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ラグビー コラム 2021年2月15日

トップリーグ開幕直前。パナソニックvs.クボタの練習試合を振り返る

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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パナソニックPR稲垣

トップリーグ開幕まで10日ほどあまりとなった2月11日(木・祝)、埼玉・ラグビー場Bグラウンドで優勝候補の1つ、パナソニック ワイルドナイツ(ホワイトカンファレンス)と、上位進出を狙うクボタスピアーズ(レッドカンファレンス)の練習試合が行われた。

まず、メンバーから見てほしい。本番さながらの布陣であり、パナソニックの先発は2019年ワールドカップ日本代表5人、2019年ワールドカップに出場したイングランド代表のLO(ロック)ジョージ・クルーズとCTB(センター)ハドレー・パークスの新加入の2人、他にも日本代表キャップホルダーが2人というメンバー。他にもHO(フッカー)堀江翔太らが控えに入っていた。

W杯準優勝メンバー、パナソニックLOクルーズ

クボタのメンバーは南アフリカ代表優勝メンバーのHOマルコム・マークス、オーストラリア代表SO(スタンドオフ)バーナード・フォーリー、日本代表のFL(フランカー)ピーター・ラブスカフニといった2019年ワールドカップメンバー。

W杯優勝に貢献したクボタHOマークス

さらにSH(スクラムハーフ)井上大介、主将CTB立川理道、CTBシオネ・テアウパといった日本代表経験者らも先発した。また、ニュージーランド代表CTBライアン・クロッティは控えからの出場となった。

J SPORTS 放送情報

◆パナソニック ワイルドナイツ
☆:2019年ワールドカップメンバー

1 稲垣啓太
2 坂手淳史☆ ※キャプテン
3 ヴァルアサエリ愛
4 エセイ・ハアンガナ
5 ジョージ・クルーズ☆
6 ベン・ガンター
7 布巻峻介
8 ジャック・コーネルセン
9 内田啓介
10 松田力也
11 福岡堅樹
12 ハドレー・パークス☆
13 ディラン ライリー
14 竹山晃暉
15 野口竜司李

◆クボタスピアーズ

1 才田智
2 マルコム・マークス☆
3 松波昭哉
4 デービッド・ブルブリング
5 ルアン・ボタ
6 トゥパ フィナウ
7 ピーター・ラブスカフニ☆
8 末長健雄
9 井上大介
10 バーナード・フォーリー☆
11 タウモハパイ ホネティ
12 立川理道 ※キャプテン
13 シオネ・テアウパ
14 ゲラード・ファンデンヒーファー
15 金秀隆

晴天だったが、冬の熊谷らしく強い風の中、試合はキックオフされた。先制は地元のパナソニックだった。前半4分、モールを起点にFB(フルバック)野口がトライ、WTB(ウィング)竹山がゴールを決めて、7-0とリードした。

クボタの元豪州代表SOフォーリー

その後は風下のクボタがSH井上、SOフォーリーのハーフ団を起点にアタックを継続し、パナソニックがディフェンスするという時間が続く。14分、クボタが相手のラインアウトをターンオーバー、ボールを継続し最後はFLトゥパがトライ、SOフォーリーがゴールを決めて、7-7の同点に追いつく。

その後も攻めるクボタ、守るパナソニックという時間帯が続く。スクラムではパナソニックが優勢の中、ロスタイム、ラインアウトを起点にパナソニックが攻め込み、最後はWTB福岡が決めて14-7とリードした。

後半、パナソニックは15人を交替し、HO堀江を筆頭に、PR(プロップ)クレイグ・ミラー、LOヒーナン ダニエル、NO8(ナンバーエイト)福井翔大、SH小山大輝、SO山沢拓也、新加入のCTBセミシ・トゥポウ、FB笹倉康誉らが出場した。

一方のクボタは前半の途中でPR松波が山本剣士に、後半からはPR才田がPR羅官榮に交替しただけだった。

後半4分、パナソニックが連続攻撃を見せて、NO8福井がトライ。12分にはパナソニックが得意とするターンオーバーからの切り返しを見せてWTB新井翼がラインブレイク。最後はフォローしたSH小山がトライを挙げて、26-7と大きくリードを広げる。

