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開幕から3連勝中のチーム同士の激突とはいえ、完勝、大勝を重ねてきたパナソニックに対し、NTTドコモの勝利はいずれもタイトな接戦を競り勝ってのもの。ボーナスポイント3点ぶんの勝ち点の差(パナソニック=15、NTTドコモ=12)が示すように、両者の間にはまだ小さくはない隔たりがある――というのが、大方の予想だっただろう。
NTTドコモ(2/27 NTTドコモvsNEC)
しかし、NTTドコモは立ち上がりから持ち味を存分に発揮してパナソニックに堂々と渡り合い、そんな見立てを見事に覆してみせた。
スコアボードに最初の得点が刻まれたのは前半22分。パナソニックSO松田力也が正面約35mのPGを決める。しかしNTTドコモは風下の不利をものともせずアグレッシブに攻め続け、34分にゴール前ペナルティからFWがモールを押し込んで逆転。直後にミスキックのこぼれ球を拾ったCTBハドレー・パークスが独走しパナソニックがふたたび先行したが、10-7の僅差でハーフタイムを迎えた。
後半に入っても拮抗した展開は続く。風上に回ったNTTドコモが10分にSOオーウェン・ウィリアムスのPGで同点に追いつけば、パナソニックはまたも失点直後のキックオフからCTBディラン・ライリーの圧巻のハイパントキャッチで敵陣に攻め込み、WTB竹山晃暉が右コーナーに飛び込んで引き離す。しかしNTTドコモもすかさず16分にPGを返し、スコアは13-15に。
2点差で迎えた残り20分のまさに勝負どころ、ここで真価を発揮したのがパナソニックだった。HO堀江翔太やSO山沢拓也ら局面を打開できるゲームチェンジャーを次々に投入して攻勢を強め、24分、29分と山沢が立て続けにPGを成功。21-13とこの試合で初めてワンチャンスでは追いつけない点差までリードを拡大し、NTTドコモにプレッシャーをかける。
【ハイライト】NTTドコモ vs. パナソニック|トップリーグ 2021 第4節
【#トップリーグ2021】
— J SPORTSラグビー公式 (@jsports_rugby) March 14, 2021
第4節 #NTTドコモ 13-26 #パナソニック
後半37分#福岡堅樹 選手が個人技で魅せる
パナソニックが突き放しにかかります
J SPORTSオンデマンドでLIVE配信中
https://t.co/G2WdRaemAC#最後のトップリーグ #トップリーグ #rugbyjp pic.twitter.com/rV8Ke6HSc0
福岡堅樹(2/20パナソニックvsリコー)
そして今季のパナソニックの充実ぶりを象徴するプレーが生まれたのは、37分だった。自陣10m線付近での相手ボールラインアウトを奪取すると、一気に左大外へ振ってWTB福岡堅樹がライン際を突破。トイ面を振り切り、裏へ上げたパントをみずからキャッチして左隅に押さえ、勝利を決定づけた。
これでパナソニックは4連勝で勝ち点を19に伸ばし、ホワイトカンファレンスの首位を維持。リザーブメンバーを含めた層の厚さを感じさせる懐の深い試合運びで、チーム作りが順調に進んでいることを印象づけた。好調な相手のチャレンジを正面から受け止め、きっちりとはね返して勝ち切ったことは、この先の戦いに向けさらなる弾みになるだろう。
「選手のパフォーマンスに満足しています。自分たちの能力をいかんなく発揮してくれたし、ベンチの選手たちも高いパフォーマンスを発揮してくれた。最後に攻めに行ってボーナスポイントを取ることはできなかったが、チームとして勝利したことを評価して、次に進んでいきたい」(ロビー・ディーンズ監督)
NTTドコモも敗れたとはいえ80分を通してひるむことなくファイトし続け、優勝候補の一角と渡り合った。これでチームの自信はさらに深まるはずだ。フィジカルバトルで激しくプレッシャーをかけ、自分たちのスタイルを信じて迷いなくプランを遂行する姿に、下位が定位置だった昨季までの面影はない。80分を過ぎた最後の場面、ボーナスポイントを狙うパナソニックに自陣ゴール前まで攻め込まれながらも、最後まで集中力を切らさずトライを許さなかったことは、チームがもう一段躍進を遂げるきっかけになりそうな感触がある。
「選手たちは最後まで戦い抜いたし、パナソニックという強い相手に対し自分たちの個性を発揮できた。後半は相手がハイクラスのチームであることを示したが、我々の選手たちを誇りに思う」(ヨハン・アッカーマンヘッドコーチ)
これでリーグ戦は折り返しの第4節を終えた。クライマックスのプレーオフに向け、ここからはいかにチームの勢いを加速させるかが重要なテーマになる。両者にとって今後への期待がふくらむ好ゲームだった。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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