チームの垣根を越えた仲良し対談テキ×トモ！同じ兵庫県出身だけど学年も学校も違う、東芝・徳永祥尭選手×キヤノン・庭井祐輔選手の知られざる関係とは…？

徳永祥尭選手と庭井祐輔選手

バチバチと身体を当て、時には喧嘩のように熱い感情をぶつけ合うラグビー。
だけど試合が終わると笑顔でお互いを讃え合う―ラグビーを初めて見る人には不思議な光景ですよね。
今回はそんな、チームの垣根を越えて友情を結ぶ2人の選手をピックアップ。
「試合中は相手（友達）をどんな風に見ているの？」「仲良くなったきっかけは？」など、
気になる疑問に答えて貰いました。これであなたも2人の対戦を見るのが楽しみになる事間違いなし！

今回は東芝ブレイブルーパスで共同主将を務める徳永祥尭選手とキヤノンイーグルスでバイスキャプテンを務める庭井祐輔選手の2人の仲を深堀り！
RWC2019メンバーに選ばれるも試合出場が叶わなかった徳永選手、日本代表候補に名を連ねながらも度重なる怪我でメンバー入りを逃した庭井選手。
学年も学校も違う2人の出会い、そしてお互いを結ぶ共通のものとは…？
※取材はリモートで別々に行いました

──2人の出会いを教えて下さい。

徳永「中学の頃から（庭井選手を）知っている事は知っていて、中2くらいの時に僕が兵庫県の選抜に入って、1個上に『エゲつないプレイヤーが居る』と思ったのがあの人。でもその後高校で僕が関西学院、向こうが報徳学園に入ったのでライバル関係になって、たまに話したりはするけどプライベートな事までは喋らないという間柄でした。」

庭井「兵庫県の選抜で一緒にプレーをしたというのが一番最初ですかね。その時はそんなに話すという事も無く、高校でライバル関係になって、そこからはほぼ話した覚えが無いくらいの関係でした。」

──そこから仲良くなったきっかけはありますか。

徳永「2017年のサンウルブズで一緒になって、ちゃんと話すようになりました。距離が縮まりましたね。あの人結構無口なんですよ。自分からわーわー喋る人じゃなくて。でも心を開いたら結構喋るようになって来て、口数は多く無いけど要所要所でツッコんで来るワードセンスが良くて、その面白さはさすが関西人だなと思いました。」

庭井「話すようになったきっかけは2017年のサンウルブズじゃないですかね。その時はまぁ話すけどそこまで仲良いって感じじゃなかったんですけど。
2019年の初めに僕がアキレス腱を切って、その時に徳永も顎を骨折して、一緒に怪我人をやっていた事がありました。アイツとは家が近いんですけど、（徳永選手が車を持っていないので）僕が家まで送るドライバーをさせられていた時に距離が縮まったかもしれません。怪我でお互い練習したいけど出来ないっていう状態を一緒に過ごしたのと、あとは同じ兵庫県出身なので喋り方も一緒だったりして身近に感じたのかもしれません。」

──2人で居る時はお互いどんな感じですか。

徳永「僕が普通に話してあの人が茶々とか野次を入れて来るって感じなんですけど、頭良い感じを活かして的確にツッコんで来ますね。たまにそのツッコみがキツ過ぎて何も言えなくなる時があるっていう。」

庭井「（徳永選手は）態度がデカいですね。年下なのに完全にナメられてます。でもアイツちょっと世間知らず的な所があって、誰でも知ってるような事を知らなかったりするんですよ。なのでそういうのを教えたり。頼りなさ過ぎるのでつい世話を焼いてしまいます。」