調子の良さをアピールしたクボタCTB立川主将

しかし、クボタも負けていない。15分、ターンオーバーからSOフォーリー、CTB立川とつないでトライ。さらに22分、モールからHOマークスが押さえる。

そして30分、センタースクラムから左サイドを攻めて、CTB立川からパスを受けた途中出場の新人WTB山崎洋之が左隅にトライ。SOフォーリーが見事にゴールを決めて、クボタが28-26と逆転に成功する。

ただ、試合巧者のパナソニックは後半34分、敵陣10mラインのスクラムを起点にSO山沢が裏にキック。相手にプレッシャーをかけてボールを奪い、最後はNO8福井からパスを受けたPR平野翔平がトライを挙げて、33-28と逆転に成功。試合はそのままパナソニックが勝利した。

この試合の後、20分で試合が行われ、3本目はクボタがSH岡田、WTB近藤が2トライを挙げて、3本目を含めると、クボタが41-33で勝利した。

クボタはSOフォーリーのキックの正確さや、安定したゲームコントロール、モールからのトライだけでなく、ジャッカルも決めたHOマークスの力強さ、CTB立川の突破の切れ味など、随所にインターナショナルプレイヤーが持ち味を見せただけでなく、新人WTB山崎も決定力の高さを見せた。

CTB立川主将が「プレシーズンはたくさんの試合こなして、若手もベテランも順調にきている」と話す通り、優勝を目標に掲げているクボタにとってはいいアタックもあり、前半こそパナソニックのディフェンスの前に1トライしか取れなかったが、後半、3本目とトライを重ねたことは自信につながったはずだ。

一方、ワールドカップ出場選手や、将来の日本代表入りの可能性のある選手が多いパナソニック。持ち味のディフェンスで前半1トライに抑えただけでなく、メンバーが変わった後半も、ターンオーバーやキックからのトライで逆転するなど、優勝候補の一角として力があるところを見せた。

また、後半出場したLO宮川智海、NO8福井翔大、新加入のセミシ・トゥポウ(コカ・コーラのCTBウィリアム・トゥポウの実弟)など、若手の活躍も目立った。

HO坂手主将。パナソニックを5度目の優勝に導けるか

試合後、パナソニックの3選手が報道陣の電話による取材に対応した。HO坂手主将は「開幕が1ヶ月延長したが、目標をぶらさずにチームでしっかり練習できているし、いいメンタルでやっている。過去5年優勝できていないので、タイトル獲得を目標に毎試合頑張っていきたい」と自信をのぞかせた。

前半のみの出場だったものの、タックル、セットプレーで持ち味を発揮したPR稲垣は「1ヶ月ぶり、久しぶりのコンタクトレベルを感じたが、いい感触だった。ディフェンスでゲインラインを押し上げることができたので、もっとディテールが加わればもっといいプレーができる」。

「優勝することはチームの目標であり、個人の目標でもある。先を見据えずに目の前の1試合に準備することが大事。その積み重ねが優勝という2文字につながってくると思うので、まず開幕に向けていい準備をしたい」と話した。

決定力の高さを見せたパナソニックWTB福岡

チャンスでしっかりトライを取り切ったフィニッシャーのWTB福岡は、自身としても最後となる可能性が高いトップリーグに向けて「風の中、自分たちらしいディフェンスを見せられたと思います。自分らしいパフォーマンスが出せたところもあったので開幕前にいい準備ができたかな」。

「試合ができるだけでも感謝しないといけない。(トップリーグでは)自分らしいプレーをするだけなので、(ファンが)感じるものがあれば嬉しい。少しでもまた見たいなと思ってもらえるようなプレーがしたい」と手応えを口にした。

中断された昨シーズン、6戦全勝だったパナソニックは今シーズンも戦力が充実しており、神戸製鋼コベルコスティーラーズ、ヤマハ発動機ジュビロなどとホワイトカンファレンスの上位争いをすることは間違いなさそうだ。

クボタもレッドカンファレンスで上位争いする力は十分あるところを見せた。いずれにせよトップリーグ本番が待ち遠しくなる練習試合だった。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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