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2019年W杯日本代表として全5試合に出場したCTB中村亮土(なかむら・りょうと)が、サントリーの主将として国内最高峰「トップリーグ2021」に参戦する。
鹿児島実業でラグビーを始め、競技歴5年で日本代表に招集された天性のラガーマンだ。
帝京大学では主将として大学5連覇に導き、サントリーに加入。自身初のワールドカップで、充実した心技体を持つ世界的プレイヤーに飛躍した。
サントリーを牽引する新主将として、また’23年W杯日本代表の有力候補として、トップリーグ2021でどんなプレーを見せるのか。
私生活ではアウトドア派で趣味はキャンプ、釣り。最近はゴルフも始めたという。グラウンド内外での過ごし方から、’23年W杯の組み合わせの印象まで、多岐にわたる質問に答えてくれた。
中村亮土選手
――キャンプの魅力は?
ひとつは、最近は自然と触れ合うことが少ないので、子供の体験学習を兼ねています。もうひとつは、現実からちょっと離れて頭と心のリラックスですね。
焚き火がなんと言っても良いです。余計なことを考えなくなります。どこかでずっとスイッチオンになっているんですが、火を見ているというだけで他のことは考えないので、すごくリラックス状態に入りますね。
――SNSで「家キャンプ」を発信されていましたね。
昨年に緊急事態宣言が発表されて僕自身もストレスが溜まっている状態でした。休みがあれば出掛けたりアウトドアをしていたので、ずっと中にいることがストレスになっていました。
そこで家の中でテントを張って異空間をつくって、そこで御飯を食べたり、子供と一緒に寝たりして気分転換をしていました。
――キャンプ仲間は誰ですか?
サンゴリアスのメンバーとか、他のトップリーガーと行ったりしていました。後は家族だけで行っています。
――オススメのキャンプ場は?
ふもとっぱらキャンプ場は良かったですね。富士山が目の前で、コーヒーを飲みながら朝日が昇るのを見て、というのが最高でした。
インタビュー動画
中村亮土選手インタビュー|ラグビー トップリーグ2021 サントリーサンゴリアス
――自然派なのですね。
鹿児島で自然の中で育ったので、人混みや待ち時間には慣れないですね(笑)。根っから自然の中にいたい人です。
――魚をさばくのが上手だそうですね。
子供の頃、父と一緒に釣りに行って、持って帰った魚をさばいているのを見ていたので要領は分かっていました。自分で釣りに行くようになって、最初はYouTubeを見ていましたが徐々に慣れてきて出来るようになりました。
――ゴルフも始めたそうですね。
今年に入ってからですね。チームメイトがやっていたので一緒にやったら面白かったですね。上手くなりたいという向上心をあおられます。ラグビーと一緒でどれだけ上手くなっても向上したいという欲が出てハマっています。
――ゴルフから活かせることは?
集中力やメンタル。上手くいかないときにどう立て直すのか、というのはゴルフはしっかり出てきますね。
――林にボールが入ったら一回横に出しますか、それともグリーンを狙いますか?
基本は狙いたい人です。
――ステイホームをきっかけにハマったことは?
タイミングであったり、食生活は今まで以上に意識するようになりましたね。自分の身体とより向き合うようになった気がします。
――身体が大きくなったような気がするのですが。
大きくなったと思います。よく言われます。ただ顔だけ見たら痩せたねとも言われるので、良い仕上がり方になっているのかなと思います。
ボーデン・バレットは「どれをとっても一級品」。
――海外チームではスーパーラグビーのハリケーンズ、ブルーズ(ともにニュージーランド)が好きだそうですね。
ハリケーンズはなぜか昔から好きでした。マア・ノヌー、コンラッド・スミスがいた頃から好きでした。
ブルーズは社会人2年目にオークランドにラグビー留学のような形で行かせてもらい、その本拠地がオークランドなので応援していますね。
――サントリーに新加入したSO(スタンドオフ)ボーデン・バレット選手は元ハリケーンズですね。
ラン、キック、パス、どれをとっても一級品です。一緒にプレーして感じたことはラグビーナレッジ(知識)、理解力がすごく高いです。学ぶところはすごく多いですね。
オフ・フィールドもスマートな感じで「ザ・紳士」ですね。どこも隙がないので、イジりようがないので、いま粗探しをしています(笑)。彼はお酒が好きなんで、いまは飲み会がないですが落ち着いたらお酒を呑んで粗探ししたら見つかるのではないかと思います(笑)。
――好きな海外選手は?
