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ラグビー コラム 2021年2月16日

キアラン・リード&リーチ マイケル対談。オールブラックスと日本代表の主将経験者が語るトップリーグの魅力

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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キアラン・リードとリーチ マイケル(右)

いよいよ2月20日(土)、ジャパンラグビートップリーグとしての最後のシーズンが始まる。

その開幕を前にして、2019年ワールドカップ時のオールブラックス主将で、昨シーズンからトヨタ自動車ヴェルヴリッツでプレーするNO8(ナンバーエイト)のキアラン・リードと、2015年と2019年ワールドカップ日本代表のキャプテンを務めたFL(フランカー)リーチ マイケル東芝ブレイブルーパス)が対談。

同じバックローとしてキャプテンを経験した2人が、キャプテンシー、日本代表、そしてトップリーグについて語り合った。

ニュージーランドのクライストチャーチ出身のリーチは、リードとの対談に「ちょっとナーバスになっています」と緊張した様子だったが、リードは「僕はリラックスしていますよ。(クライストチャーチの)セントビーズ高出身の日本代表のキャプテンと話すなんて嬉しいですよ!」と話し、対談が始まった。

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―― それぞれから見たオールブラックスのキャプテンとは?

リーチ:僕はニュージーランドで育ったので、僕が若い頃は主にリッチー・マコウがオールブラックスのキャプテンで、それからキアラン・リードが後を継いだんですけど、彼らのプレーを見ていたし、キャプテンとしてチームをうまくまとめていました。

それに、オールブラックスのキャプテンというのは常に尊敬される存在です。子どもたちにとってはスターです。(ニュージーランドでは)首相の次にトップの人物なんです。

リード:僕にとって、オールブラックスのキャプテンであったことはこの上なく名誉なことでした。ニュージーランドでは非常に価値のある存在ですし、国民の大半が敬意をもってくれます。ニュージーランドではとても重要なポジションなんです。

ラグビーはニュージーランド人の大切なものであり、オールブラックスはその代表チームなのですからね。だから4年間キャプテンをやったことは、僕にとって本当に名誉で光栄なことで、楽しかったことでもありました。

両者は開幕戦で対戦する

リーチ:キャプテンというのはとても大変な仕事です。マコウやリードのようなキャプテンをずっと尊敬していました。特にリードは(自分と同じように)6番と8番でプレーして、フィールドではいつも圧倒的なパフォーマンスを見せていました。

僕もリードのようなキャプテンになりたいと思っていました。だから、チーフスでプレーした時に、スーパーラグビーで対戦する機会に恵まれたので、偉大なオールブラックスたちと肩を並べて、インターナショナルな舞台を経験して、日本代表を強くしようと思いました。つまり、オールブラックスの選手から学んだ経験の数々は自分が日本代表のキャプテンを務める時に大きく役だったのですよ。

リード:リーチは素晴らしい選手であると同時に非常に優れたキャプテンです。そのことは最近の日本代表を見れば一目瞭然でしょう。それに2019年のワールドカップの成功があります。

日本代表の試合は見ていてとてもワクワクしましたね。リーチがチームメイトを率いているのを見れば、彼が尊敬されていることがよく分かりますよ。それに僕も彼と同じくキャプテンという立場だったので、彼のやってきたことはわかりますしね。

リーチ:そう言われるのは恐れ多いですね。リードさんはいつもフィールドを支配してゲームにインパクトを与えます。フィジカルな存在感がそうさせるのですが、そんなところを僕は本当に素晴らしいと思います。それが世界中のラグビー選手からキャプテンとして尊敬される理由ではないでしょうか。

リード:同じラグビー選手から言われるのは本当に嬉しいですね。世界のライバルからそのような賛辞を受けるのは光栄ですし、選手冥利につきますね!

自分のプレーや態度によって尊敬されるのは嬉しいです。でも、私からすると、リーチもまったく自分と同じだと思います。スキルもあってチームをまとめ上げています。聡明だし、プレーでこの数年間やってきたことは本当に凄いと思います。

リーチ:何度も言いますけど、そんなこと言われると照れくさいですね(苦笑)。6番と8番は非常に似ていますが、世界のベストの6番と8番の選手は試合でとても大きな影響を与えます。だから本当にリードさんがトップリーグでプレーしてくれることは、日本のラグビーにとって大きいと思っています。リードさんのプレースタイルやリーダーシップは若手選手に大きな影響を与えるでしょう。

―― リード選手、日本代表の印象について教えてください。

リード:2019年ワールドカップでは日本代表はトップ8になりました。本当にエキサイティングなラグビーをします。日本代表の試合は今もっとも見られている試合の1つじゃないでしょうか。このまま、さらに進化して魅力的なラグビーを見せてほしいですね。

リーチ:日本代表はここ数年ラグビーが進化して、自国の次に応援しているチームになっていると思います。「ブレイブブロッサムズ」はサイズの小さなチームながら、そのプレーで他のチームから称賛されるようになりました。

大きなチームと戦うためにスクラム、モール、ボールの動かし方が今のスタイルのようになりました。もちろんオールブラックスが常にラグビーの基準となるので、僕たちも常に進化し、進歩しないといけないと思っています。2023年ワールドカップもしっかり準備すれば強いチームになると思います。

新しい選手がブレイクするのも楽しみです。慶應義塾大学のFL山本凱(3年)は小柄ですが、まさに(オーストラリア代表)FLマイケル・フーパー(トヨタ自動車)のようで、今後トップリーグや日本代表で活躍するんじゃないかと期待しています。次のワールドカップはさらにいいチームになると思います。

