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1点が届かなかったリコー
2月20日(土)に開幕したジャパンラグビートップリーグは第4節を迎えた。3月14日(日)、東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場で、ホワイトカンファレンスのリコーブラックラムズと神戸製鋼コベルコスティーラーズが対戦した。
世田谷区と提携を結んだリコーにとって、今年初の駒沢オリンピック公園陸上競技場での試合となった。1勝2敗(勝ち点5)でカンファレンス5位のリコーは前節のNTTドコモ戦からFW(フォワード)3名、BK(バックス)4名を変更した。
ルーキーのPR(プロップ)笹川大五(明治大学出身)が初先発、3戦連続でHO(フッカー)武井日向(明治大学出身)が先発、前節でFB(フルバック)に入っていたメイン平(御所実業出身)がCTB(センター)に上がり、先週トップリーグデビューとなったWTB(ウィング)山村知也も初先発となった。
また、FL(フランカー)松橋周平、CTB濱野大輔と共同キャプテン2人が欠場のため、SH(スクラムハーフ)山本昌太がゲームキャプテンを務めた。
一方、3連勝で勝ち点14と、首位のパナソニックワイルドナイツと勝点差1で2位につけている神戸製鋼は、FW4名、BK3名を入れ替えた。
突破する神戸製鋼WTBスミス
また、現役オールブラックスのLO(ロック)ブロディ・レタリック、日本代表CTBラファエレ ティモシー、FB山中亮平、元オールブラックスWTBベン・スミスら経験豊富な布陣で臨んだ。
なお、NO8(ナンバーエイト)には、好調だったナエアタ ルイが4試合の出場停止となったため、ベテランの橋本大輝が先発した。
4204人の観客が見守る中、リコーボールでキックオフされた。晴天だがやや風が強い中、先手を取ったのは神戸製鋼だった。前半8分、相手の反則からラインアウトのチャンスを得て、そのまま押し込んでHO平原大敬がトライを挙げて5-0とした。
リコーも負けじと反撃する。13分、SO(スタンドオフ)アイザック・ルーカスが突破し、オフロードパスをFBマット・マッガーンに通してマッガーンがトライ、自身でゴールも決めて、7-5と逆転に成功する
トライを挙げる神戸製鋼WTB山下
それでも17分、神戸製鋼はゴール前のスクラムを起点にSH日和佐、CTBバックマンとつなぎ、大外のWTB山下楽平へ。最後は山下が相手を交わして左隅にトライで10-7と逆転。さらに再び、ゴール前のモールからLOブロディ・レタリックがトライを決めて17-7とリードを広げた。
36分、神戸製鋼はラックで頭を下げたプレーが危険と判定されたHO平原がシンビン(10分間の一時的退場)となり、そのまま前半を折り返した。
3点差に詰め寄るトライを挙げたリコーHO武井
そして、後半4分、数的有利な時間帯が続いていたリコーは、ゴール前のモールから新人HO武井が押さえてトライ。ゴールも決まり14-17と3点差に追い上げる。
その後、15人に戻った神戸製鋼が攻め込んだが、15分、リコーは自陣奥深くで相手ボールをターンオーバーすると、WTBロトアヘアアマナキ大洋が右ライン際を突破しチャンスメイク。
一度、相手にボールを渡すが、カウンターラックで再びボールを奪い返して左に展開、最後はLOロトアヘアポヒヴァ大和がインゴールに押さえてトライ。手拍子でホームの声援を受けていたリコーが、ついに19-17と逆転に成功する。
22分、神戸製鋼が攻め込み、最後はCTBティモシーがトライしたかに思えたが、リコーのFLジェイコブ・スキーンが手を入れてグラウンディングさせず、TMO(テレビマッチオフィシャル)の末、ノートライとなる。
その後も神戸製鋼の攻める時間が続くが、リコーは粘り強い守備を見せた。しかし29分、リコーがゴール前で反則をしてしまい、神戸製鋼は途中出場のSO李承信が落ち着いてPG(ペナルティゴール)を沈めて、20-19と再び、逆転に成功する。
リコーも試合終了間際、攻撃のチャンスを得たが、神戸製鋼LOレタリックが奪い返し、そのボールをタッチに蹴り出しノーサイド。神戸製鋼が開幕から4連勝を達成した。MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)にはCTBバックマンが選ばれた。
トップリーグ 第4節
【ハイライト】リコー vs 神戸製鋼
神戸製鋼は勝ち点4を積み上げて、総勝ち点を18としてカンファレンス2位をキープした。また、リコーは7点差以内の敗戦で勝ち点1を得て、総勝ち点を6とした。
前節に続いて接戦を落としたリコーの神鳥裕之監督は「率直に言って悔しい。チャンピオンチームの神戸製鋼に対して、見に来てくれる人、応援来てくれる人に対して感動や立ち向かう姿勢みたいなものを伝える試合をしようと臨んで、選手たちが体現してくれたと思います」。
「この結果に満足するチームになりたくないので、1点差の重みを噛みしめて、まだシーズン続くのでやっていきたい」と振り返った。
ゲームキャプテンのSH山本も「相手どうこうではなく、自分たちが80分、何をするのか、どうあるのかということを話してゲームに入り、チャンピオンチームにチャレンジし続けられた」。
「ただ、負けは負けなので、次の試合まで2週間あるので、チームとして、この1点をどう埋めていくか。次の試合までしっかり準備して臨みたい」と前を向いた。
なんとか逃げ切り4連勝を達成した神戸製鋼のデイブ・ディロンHC(ヘッドコーチ)は「タフな試合だった。両チームともフィジカルに戦った。神戸製鋼の選手たちを本当に誇りに思います。厳しい状況、上手くいかない状況の中で勝ちを得た。勝ちで終えたことは自分たちにとって重要なことです」と前向きに振り返った。
共同キャプテンのSH日和佐は「リコーさんとやるときは いつもタフな試合になる。トライを取り切れるところで取り切れなかったことが自分たちの首を絞めたかなと思います」。
「あと、もう1歩のところを煮詰めていく必要があるかな」と反省しつつも「プレーオフに向けて、すごくいい練習ができた。プレッシャーを受けたし、難しい時間帯、風の状況などいろいろ含めた中で、勝ち切れたことは次につながる」と先を見据えた。
トップリーグは来週はBye(休みの週)となり、3月27日(土)28日(日)に第5節を戦う。何としても次節は勝利したいリコーは27日(土)に、東京・秩父宮ラグビー場で6位のキヤノンイーグルスとの「事務機ダービー」を迎える。
4連勝中の神戸製鋼も27日(土)、大阪・花園ラグビー場で4位につけているヤマハ発動機ジュビロと対戦する。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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