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ラグビー コラム 2021年2月26日

初の4強入りを目指すNTTコムがトヨタ自動車と激突。SH&FLのマッチアップに注目!

ラグビーレポート by 直江 光信
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まだ第2節。開幕延期でシーズンが短縮されたとはいえ、クライマックスはもうしばらく先だ。それなのに、この試合には早くも『決戦』のムードが漂う。星勘定はもちろん、チームの勢いを加速させる上でも、今後を大きく左右するゲーム。それが両者に共通する認識だろう。

第6節で中止となった昨季は4勝2敗の5位につけていたNTTコミュニケーションズシャイニングアークスは、今季のオープニングゲームとなった第1節で充実が伝えられていたHonda HEATに41-13と快勝し、好スタートを切った。日本代表PR具智元を擁するHondaに対しスクラムで優位に立ち、元スコットランド代表SHグレイグ・レイドローと元マオリオールブラックスのSOフレッチャー・スミスという新加入のHB団が巧みにチームを牽引。拮抗した展開の前半を19-13で折り返すと、風上に回った後半に3トライをたたみかけて突き放し、仕上がりの良さをアピールした。

一方、昨年は上位勢との対戦が重なったこともあり中断時点で3勝3敗の8位だったトヨタ自動車ヴェルブリッツは、開幕節で東芝ブレイブルーパスの終盤の猛追を1点差でかわし、こちらも白星発進を果たした。安定したセットプレーを起点に前半3連続トライを挙げて21-0と大きく先行するなど、試合の導入の部分での集中力が光った。後半、イージーミスから流れを失い、東芝の追い上げを許したのは課題だが、接点の激しさに定評がある東芝にしっかり体を当てて対抗し、リードを守り抜いたことは、自信になるはずだ。

NTTコミュニケーションズスターティングメンバー

そんな両者の対戦で大きなポイントとなりそうなのが、HB団のゲームメイクだ。ほぼ丸1年公式戦のない期間を過ごした後の2試合目で、どちらもチームはまだ成熟の途上にある。80分間通してのゲームフィットネスもこれから試合を重ねるにつれて高まっていく段階だけに、9番、10番がいかに試合を組み立て、自分たちの有利な展開に持ち込めるかが、勝敗の鍵となる。

トヨタ自動車スターティングメンバー

特に注目されるのが、SHのマッチアップだ。NTTコムのレイドローはスコットランド代表76キャップを誇る百戦錬磨の名手で、冷静な判断と正確なキックを駆使したコントロール力は世界でも屈指と評される。対するトヨタ自動車の茂野海人は、強靭なフィジカルとスピーディーな球さばきを武器に、強気の仕掛けで仲間を牽引するアタック型のSHだ。両者はスコットランド代表と日本代表の9番としても対峙しており、2016年6月のスコットランド来征シリーズではテストマッチ2戦とも僅差でレイドローのスコットランドが勝利。2019年のラグビーワールドカップでは日本代表がスコットランドを破ったが、茂野はこの試合には出場していない。今回はジャージーの色が違うものの、茂野にとっては期するものがあるだろう。

日本が誇る魅惑のトータルフットボーラー、NTTコムの金正奎と、世界最高のオープンサイドFLのひとり、トヨタ自動車のマイケル・フーパーのバトルも、この試合の大きな見どころのひとつだ。いずれもトップクラスのバックローとしては小柄だが、並外れたラグビーセンスとボールへの嗅覚、サイズでは測れない身体的強さをあわせ持ち、ここという場面に現れては決定的な仕事をやってのける。フーパーは第1節同様ベンチからのスタートとなったが、日本全国の中学、高校、大学に数多くいる同タイプのFLにとって、2人の一挙手一投足は貴重な教科書になるだろう。

スターティングメンバーで前節から変わったのは、NTTコムがFB石田大河→安田卓平のひとりだけで、トヨタ自動車はまったく同じ顔ぶれ。1試合を戦って硬さがほぐれたことに加え、実戦を通して連携面を確認できたことで、ともに今節はさらにステップアップしたパフォーマンスを披露してくれるだろう。NTTコムではフーパーとワラビーズの7番の座を争ったFLリアム・ギル、相変わらずの活力あふれるプレーが光るNO8ヴィリー・ブリッツの2人のバックローの働きが、勝利に不可欠な要素。東芝戦で大きな存在感を示したトヨタ自動車のLO秋山大地とWTB高橋汰池にとっては、次世代の日本代表候補に名乗りを上げるためにも、重要な機会となる。

2016年度、2018年度の5位が過去最高成績のNTTコムにすれば、初のトップ4入りに向け何としても白星がほしい一戦。初戦で東芝との激闘を乗り切ったトヨタ自動車も、ここを突破すれば大きく道が開ける。フルタイムの瞬間まで目の離せない戦いとなりそうだ。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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