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ラグビー コラム 2021年3月5日

正念場の東芝に前節勝利の三菱重工相模原が挑む。震災から10年、釜石で開催される特別な一戦。

ラグビーレポート by 直江 光信
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苦しい連敗スタートとなった東芝ブレイブルーパスにとっては、開幕3戦目にして迎えるいきなりの正念場だ。サントリーサンゴリアスに大敗した初戦からよく立て直し、宗像サニックスブルースとの接戦を制して今季初勝利を挙げた三菱重工相模原ダイナボアーズにすれば、プレッシャーから解放されたいい精神状態で存分にチャレンジできる。そうした両チームの心理面の違いが、果たしてどんな影響をゲームに及ぼすのか。それが、この試合の見どころのひとつだ。

サントリーと並びトップリーグ最多の5回の優勝を数える強豪ながら、ここ数年上位から遠ざかっている東芝は、前節クボタスピアーズに7-39の完敗を喫した。前半は気迫を押し出したプレーで0-7と奮闘したものの、風下に回った後半はクボタのパワフルな攻守に力を封じられ、32失点。ゲームキャプテンを務めたFLリーチ マイケルは、「トップリーグのレベルが上がっている」と、この先の戦いに向け危機感をにじませた。

かつては「親に見せられない」と表現されるほどの厳しい練習で鍛え上げた頑健なコンタクトを武器に、接点を制圧して勝利を重ねた東芝だが、近年はどのチームも大型外国人選手の加入でフィジカルレベルが飛躍的に向上し、この部分で決定的な差をつけられなくなってきている。むろん迫力満点のハードヒットは今も東芝の強みであり、大きな魅力のひとつだが、そのストロングポイントを生かし切るための確固たるスタイルを構築できるかが、浮上のカギになるだろう。

東芝スターティングメンバー

今回の登録メンバーを見ると、前節からスターター8人を入れ替えるなど大幅な変更があった。セットプレーの要である森太志が初戦で負傷し離脱したHOには、大東大主将として強力スクラムで鳴らした2年目の平田快笙が入り、LOでは元日本代表のLO伊藤鐘史氏(現京産大監督)を兄に持つルーキーの伊藤鐘平が初先発。高い身体能力を有するNO8山本浩輝が2試合ぶりに復帰し、おなじみ日本代表キャプテンのFLリーチ マイケル、ニュージーランド代表キャップ25のFLマット・トッドと強力バックローを形成する。

BKはSH、SOどちらに入っても巧みなゲームコントロールを見せるジャック・ストラトンが10番を背負い、CTBは弾丸ランナーのジョニー・ファアウリとオールブラックスキャップ5のセタ・タマニバルという元チーフスコンビ。両翼には今季初登場の大型WTB松延泰樹と、前節も再三ビッグゲインを見せた元セブンズ日本代表のWTBジョネ・ナイカブラが控える。インパクトあるペネトレーターが並ぶ布陣で、爆発力は相手にとって脅威になるだろう。

三菱重工相模原スターティングメンバー

昨季12シーズンぶりにトップリーグの舞台に帰ってきた三菱重工相模原は、前節どちらにとっても負けられない試合だった宗像サニックスとの決戦に競り勝ち、7-75と大敗したサントリー戦のショックをまずは断ち切った。大きな価値を持つ一勝を手にし、失うものがない状況で格上にチャレンジできるこの試合は、ここまで積み重ねてきた成果を迷いなく発揮する絶好の機会と言える。

三菱にとって最大の焦点は、コンタクトエリアで東芝の厳しいプレッシャーにどこまで対抗できるかだろう。相手が得意とするフィジカルバトルで勢いを封じることができれば、可能性は一気に広がる。先発に抜擢された198cm、118kgの巨漢LOエピネリ・ウルイヴァイティ、激しさと豊富な運動量が自慢のオールブラック、NO8ジャクソン・ヘモポにかかる期待は大きい。

試合展開としては、チャレンジャーの三菱がスコアで先行する展開に持ち込めば、東芝には重圧がかかる。この点では、前節マンオブザマッチに選ばれたSOコリン・スレイドのゲームメイクがポイントになるだろう。パス、ラン、キックいずれも高い次元のスキルを兼ね備え、ニュージーランド代表として2011年、2015年と2度のラグビーワールドカップに出場するなど経験も十分。同じくコントロール力に優れるCTB竹田祐将、宗像サニックス戦で大活躍したCTBマット・ヴァエガとのフロントスリーでしっかりと試合を組み立て、流れを引き寄せたい。

会場はラグビーワールドカップ2019日本大会の舞台にもなった釜石鵜住居復興スタジアム。3月11日で東日本大震災から10年となるこのタイミングに、この地でトップリーグの試合が行われる意味は大きい。キックオフの瞬間を楽しみに待ってきた東北のラグビーファンのためにも、長く語り継がれるような熱戦になることを期待しよう。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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