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やや緊張した表情のフーパー
2月20日(土)のトップリーグ開幕に向け、今季からトヨタ自動車ヴェルブリッツに加入するオーストリア代表の現役キャプテンで、105キャップを誇るFL(フランカー)マイケル・フーパーが、16日(火)にオンラインで会見を行った。
まず、少し緊張した面持ちでフーパーは「チームからは歓迎されています。(トヨタ自動車には)いい選手、いいスタッフが集まっているので、いい形でフィットできるように協力してもらっています」。
「日本語でのコール、プレーも学んでいます。今年のトップリーグは競争の激しい大会になると思っているし、世界のいい選手も揃っているので、自分としては開幕戦を楽しみにしています」と挨拶した。
フーパーは今年は日本でプレーし、シーズン終了後にオーストラリアに戻り、「ワラビーズ」こと、オーストラリア代表に復帰する予定だ。
イングランドやフランスではなく日本、そしてトヨタ自動車を選んだ経緯を聞くと「(トップリーグは)ラグビーのスタイルがスーパーラグビーの形に似ていると感じました」。
「ラグビーのボール、ペースが驚くほど速く、フィジカルの面よりセットプレーにフォーカスしたプレーが楽しみな理由でもあります。また、ワールドカップで日本人がラグビーをいい形で歓迎した姿を見て、自分もまた経験したいと思って日本に来ました」。
「(トヨタ自動車を選んだ理由は)最初に興味を示してくれたチームだったということと、(ワラターズにいたサイモン・)クロンHC(ヘッドコーチ)との関係性もありました」。
「そして、敵だった(ニュージーランド代表)NO8(ナンバーエイト)キアラン・リードと(ディレクターオブラグビーのスティーブ・)ハンセンがいること、茂野(海人)、姫野(和樹)が作ろうとしているチーム、環境があり、『グッドよりグレイト』ということを話しているが、そういったことに惹かれてトヨタに移籍しました」と説明した。
世界有数のオープンサイドFL(フランカー)は、トップリーグでどんなプレーを見せてくれるのか。
FLフーパーは「ナンバーセブン(=オープンサイドFL)は大きなコンセプトのあるポジションです。ディフェンスだったらジャッカル、タックル、アタックだったらアシストやBK(バックス)とのリンクプレーやスペースに走り込んだり、フィジカルな側面だとピックアンドゴーのバトルもあります」。
「ゲームの中で成長していきたい。特にボールプレイヤーになりたいと思っていて、少し先のことかもしれませんが、キックもできるようになりたい。フォーカスを1つに絞ることではなく、大きなところでトヨタ自動車に貢献していきたい」と語気を強めた。
また、オーストラリア代表のライバルである、ニュージーランド代表のキャプテンだったリードと同じチームでプレーすることに関して、フーパーは「リードと対戦してたくさんの負けを経験したが、今回は一緒にプレーできるのを楽しみにしています」。
「(オールブラックスという)数々の成功してきたチームの一員だったので、新しい環境で彼の周囲にいることで楽しみにしています」と破顔した。
身長182cmと世界的に見れば、FW(フォワード)として決して大きくはないが、ワラビーズで105キャップを重ねてきたフーパー。
大きくなくても活躍できる理由を聞かれて「体格が関係なく、全員できると考えているから、ラグビーはグレイトです。大きいフロントローがいたり、アスレチックなBKがいたりしますが、自分も独特な体格だと思っています」。
「その中でも長くフィールドでプレーできることが強みだと思います。ナンバーセブンはディフェンス、アタックの両方でインパクトを与えられて、特定のサイズや身長に特化した部分にとらわれない、自由に解釈できるポジションだと思っています」と説明した。
18歳でスーパーラグビーデビュー。その後、ワラビーズに選ばれて10年以上プレーしてきたフーパーにとって、今回が初の海外挑戦になる。
「今、日本で全くチーム文化違うので、たくさんのこと学んでいます。トヨタ自動車には南アフリカ、日本、ニュージーランド、アイランダーズ系、オーストラリアの選手がいて、ワンチームとなって、どう前に進むか話しています。そういった面は自分にとってエキサイティングです」と笑顔を見せた。
笑顔を見せるフーパー
また、好きな日本食は「ラーメン!」というフーパーはラグビー以外に楽しみにしていることを聞かれて「(コロナ禍なので)ほとんど外に出られないので日本の文化、食事など、本を見て勉強しています」。
「パートナーが家で日本食を作っているのがすごく楽しいです。日本語も勉強しているが、こればっかりは難しいですね」と話したように、制限がある中でも日本での生活を楽しんでいるようだ。
2月20日(木)の開幕戦、トヨタ自動車は東芝ブレイブルーパスと対戦する。フーパーは「開幕戦はタフな試合になる。どのチームにもいい日本人、外国人がいるので、チーム内でのバランスがチャレンジになる」。
「トヨタ自動車としてもコーチ陣がいいコンビネーションを考えて、どのようにすれば80分、効果的なプレーができるか、ケガやイエローカードに対応していけるか、ユニークな新しい環境にチャレンジできることが楽しみ。勝つことがプランであるが、他のチームも一緒です。どう成長していくかが大事。今週末、大会に入っていく中で、すごくエキサイティングなプレーしたい」と意気込んだ。
2020年を含めて、オーストラリア国内の最優秀選手賞である「ジョン・イールズ・メダル」に3度輝いている、現役ワラビーズのキャプテンFLフーパー。
ジャッカル、攻撃的なラン、キャプテンシーなど、どれを取っても一級品の選手だ。初優勝を狙うトヨタ自動車ヴェルブリッツの大きな戦力となり、トップリーグに大きなインパクトを与えることは間違いない。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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