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2月20日(土)、今年でラストシーズンを迎えるジャパンラグビートップリーグが開幕した。愛知県・パロマ瑞穂ラグビー場では、レッドカンファレンスの注目の一戦、一昨年度4位のトヨタ自動車ヴェルブリッツと、優勝5回を誇る東芝ブレイブルーパスの対戦が行われた。
ホームのトヨタ自動車、FW(フォワード)は共同キャプテンの1人でオールブラックスの前主将のNO8(ナンバーエイト)キアラン・リードら、経験値の高い選手と、PR(プロップ)淺岡俊亮、LO(ロック)秋山大地ら若手が融合したメンバーとなった。
フーパーは後半から途中出場
そして、今年加入した現役ワラビーズ主将のFL(フランカー)マイケル・フーパーは、ベンチからトップリーグデビューのチャンスを伺った。
BK(バックス)は、もう1人の共同キャプテンであるSH(スクラムハーフ)茂野海人、南アフリカ代表のワールドカップ優勝メンバーFB(フルバック)ウィリー・ルルーら、国際舞台を経験している実力派を揃えた。
一方の東芝も、FWはFLに元オールブラックスのマット・トッドと、日本代表主将のリーチ マイケル、BKは共同キャプテンのSH小川高廣、さらには新戦力の元オールブラックスのCTB(センター)セタ・タマニバルと、こちらも経験豊富な選手が入った布陣となった。
昨年9月末、東芝のFWコーチで元日本代表HO湯原祐希さんが亡くなったため、両チームの選手はジャージーに喪章をつけて、試合前には黙祷も捧げられた。
初優勝を目指すトヨタ自動車と、6度目の優勝を狙う東芝ブレイブルーパス、互いに初戦をしっかりと勝ちたい伝統チーム同士の一戦は、4305人の観客の前で、トヨタ自動車ボールでキックオフされた。
先制したのはトヨタ自動車だった。4分、LO秋山のジャッカルで相手陣に攻め込むと、ラインアウトを起点にサインプレーでWTBヘンリー ジェイミーが抜け出し先制トライ。
さらに12分、相手に攻め込まれたが、FBルルーが相手ボールを奪い返して80mを走り切ってトライ。さらに26分、NO8リードが抜けだしチャンスメイクをすると、ボールを動かして最後はFLフェツアニ ラウタイミが右隅に押さえてトライを挙げて21-0とリードする。
だが、東芝も反撃し、30分にはモールを押し込み、FLマット・トッドが押さえて7-21とする。一方、トヨタ自動車はSOライオネル・クロニエがPG(ペナルティゴール)を決め、24-7で前半を折り返した。
後半、先に得点を挙げたのはリードしているトヨタ自動車だった。SOクロニエが4分にPGを決めて27-7とした。11分、東芝はボールを展開しCTBセタ・タマニバルがトライ。さらに17分、途中出場のSHジャック・ストラトンがこぼれ球を押さえてトライを挙げて21-27と6点差に追い上げる。
直後の19分、トヨタ自動車はマイボールのキックオフを2年目のWTB高橋汰地がキャッチしてチャンスメイク。テンポよくアタックすると、そのWTB高橋がトライを挙げて、34-21とリードを広げた。
しかし、東芝も最後まで攻めの姿勢を貫き、29分にはFLシオネ・ラベマイ、35分にはFLリーチがトライを挙げて、1点差に追い上げた。だが、トヨタ自動車のFLフーパーのジャッカル、LO秋山のラインアウトスチールなどでボールをキープできなかったこともあり、そのままノーサイド。
トヨタ自動車が34-33で初勝利を飾って勝ち点4、7点差以内の敗戦だったため東芝も勝ち点1を獲得した。この試合のMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)には、攻守にわたって活躍し、後半19分にトライを決めたWTB高橋が選出された。
辛くも逃げ切り、白星スタートを飾ったトヨタ自動車のサイモン・クロンHC(ヘッドコーチ)は、「前半はかなりいい形で戦うことができた。後半、自陣に攻め込まれてしまった」。
「ポゼッションのコントロールの部分でミスがあり、簡単にトライをとられてしまった。スキルというより、実行力の部分で課題があるので次の試合にむけて修正していきたい」と、後半、点差を詰められたことを反省した。
改善点を口にした共同キャプテンの茂野
共同キャプテンのSH茂野も「前半はやりたいラグビーができた。アンストラクチャーのところでうまくボールを運ぶことができた」と言いつつも、「後半はポゼッションのところで簡単なミスをしてしまい、自分たちの仕事や役割が果たせずに東芝のアタックにいかれてしまった。次の試合にむけて改善していきたい」と課題を口にした。
トップリーグ2021 第1節
【ハイライト】トヨタ自動車 vs. 東芝
途中から出場し、トップリーグデビューを飾ったFLフーパーは、「疲れた。フィジカルで、ボールの動きも速いゲームでした。最後までわからない激しい試合でした」とタフな試合を振り返りつつ、「今まで対戦相手だったリードと同じチームで戦って、初戦で勝って試合を終えることができるのは本当に嬉しい。最後まで我慢強く耐えることができたチームを誇りに思う」と胸を張った。
猛追するも、あと一歩及ばなかった東芝のトッド・ブラックアダーHCは、「厳しい状況の中でも最後までやりきった自分たちの選手を誇りに思います。ハーフタイムでブレイクダウンの修正を話し、立て直すことができた。今日のような試合ができたことはチームにとっても自信につながる」と、敗れたものの選手たちを称えた。
共同キャプテンのSH小川は、「ハーフタイムで修正して取り返すことができましたが、足りなかった。負けたのは悔しいですが、次の試合もあるので、しっかり切り替えていきたい」と前を見据えた。
後半に1トライを上げたリーチ
後半最後にトライをとって気を吐いたFLリーチは、「トップリーグ開幕して嬉しかった。フーパー、リードと対戦できて嬉しかったです」と、まず試合ができる喜びを語った。
そして「東芝にとってはFWコーチの湯原さんが亡くなって、今シーズンはとても大事なシーズン。今日、負けてしまったけど、試合の内容、80分間最後まで諦めず戦ったのは次につながる」と敗戦にも手応えを口にした。
コロナ禍で観客制限があるものの、戦前の予想通りの大接戦となったトヨタ自動車vs.東芝の開幕戦は、選手にもスタジアムやTVで見ているファンにも、トップリーグが再び始まった喜びに満ちた試合となった。
トヨタ自動車は、2月28日(日)の第2節、宮城県・ユアスタジアムで、開幕戦で快勝したNTTコミュニケーションズシャイニングアークスと戦う。次戦こそ初勝利を挙げたい東芝は、2月27日(土)、東京・秩父宮ラグビー場で、開幕戦で白星を飾ったクボタスピアーズと対戦する。
文:斉藤健仁/写真:谷本結利
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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