──お互いの尊敬している部分は。

徳永「知識が豊富で、勉強とかも好きな人なんですよね。僕も庭井さんもプロ契約でラグビーをやっているので、今後引退した後にどうやって行かなきゃいけないかっていうのをあの人が教えてくれたり。株とかビジネスの事も教えてくれるので最近は『先生』って呼んでるんですけど（笑）あとは時間の使い方が凄い上手いですね。勉強もしながらキャプテンとしてチームをまとめたり、でも誰かとご飯行く時間もちゃんと作ったり。僕が最初に東芝のキャプテンに選んで貰った時も結構相談して、『こういう時にどうしたら良いか』というのを隠さずに教えてくれました。」

庭井「ラグビーに対して真面目な所ですかね。取り組み方とかはお手本になるし、アイツから貰っている刺激は多いです。RWC2019の時にずっと水運んでたじゃないですか。あの時とか絶対めっちゃ悔しい思いしてやってたと思うんですけど、（代表チームの）誰に聞いても『徳永が水運んでくれて助かった』って言ってて、そうやって自分が苦しい状況でもチームのために何か出来るというのは尊敬出来る部分です。」

──お互いの直して欲しい所はありますか。

徳永「最近ちょっと当たりがキツ過ぎるのでそこを直して欲しいです。結構ガチでへコんでる時があるので（笑）LINEだと文字しか来ないじゃないですか、表情が見えないのでどこまでガチで言ってるか分からなくて結構ダメージ大きいです。」

庭井「完全に僕をドライバーだと思ってる所ですね。『どっか行こう』って誘って来る時は『車出せよ』も含まれてますね。（LINEがキツ過ぎる問題に対しては）それは絵文字をつけるように気を付けます。」

──仲の良い選手と試合で対戦する時はどんな気分ですか。

徳永「僕は知り合いの選手が多いほうが試合するのは楽しみですね。早くやりたいなと思います。（仲良すぎて）嫌だなと思う事もありますけど、逆に利点もあって、相手の事を知っていれば相手がアタックして来るのを止めやすいですし、相手の好きなようにさせないぞと気合が入ります。探ったりするのは嫌なので仲が良くても事前に何か聞く事は無いですけど、試合が終わった後にその場でお互いにチームの近況とか話したりしますね。」

庭井「友達と試合をするのは楽しみですね。代表で一緒にプレーしてたような選手とかはそれこそ仲間としてプレーしてたわけですけど、それが今度敵ってなった時にどういう見え方するのかなとか。味方同士だと100%でぶつかる事ってなかなか無いと思うので、そういう所も楽しみ。試合前は連絡取る時とかちょっと意識しますよね。お互い有益な情報は出さないように、みたいな（笑）」

──今季東芝vsキヤノンが実現したらどんな対戦になりそう？

徳永「キヤノンは沢木監督になって面白いラグビーをするようになりましたよね。今までよりみんな生き生きしていて、敵にしたくないチームです。特にBK陣が変わりました。映像を見ていても前よりボールを振って来るし、僕らにとってはチャレンジですね。」

庭井「僕達がやっているラグビー自体が少し変わったので、勝負の結果というより、どう見えるかが楽しみですね。今まではどちらかというと保守的だったんですけど、沢木さんはリスクテイクしてどんどんアタックして行こうというのを掲げているので、東芝からしても変わったなと感じると思います。東芝はフィジカルに来ると思うので、そこは分かり切ってるんですけど、それにしっかりと勝って、どういう評価を貰えるか聞きたいですね。」

──最後、お互いに向けてメッセージをお願いします。

徳永「僕車持ってなくて、基本どこかに行く時は迎えに来て乗せて貰ってるので、いつもタクシーありがとうございます、というのと、あとはまたそろそろご飯行きたいと思ってるので誘ってください。」

庭井「そろそろ助手席に乗らしてくれへんか、というのをまず1つ言いたいのと、前に言ってたトレーニングを早く教えろっていうのと、あと飯行くのは良いけど自分から誘ってこい、と言いたいです。」

お互いツンツンしているようでとても仲の良さが伺えた2人。しっかりした兄貴的存在の庭井選手と、ヤンチャな弟的存在の徳永選手。2人がグラウンドで戦う日をお楽しみに！

文：J SPORTS 編集部