まり、2014年度、2016年度の東福岡、2015年度の東海大仰星、2019年度の桐蔭学園は春、夏、冬の高校「3冠」を達成している。

2004年度の天理(奈良)、2007年度の伏見工業(現・京都工学院/京都)、2018年度の桐蔭学園は選抜では優勝したものの、花園では惜しくも準優勝に終わっている。ただ、19シーズンのうち、選抜で優勝したチームは12シーズンで花園でも決勝に進出している。

また、選抜と花園の決勝カードが同じとなったのは2001年度、2006年度、2008年度、2018年度、2019年度の過去5回もあった。

次に選抜大会で準優勝したチームを見てみよう。選抜で準優勝と悔しい結果に終わったが花園で優勝しているのは2013年度の東海大仰星、2018年度の大阪桐蔭(大阪)の2校であり、選抜と花園の決勝で同一カードの対戦でリベンジを果たしたのは2018年度の大阪桐蔭のみとなった。

他には、2004年の選抜準優勝の深谷(埼玉)、2014年の準優勝の桐蔭学園は、冬の花園では予選で負けてしまい出場することが叶わなかった。それでも選抜の準優勝チームは花園で優勝2回、準優勝は4回、ベスト4が4回、ベスト8が7回と上位に進出している。

いずれにせよ、選抜大会のファイナリスト2校は、花園でも上位進出する可能性が高く、春の選抜は冬の花園を占う大会と言えるだろう。

2015年に優勝した東海大仰星 SOはクボタでプレーする岸岡

今年の選抜大会もこの10年、高校ラグビーを席巻している強豪の3校、4連覇を狙う桐蔭学園、6度目の優勝を狙う東福岡、3度目の優勝を狙う東海大大阪仰星。さらに今年の1月、花園で初の準優勝となった京都成章、優勝経験のある常翔学園と大阪桐蔭、天理など強豪校が出場することが決まっている。

過去優勝したことのある強豪校が今年も優勝するのか、はたまた初優勝するチームが出てくるのか注目したい。果たして春を制して、冬の花園に勢いを持って臨むことができるチームはどこになるだろうか。

◆過去の選抜大会 決勝結果

※:花園決勝も同一カードになったシーズン
☆:花園も優勝したチーム

2000年:2ブロック制
 埼工大深谷(現・正智深谷/埼玉)41-33 國學院久我山(東京)
 仙台育英(宮城)24-9 桐蔭学園(神奈川)
2001年☆啓光学園(大阪)32-26 東福岡(福岡)※
2002年 大阪工大高(現常翔学園)52-31 佐賀工業(佐賀)
2003年 正智深谷(埼玉)31-18 佐賀工業(佐賀)
2004年 天理(奈良)41-12 深谷(埼玉)
2005年 啓光学園(大阪)24-10 東海大仰星(大阪)

2006年☆東海大仰星(大阪)31-15 東福岡(福岡)※
2007年 伏見工業(京都)17-12 桐蔭学園(神奈川)
2008年☆常翔啓光学園(大阪)36-21 御所工・実(現・御所実業/奈良)※
2009年☆東福岡(福岡)61-17 常翔学園(大阪)
2010年☆東福岡(福岡)31-24 大阪朝鮮(大阪)

2011年 中止(東日本大震災の影響により)
2012年 東福岡(福岡)24-22 石見智翠館(島根)
2013年 大阪桐蔭(大阪)33-14 東海大仰星(大阪)
2014年☆東福岡(福岡)62-10 桐蔭学園(神奈川)
2015年☆東海大仰星(大阪)21-0 大阪桐蔭(大阪)

2016年☆東福岡(福岡)33-17 桐蔭学園(神奈川)
2017年 桐蔭学園(神奈川)42-12 京都成章(京都)
2018年 桐蔭学園(神奈川)46-26 大阪桐蔭(大阪)※
2019年☆桐蔭学園(神奈川)29-19 御所実業(奈良)※
2020年 中止(新型コロナウィルス感染症拡大の影響により)

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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