リード:日本代表といえば、(トヨタ自動車でチームメイトだった)姫野和樹が今年ハイランダーズでプレーするので、彼がいないのは僕たちにとっては残念なことです。でも、姫野には非常に良いチャンスだと思います。彼がニュージーランドでチャンスを得ることを願っていますし、きっとやれると確信しています。

リーチ:日本の選手にとって違った環境で、違うコーチングで、異なった準備のスタイルで、別のマインドセットやプレーを経験することは非常に成長させると思います。

姫野はきっと2023年ワールドカップのメンバーになって中心的な役割を担うと思います。経験をチームに還元してくれることを期待しています。現在、日本代表のバックローのポジションは非常に競争が激しいですが、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は、その中で最高の選手を選ぶはず。だから僕自身もトップリーグで良いパフォーマンスを続けなければいけない。

―― リード選手、昨年から参戦しているトップリーグに関しての印象をお聞かせください。

リード:去年からトップリーグでプレーしていますが、ファンは本当に素晴らしいです。トヨタ自動車のホームである豊田スタジアムでも、他の会場でも大きなサポートを感じて、非常に熱い声援を送ってくれたのが印象的でした。満員のスタジアムでプレーできて感動しました。昨年はシーズン途中でケガをしてしまったのが残念ですが、今年プレーするのをとても楽しみにしています。

リーチ:僕もワールドカップから戻ったとき、東芝の地元である府中で大きな声援を受けました。スタジアムは満員になって、道を歩いていても日本代表や東芝のジャージを着た人をたくさん見かけました。ワールドカップがトップリーグに与えた影響は大きかったですね!

リード:昨年は(新型コロナウィルス感染拡大の影響で)中断してしまい、本当に多くの選手が長い間プレーできませんでした。みんなフィールドに立つのを楽しみにしています。ブレイクしそうな若手選手は自分のチームだったら7番のFL古川聖人です。去年から成長している若手選手です。(開幕が)非常にワクワクして待ちきれないですよ!

リーチ:今季は海外からも多くの選手が日本に来ています。リードさんやFLフーパーだけじゃなくて、サントリーにはSO(スタンドオフ)/FB(フルバック)ボーデン・バレット(ニュージーランド代表)、NTTコミュニケーションズにはSH(スクラムハーフ)グレイグ・レイドロー(スコットランド代表)のように、本当にたくさんの素晴らしい選手がいます。

世界のトップ選手と試合をして、そのレベルを体感し、リードにタックルをかます経験や、フーパーをクリーンアウトするのはとても気持ちが良いものだと思います。日本の子供たちにとっても、トップクラスのラグビーを見る機会ができることに感謝しています。プレシーズンも充実していたので、今年のTLは非常に競争が熾烈になると考えています。

リード:そうですね。非常に楽しみですし、激しい戦いになるでしょう。今のところ僕にとってトップリーグは素晴らしい印象しかありません。どのチームも素晴らしいチーム作りをしています。どのチームにとっても非常にタフなものになるでしょう。何が起こるかわかりませんし、それが非常に楽しみです。

できればトヨタ自動車が1つでも多く勝ってトップになりたいですね。また、いろんなチームに世界で戦ったライバルや、ニュージーランドのチームメイトがいるので、彼らとの対戦も楽しみにしています。特にクボタスピアーズのCTB(センター)ライアン・クロッティとはクルセイダーズ、オールブラックスと一緒だったので、クボタ戦は良い試合にしたいですね。

リーチ:28歳が若いかどうかわかりませんが、東芝で期待しているのは、キャプテンのFL徳永祥堯です。彼は2019年ワールドカップのメンバーでしたが、試合には出られませんでした。しかし、非常に素晴らしいものを持っています。それに自分と同じポジションで2023年ワールドカップのメンバー争いをしています。

―― 開幕戦で両者は対戦します。

リーチ:初戦をしっかり戦い、一貫したパフォーマンスができるように、それから徐々にステップアップしていきたい。東芝とトヨタ自動車は常にライバル関係にあります。ともに伝統あるチームとして、非常にワクワクするし、できればリードさんと対戦して勝ちたいですね!

リード:本当に楽しみです!リーチが言ったことは非常に大切で、あまり先のことを考えるべきではありません。ファーストステージは7試合しかないので初戦が大切ですし、実際にフォーカスしています。

トップリーグ2021開幕スペシャル

【RWC2019日本代表&NZ代表キャプテン対談】リーチ マイケル×キアラン・リード ~

リーチ:トップリーグが開幕しますが、日本にはいいタックラーが多いので気をつけてくださいね。それが僕の唯一のアドバイスです。

リード:もっと早く聞いておけば良かったけど、肝に銘じます(笑)。

リーチ:僕だけじゃなくてたくさんの選手がリードさんを偉大な選手だと尊敬しているので、対戦することを楽しみにしています。

リード:僕もですよ。(クルセイダーズで一緒だった東芝のHC)トッド・ブラッカダーにもよろしく伝えてくださいね。試合が終わったら、ビールでも飲んで話せたらいいですね。とにかく、お互いに良いシーズンになるよう祈っています。

***


2月20日(土)開幕から、NO8リードの所属するトヨタ自動車と、FLリーチが在籍する東芝が激突する。果たして勝利して白星スタートするチームはどちらになるのか。当然、リード、リーチの2人が勝敗の鍵を握ることになろう。

文:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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