オーウェン・ファレルですね。ゲームコントロールもできますし、一つひとつのスキルも高いですし、フィジカルな選手で10番、12番どちらも出来ます。ああいう選手になりたいと思っています。
トップリーグは’23年W杯日本代表のセレクション。23年W杯の組み分けは「タフなグループ」
中村亮土選手
――いよいよトップリーグが始まりますが、中村選手にとってもトップリーグは日本代表のセレクションという意識はありますか?
間違いなくありますね。次の日本代表に入るためには今シーズンの一試合一試合が大事なので、毎回の試合をベストパフォーマンスを出さないといけないな、というプレッシャーはあります。
――2023年W杯の組み合わせが決まりました。
いやあ、非常にタフなグループですね。どこに入ってもタフですが、本当にフィジカリティなチームが集まっています。そこでしっかりとした戦いをしないと勝ちきれないなと思います。良い準備をしないといけないなと思います。
――イングランド代表にはどんな印象を持っていますか?
勝つチャンスはあると思います。イングランドも決勝で負けて悔しい想いをしていると思うので、相当良い準備をしてくるでしょうし、他のチームもレベルアップして臨んでくると思うので、日本代表も一段階レベルを上げないといけないと思います。
――エディさんはサントリーのディレクター・オブ・ラグビーを務めていますね。
この前、3週間くらい来られていました。スタッフと選手にフィードバックをしてもらい、それを自分達で採り入れています。全体をみてアドバイスをしてくれる感じですね。
――エディさんと会話はありましたか?
ワールドカップの話は全然しなかったですね。サンゴリアスのことだけです。
――一番影響を受けたコーチは日本代表のトニー・ブラウン アタックコーチなんですね。
まだまだ向上できることを教えてくれたコーチですね。根本的な部分ですが、今まで出来なかったこともやれば出来るようになると信じてくれていた人です。
もともと高校でラグビーを始めましたが、当時トニー・ブラウンが三洋電機で10番をやっていて、僕も10番をやっていて、こういう選手になりたいと最初に憧れた選手でした。
そのトニー・ブラウンが代表コーチで僕が選手で、ということが僕にとっては意味深いことです。現役時代を知っている分、言葉にすごく意味を感じるというか、憧れていた選手に言われているからこそ意味があることも多くありました。
――トップリーグ2021ですが、ミルトン・ヘイグHCですが、どんなタイプのコーチですか?
すごくコミュニケーションを取ってくれます。一方通行ではなくコミュニケーションをとってより良いものを作り上げていくタイプのコーチです。
――サントリーにはアタッキング・ラグビーの文化がありますが、それはヘイグHCのもとで継承されるのでしょうか?
そうですね。継承されていると思います。
今までのサントリーのカルチャーは変わらず、もっとカルチャーを進化させていく方向でやっているところですね。
――今年のサントリーのラグビーは?
アグレッシブ・アタッキング・ラグビーですね。貪欲にどこからでもトライを取りにいくラグビーをしたいですね。プラスアルファで、トップリーグでNO1のディフェンス力を誇るチームにもなりたいと思います。
――2020年シーズンから変化した部分は?
状況判断の部分ですね。グラウンド全体を使ってラグビーをするという意味では、グラウンドの中で自分達で考えて対応するところは良くなっていると思います。
――個人としてはどんなプレーを見せたいですか?
良いメンバーがいるのでコネクトして、全員が最大限の力を発揮できるようなプレーをしたいですね。
――サントリーではどんなリーダーシップを取っていきたいですか?
優秀な選手がたくさんいるので頼りながらやることと、自分らしく気負いせずにやれれば、と思っています。
――意識しているチームは?
全チームですね。特に神戸製鋼はチャンピオン・チームなので、試合をする時は感情の入り方が違うのかなと思います。
――対戦が楽しみな選手は?
いっぱいいますね。誰だろう。相手チームのCTB(センター)とやるのは楽しみですね。スーパースターもたくさんいるので、そういう選手達との対戦が楽しみです。
――今シーズンのここを見て欲しい、という注目ポイントは?
サントリーは選手登録がトップリーグで一番少ないですが、誰が出ても同じラグビーが出来て、同じチームの強さを保てると思います。長いシーズンになるにつれてチーム力が大事なので、そこは非常に今年のサントリーの強みでもあります。
スーパースターもいますし、支える選手もいます。そこを見て頂けたらと思います。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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