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自動車メーカー&東海ダービー
ジャパンラグビートップリーグは3月6日(土)に第3節が行われた。愛知県・パロマ瑞穂ラグビー場で、レッドカンファレンスのトヨタ自動車ヴェルブリッツと、Honda HEATが対戦。ともに自動車メーカーのチーム同士の「東海ダービー」に4116人のファンが集った。
開幕から連勝、カンファレンス3位のトヨタ自動車は、先週のNTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦からFW(フォワード)で、3名の先発を変更。トップリーグ初先発となる現役オーストラリア代表主将のFL(フランカー)マイケル・フーパーと吉田杏、NO8(ナンバーエイト)は共同キャプテンのキアラン・リードに替えてフェツアニ ラウタイミと、バックローをすべて入れ替えた。
BK(バックス)の先発に変更はなく、共同キャプテンのSH(スクラムハーフ)茂野海人とSO(スタンドオフ)ライオネル・クロニエのハーフ団、2節連続のMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いた2年目の高橋汰地、南アフリカ代表FB(フルバック)ウィリー・ルルーらが入った。
対するHondaは開幕戦から2連敗。未だ勝ち点なく、カンファレンスで最下位に沈んでいる。
FWは前節から2名、BKは1名を変更した。HO(フッカー)に2年目の呉季依典が今季初先発し、2019年ワールドカップ日本代表の具智元と、藤井拓海の両PR(プロップ)とフロントローを形成。LO(ロック)には南アフリカ代表のフランコ・モスタート、キャプテンFL小林亮、新人のNO8ヴィリアミ・アフ・カイポウリ(日本文理大学出身)らが引き続き先発した。
BKは、CTB(センター)はケガから復帰のクリントン・ノックスが入り、前節CTBでプレーした藤崎眞樹はWTB(ウィング)に回り、元オールブラックスのFBマット・ダフィーが2試合連続先発した。
トヨタ自動車が3連勝なるか、それともHondaが今年初勝利なるか。注目された一戦はトヨタ自動車のボールでキックオフされた。
トップリーグ初先発のフーパー
前半序盤はトヨタ自動車がゴール前のモールを軸に攻め込むが、Hondaが粘りのディフェンスを見せてゴールラインを割らせない。逆にHondaがチャンスを作り、8分にSO朴成基がPG(ペナルティゴール)を決めて3点を先制に成功する。
対するトヨタ自動車はFLフーパーのジャッカルなどでボールを奪い返し、再び、敵陣でのプレー時間を増やしていく。16分、相手陣22m付近のラインアウトからFLフーパーが縦に突きチャンスメイク、最後はNO8ラウタイミが押さえて、SOクロニエのゴールも決まり7-3と逆転に成功する。
その後、Hondaも再びディフェンスで奮闘したが、31分にトヨタ自動車がモールを起点にチャンスをつかみ、最後はSH茂野からパスを受けたFL吉田が2試合連続となるトライを挙げた。
さらに攻撃の手を緩めないヴェルブリッツは33分、FLフーパーが相手のこぼれ球を拾って大きくゲインし、CTBロブ・トンプソンにつないでトライ。さらに39分、ハーフウェイライン付近のスクラムを起点に右に展開、最後はFBルルーが押さえて、トヨタ自動車が26-3とリードして前半を折り返した。
後半、何としても先に得点を挙げたかったHondaだが、相手ゴールラインまで迫るもトライを取ることができなかった。後半11分には、スクラムで相手ボールスクラムを押し込み、反則を誘うなど気持ちのこもったプレーを見せた。
しかし12分、時間が止まった後、密集でHondaのHO呉季依典が相手選手を蹴ってしまい、レッドカードで一発退場となってしまう。その後は、必然的に、数的有利となったトヨタ自動車のペースとなる。21分にはスクラムから右に展開し、WTB高橋汰地が右隅に飛び込んだ。
さらに25分には、ラインアウトから途中出場のWTB岡田優輝が抜け出しトライ、33分にはラインアウトを起点に展開し、FBルルーがトライを挙げた。終わって見れば7トライを重ねて、失トライも許さず、3トライ差のボーナスポイントも得たトヨタ自動車が45-3で快勝した。
トップリーグ 第3節
【ハイライト】トヨタ自動車 vs Honda
MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)にはトヨタ自動車のFBルルーが選ばれた。また、トヨタ自動車は開幕3連勝を達成し、総勝ち点14に伸ばした。
MOMのルルー
前節に続いて、大事な場面でカードをもらい、流れをつかみきれなかったHondaのダニー・リーHC(ヘッドコーチ)は「非常に残念な結果になった。前半25分まで素晴らしいプレーが続いて、相手にプレッシャーを与えていたが、前半の最後で必要のないミスをしてしまった。後半は14人になり、完全に相手に主導権を握られ、為す術もなく負けてしまった」と肩を落とした。
FL小林主将も「自分たちのミス、ペナルティで前半の最後、ペースを崩し、後半はひとり少ない状態の中、ゲームを上手くコントロールできなかった。細かい状況判断が良くなかった。チームとして意思疎通して、勝負どころでどういう判断するか、来週、考えていきたい。なかなか勝ち星ついていないが、一戦一戦、準備して戦っていくだけです」と悔しさをにじませながらも前を向いた。
開幕から3連勝を達成したトヨタ自動車のサイモン・クロンHCは、「ゲームプランに沿って実行につなげられた試合でした。粘り強くモメンタムを重ねながら、ディフェンスも上手くやり、コンタクトも重ねていた。ジャッカルにつなげたり、プレッシャーをかけて得点に結びつけたりもした。全体にいいパーマンスができた試合だった」と満足した様子を見せた。
共同キャプテンのSH茂野は「全体的に自分たちにフォーカスしていた。1試合ごとに、チームとして成長しているので、今後も改善点を修正して、ベストなチームになっていきたい」と意気込んだ。
トップリーグ初先発となったFLフーパーは「スタートとして出ることは本当に興奮していました。(トヨタ自動車で)違うスタイルのラグビーで学ぶところを楽しんでいる。チームのパフォーマンスとしては3点しか入れられなかった。特に後半は無失点だった。チームとしていい進歩だ」と手応えを口にした。
ボーナスポイントを含む勝点5を獲得し、勝点1差で同じく開幕3連勝のサントリーサンゴリアスを追うトヨタ自動車は、3月13日(土)の第4節、福岡県・グローバルアリーナで宗像サニックスブルースと対戦する。
一方、第3節でも白星を得られなかったHondaは、3月14日(日)に、千葉県市原市のゼットエーオリプリスタジアムで、3連勝と好調なクボタスピアーズに挑む。
文:斉藤健仁/写真:谷本結利
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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